株式会社ゼルコバドリーム
「蔵王 村上牧場の飲む手作りヨーグルト」

株式会社ゼルコバドリームは、仙台市産業振興事業団が主催する新東北みやげコンテスト受賞企業です。

第5回「蔵王 村上牧場の飲む手作りヨーグルト」特別賞

豊かな自然に恵まれた蔵王山麓に牛舎を構える「株式会社ゼルコバドリーム 村上牧場」

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1962年に1頭の乳牛から始まった牧場で、現在は乳牛の快適性を追及した飼養管理=カウコンフォートを基本に、清潔な環境を乳牛に提供しています。

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カウコンフォートとは、牛たちが毎日を過ごすベッドを常に清潔に保ち、いつでもきれいな水が飲めて、満足に食べられる環境をつくり、牛自身のリズムで生活させてあげること。ゼルコバドリームでは、牛が常に牛舎で快適な生活が送れるようにしており、このアイデアは農林水産大臣賞を受賞しました。

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写真:牛舎に行くと、寄ってきてくれる牛たち。人懐っこくてかわいらしい!

実は、牛というのはとても繊細な生き物。村上牧場では、搾乳を担当する社長の村上利雄さんが毎日一頭一頭の顔を見て体調を確認しています。スタッフの嶋田優さんは「牛たちは一頭一頭名前がついているんです。私の父(=村上社長)は全員の顔と名前が一致すると言っていました」と笑います。

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写真:牛一頭一頭の名前を覚えているという、社長の村上さん。

牛が快適に過ごすのなら、放牧のほうがいいのでは?と聞くと、「放牧すれば強い子は快適な場所にいることができるのですが、弱い子はそうはいかないんです。みんながちゃんと快適に過ごすには、清潔な牛舎にいるのが一番なんですよ」と、嶋田さん。一頭一頭をしっかり見ている様子は、まるで学校の先生のようでした。

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牛たちに与える飼料も手づくりです。牧場内で育てたトウモロコシを丸ごとカットしてから発酵させ、コーンサイレージに。トウモロコシを刈った後の畑にはライ麦を植えて、春に収穫したらこれもサイレージにします。手間ひまを惜しまずきちんとした飼料を与え、快適な環境で飼育する。これこそが、ゼルコバドリームの牛乳の美味しさの秘訣なのです。

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牧場では、1日2回の搾乳を行います。搾られた生乳は30分以内に冷却タンクへ。このフレッシュな生乳をヨーグルトに加工したのが「酪農家の手作りヨーグルト」です。

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開発を担当したのは、嶋田さん。「毎日食卓で食べられるものが欲しくて開発しました。でも、食品会社に勤めていたわけでもなんでもなくて、いろいろ自分で調べながら試行錯誤して・・・。私は酸っぱいヨーグルトが苦手なので、甘味も何もかけずに食べられるものをつくりたいと思いました」。

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写真:ヨーグルトの開発秘話を話す嶋田さん。家族で協力しながら牧場を盛り上げています。

北海道から関東までさまざまな生産者を訪ねて研究したそうですが、「これだ!というものはなかったんですよね(笑)。なので、東京にある乳酸菌を扱う会社にうちの生乳を送って、『こういう感じで・・・』という希望だけ伝えて。ひとつの乳酸菌で3つの温度帯で発酵させてもらって・・・っていうのを繰り返したりして、結局、自分が食べたいと思うヨーグルトになるまで、1年くらい試行錯誤を繰り返しました」。

こうして出来上がったヨーグルトは、もっちりしたテクスチャー。まるで生クリームを食べているかのように濃厚で、ナチュラルな甘味も感じられます。そのままでももちろん、ちょっとしたトッピングを加えるだけで立派なデザートにも。

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食べるヨーグルトをつくった後で、嶋田さんが取り掛かったのが「飲むヨーグルト」の試作。最初のヨーグルトと同じ乳酸菌を使うと味がイマイチだったそうで「それも乳酸菌をいろいろ変えて試作して。本当に大変でした」と苦笑します。

牧場内のタンクの中で発酵させてから攪拌し、容器に充填します。一度につくれるのは、大きいボトル40本、小さいボトルで200本と少ロット。なので、取り扱い販売店ではすぐに売り切れてしまうこともあるのだとか。

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また、牧場内のヨーグルト工房「アトレイユ」では、ヨーグルトとのむヨーグルト、どちらもいただくことができます。

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ヨーグルトはミックスベリーとハニーナッツ、のむヨーグルトはマンゴージュレとレモンジュレのそれぞれ2つのフレーバーを揃えました。

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「夏でもさっぱりと飲める、ジュレと合わせたのむヨーグルトが人気なんですよ」と、嶋田さん。

見た目にも美しい、ヨーグルトのさっぱりスイーツは、蔵王温泉の帰りに牧場に立ち寄る観光客にも大人気なのだとか。村田町を訪ねたら、ぜひ牧場で絶品ヨーグルトを試してみてはいかがでしょうか。

商品の詳細はコチラ

株式会社ゼルコバドリーム

住所 〒989-0841 宮城県刈田郡蔵王町小村崎原東7
TEL 0224-22-7033(代表) FAX 0224-22-7033
URL https://www.zelkova-dream.jp/

ゼルコバ ロゴ

ヨーグルト工房Atreyu(アトレイユ)

住所 〒989-0841 宮城県刈田郡蔵王町小村崎向原68-1
営業時間 10:00-15:00
定休日 なし
TEL 0224-22-7033

URL https://atreyu.murakami.farm/

ゼルコバドリーム様⑪

撮影/堀田 祐介

東北大学法学部卒業後、仙台市内の商業写真撮影会社に就職。写真の道に進む。アシスタントを経てカメラマンとなり、物撮、人物撮影など、写真全般にわたり様々な仕事をこなしながら10年勤務。その後準備期間を経て独立、現在はフリーランスとして、プロバスケットボール・仙台89ERSオフィシャルのほか、広告、雑誌、ウェブなど幅広く手掛けている。

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株式会社木の屋石巻水産
・やわらか小女子煮
・漢方和牛大和煮
・宮城県産牡蠣の燻製油漬け

株式会社木の屋石巻水産は、仙台市産業振興事業団が主催する新東北みやげコンテスト受賞企業です。

地元石巻を中心とした海産物を加工し、缶詰にして日本全国に宮城の海の幸を届けています。
第2回「やわらか小女子煮」優秀賞
※こちらは現在終売となっております。

第3回「漢方和牛大和煮」入賞
※こちらは現在終売となっております。

第5回「宮城県産 牡蠣の燻製油漬け」入賞

 3つの漁港を有する石巻市は、日本の中でも「魚のおいしいまち」として知られています。その石巻では、当然のことながら水産加工業も盛ん。そのひとつである、株式会社木の屋石巻水産は、1957年の創業。港町で、美味しい缶詰をコツコツとつくり、人々の食卓に届けてきました。

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 そんな木の屋の看板商品は、「鯨の大和煮」。赤いボディに一目で柔らかいと分かる鯨の大和煮の写真がプリントされた缶詰は、木の屋のシンボリックな存在。震災前に巨大な看板になっていたこともあるので、覚えている人も多いのではないでしょうか。

木の屋石巻水産様②

 木の屋の本社と工場は、震災当時海沿いにあったため、甚大な被害を受けました。当時を振り返って、工場長代理の松友倫人さんは「震災直後は売る商品がなくて。缶詰倉庫も津波でやられ、普通では販売できないんですけど、『大丈夫な商品を販売してほしい』という動きが、お客様発信であったんですね。それがだんだん広がっていって、メディアでも取り上げられて。本来なら売り物にならない缶詰を義援金と交換という形で現金に換えることができたんですよ。だから、工場は稼動してなかったけれど、現金を得て社員に給料代わりに配ることができたんです。それもあって、震災前の社員がそれなりに会社に残ることができました。本当に感謝しかありません」。

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写真:「木の屋石巻水産」ウェブサイト スクリーンショット

 ここ最近は、お客様と双方向のコミュニケーションにも力を入れ始めました。
「言い方は乱暴かもしれませんが、以前はオンラインショップも“売店をネットで表示しているだけ”の状態でした。木の屋を知っているお客様にはいいけれど、知らないお客様に届けることがなかなか難しかった。震災からの復興、そしてその先のことを考えて業務を再編し、その中の一環としてお客様とのコミュニケーションを増やそう、とウェブサイトもリニューアルしました」。
 新しくなったウェブサイトの中には、木の屋石巻水産の商品の裏側にあるストーリーや、そこで働く人たちの想いを伺うことができます。

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写真:人気商品「金華さばの味噌煮」は、脂の乗った金華さばを人の目でも選別。缶の中にさばと調味料を加えた後に加熱調理します

 松友さんは「私は出身が静岡で、東京から転職で石巻に来たんです。『いしのまき』と読めなくて、『いしまき』だと思っていたくらい、縁のない場所でした。でも商品を取り寄せて食べてみたら『なんだこれは!』って衝撃を受けて。それで転職を決めちゃったほど(笑)。石巻は、木の屋の商品だけじゃなくて食、そして観光も素晴らしい。でも、地元の人にはそれが当たり前で、僕が『おいしい!』と言っても『あたりまえだっちゃ』って返ってくる(笑)よそ者だからこそ、『食べてもらうまでが大事』と思っていて、『食べたらわかる』を『食べてみたい』につなげることが必要なのだと思いました。その中で変えていったひとつがホームページで、見てくださった方が『きれいですね』とか『木の屋がどういうものをつくっているのか分かった』とおっしゃってくださるのがうれしくて」と笑顔をほころばせます。

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写真:「木の屋石巻水産」美里工場に併設されたショップ。商品ラインナップをみているだけでも楽しい

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第2回新東北みやげコンテスト優秀賞に輝いた「やわらか小女子煮」は、震災後に生まれた商品のひとつ。「三陸では、小女子(こうなご)が取れて、それを煮干にしてから佃煮にするんです。でも、せっかく新鮮な原料なんだから・・・ということで、佃煮を鮮魚からつくった。すると、食感も柔らかく、にがみやえぐみも取れたんです」。

他社と同じことをやってしまうと価格競争になってしまうところを、自社の持つリソースを最大限に活用しながらオンリーワンを開発。小さな子どもからお年寄りまで支持される商品となりました。

※やわらか小女子佃煮(白胡麻)は現在終売となっております。

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第3回新東北みやげコンテスト入賞の「漢方和牛大和煮」、第5回新東北みやげコンテスト入賞の「宮城県産 牡蠣の燻製油漬け」も震災後に生まれた商品です。

「栗原市にある関村農村と営業がご縁をいただいて、『一緒に何かできないか』と商品開発が始まりました。弊社は水産のイメージが強いとは思うのですが、もともとのメインは鯨です。鯨も牛も大型の哺乳類で、大きなブロックをスライサーでスライスして下茹でして缶に入れて・・・という、鯨のつくり方がそのまま和牛になったんですよ」と、松友さん。

※漢方和牛大和煮は現在終売となっております。

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「牡蠣の燻製油漬け」は、一度燻製してから油に漬けたもの。スモーキーな味わいで、お酒のおつまみにぴったりです。松友さんは、「震災前は水煮を出していました。が、社内に燻製機があるので、自分たちでつくってみようということになったんです。宮城の牡蠣の美味しさを伝えるため、牡蠣屋さんから美味しいものだけを買って。価格面で高くなりすぎないように、あえて粒をそろえないでつくりました」と教えてくれました。

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写真:新東北みやげコンテスト受賞商品3品は、お皿に並べるだけで立派なおつまみに。
パントリーに備えておけば、急なお客様のときに重宝しそうです

震災をきっかけに、大きく変わった石巻。「震災からの復旧が目標なのではなく、永続的に営業していけるようにしなくてはいけません。復旧しても働く人がいなかったら会社は回らないので、みんながそこで働きたいと思う会社にすることも大切だと思います。そして、『うちだけが儲かればいい』ではなく、地元で売り上げを立てて、利益を回せる会社でありたいと思うのです」。

水産のまち・石巻で、木の屋石巻水産はこれからも地域のみなさんと一緒に成長していくことでしょう。



牡蠣の燻製油漬け
の詳細はコチラ


国産あなご醤油煮の詳細はコチラ

株式会社木の屋石巻水産

石巻本社工場
〒986-0022 宮城県石巻市魚町1-11-4
TEL:0225-98-8894 FAX:0225-98-8896

美里工場
〒989-4206 宮城県遠田郡美里町二郷字南八丁2-2
TEL:0229-29-9429  FAX:0229-29-9438

直売所(美里工場1階)
営業時間 10:00-17:00
定休日  お盆・年末年始
工場見学・直売所 お問い合わせ
TEL:0229-87-5593

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撮影/堀田 祐介

東北大学法学部卒業後、仙台市内の商業写真撮影会社に就職。写真の道に進む。アシスタントを経てカメラマンとなり、物撮、人物撮影など、写真全般にわたり様々な仕事をこなしながら10年勤務。その後準備期間を経て独立、現在はフリーランスとして、プロバスケットボール・仙台89ERSオフィシャルのほか、広告、雑誌、ウェブなど幅広く手掛けている。

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株式会社斉吉商店
「ひとくち金のさんま」

株式会社斉吉商店は、仙台市産業振興事業団が主催する新東北みやげコンテスト受賞企業です。
港町・気仙沼の新鮮な海の幸を、食べやすく調理して、食卓に届けています。

第3回「ひとくち金のさんま」入賞

斉吉商店様①

 宮城県の北部に位置する気仙沼市。古の時代から、豊饒の海の恩恵を受けてきた日本屈指の港町です。

 ここに本社を構える株式会社斉吉商店は、大正10年創業の水産加工会社。東日本大震災前までは、飲食店などに商品を納める卸業として商いを続けてきました。

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「震災をきっかけに小売りに変えたんです。小売りの仕事をしたかったので。だから、会社の創業は大正10年ではありますが、創業7年目の気持ちです」と話すのは、斉藤吉太郎さん。

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「自分もそうなんですけど、やっぱりお土産って常温で日持ちするものが欲しいじゃないですか。だから、低い温度でじっくり仕上げて日持ちする『ひとくち金のさんま』をつくったんです。『金のさんま』という商品は昔からあるんですけど、そのつくり方を工夫しました」。

斉吉商店様④

 商品ができてからもパッケージなどのデザインに時間をかけ、開発から1年半で販売を開始。

「パッケージで売ろうとは思っていないけど、会社の雰囲気を表現できているほうがいいよね、というので東京のデザイン会社さんに見てもらってこのような可愛らしいデザインになりました」。

「社員が外で見てきた“いいもの”と、自分たちができることを組み合わせることはいつも考えています。いつも何かしらはつくっていますよ」と、吉太郎さん。

 
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 魅力的な商品を次々と世に送り出していく斉吉商店。
本社から車を走らせること10分ほどの高台には、「鼎 斉吉」があります。ここは、斉吉商店の商品を購入することができるショップと、啓志郎さんが腕を振るう食事処。

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「もともとは予約のみのレストランをやってはいたんですけど、それをこの場所に移して、予約なしで大丈夫な食事処にしたんです」と、啓志郎さんは話します。

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 お店での売れ筋商品は、やはり『金のさんま』だそう。

「どの家庭でも食べる料理なんですよ。さんまを煮るのって、気仙沼では定番で。うちもおばあちゃんが炊いていたものを近所に配ったり、親戚にあげているうちに『美味しい』って言われ始めて、そこから磨いて商品になっていったんですよね。『金のさんま』は、たれを継ぎ足して30年。私より先輩です(笑)。あと最近は、やはり常温で日持ちする『ひとくち金のさんま』も人気ですね。

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写真:鼎斉吉のお料理の数々。この味を目指し、遠方から足を運ぶお客さまも

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 社員が協力しあって、美味しい商品を全国に届けるだけでなく、そして地元の“働きたい会社”を目指す斉吉商店。みなさんも気仙沼に足を運んだら、ぜひ訪ねてみてください。

商品の詳細はコチラ

株式会社斉吉商店

住所 〒988-0031 宮城県気仙沼市潮見町2-100-1
TEL 0226-22-0669 FAX 0226-23-2253
URL http://www.saikichi-pro.jp/

斉吉商店ロゴ

鼎 斉吉

住所 〒988-0014 宮城県気仙沼市柏崎1-13
TEL 0226-22-0572
営業     10:30-17:30
お買いもの 開店から閉店時間まで
ランチ営業 11:00-14:00
喫茶営業  14:00-17:30(LO 17:00)
夜営業   4名様以上 17:30以降21:00まで
予約コースのみ5,000円から
定休日 火曜日
URL http://www.saikichi-pro.jp/store/kanae/

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撮影/堀田 祐介

東北大学法学部卒業後、仙台市内の商業写真撮影会社に就職。写真の道に進む。アシスタントを経てカメラマンとなり、物撮、人物撮影など、写真全般にわたり様々な仕事をこなしながら10年勤務。その後準備期間を経て独立、現在はフリーランスとして、プロバスケットボール・仙台89ERSオフィシャルのほか、広告、雑誌、ウェブなど幅広く手掛けている。

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山長 小野寺商店
「気仙沼海ごはん 海のもと」

山長 小野寺商店は、仙台市産業振興事業団が主催する新東北みやげコンテスト受賞企業です。

港町・気仙沼の新鮮な海の幸を取り揃え、食卓に届けています。

第2回「気仙沼海ごはん 海のもと」特別賞受賞

小野寺商店様①

日本屈指の港町・気仙沼市。

ここで、厳選した海の幸を販売しているのが、「山長 小野寺商店」です。

「主人が3代目なんです。このお店は主人のおばあさんがリヤカーを引いて行商していたのが始まりなんですよ」と話すのは、小野寺由美子さん。

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「新東北みやげコンテスト」で特別賞を受賞した「海のもと」の生みの親です。

 山長小野寺商店も、東日本大震災によって、大きな被害を受けました。

それまで卸中心だった商いを、小売りへと変更。

「今までの生き方ではダメだ、って思ったんです。それで仮設店舗で小売りを始めました。それこそ、震災のすぐ後は、たくさんの方たちが応援に来てくれて、商品も買って行ってくれました。でも、そんな状態がずっと続くわけはないし、自社商品がなかったら生き残れない!って」。

商品開発の経験がない由美子さん。「でも、宮城は米どころだし、海のものをふりかけにしたら受けるんじゃないかと思ったんです。それに、常温で軽くて持ち帰りやすいものなら、お土産としてもいいと思ったんですよね」。

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 そこで由美子さんは、仙台市産業振興事業団や創業スクエアの協力を仰ぐことにしました。

「フードコーディネーターさんから助言をいただいたりしたんですけど、なかなか決まらなくて…。魚がいいかなとか、海藻がいいかな…とか、アパートの台所で試作の日々で(笑)。結局、海藻をふりかけにしようということでできたのが『海ごはん』という商品です。自社商品をつくろう!って決めてから1年経っちゃいました」。

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 その後、パッケージデザインをデザイナーに依頼。「デザイナーさんと一緒に仕事をしたことがなかったのですが、やっぱりプロの方はすごいんだなと思いました。気仙沼らしいシンプルなパッケージで、すごく気に入りました」。

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「海ごはん」に続き、さらに商品開発を進めていった由美子さん。

「乾物って買っても使いきれない…という声を聞いて、じゃあ、使いきりの個別包装のものもつくろう!と。それが、『海のもと』なんです」。

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 ふのり、わかめ、とろろ昆布を小さな使い切りパックにしたことで、いつもの料理にひと手間加えたり、ちょっと味のアクセントがほしいときのアイテムになりました。

「ご紹介いただいた商品開発のプロの方と、サラダのトッピングにしてみたり、カップラーメンに加えてみたり。いろいろ使えて、便利だなって自分でも思っちゃいました」と、屈託なく由美子さんは笑います。

小野寺商店様⑦

 「自分たちでつくり出した商品は我が子のようですね。この商品をきっかけにスーパーマーケットトレードショーにも参加したんです。もちろん、営業も初めてで。でも、この経験を通して、モノの見方が大きく変わりました。それに、新東北みやげコンテストで賞までいただけて、うれしい限りです」。

小野寺商店様⑧

 自ら商品を開発し、営業に回り、店も切り盛りする由美子さん。実は、東京出身で嫁いでくるまで気仙沼には縁がなかったのだとか。

「だからこそ、気仙沼の海のものがおいしくて、素晴らしいかわかる部分もあると思うんです。これからもいいものを全国のみなさんに届けていきたいです」。

 そんな由美子さんに今後の目標を聞いてみました。

「春夏秋冬、4種類のふりかけをつくりたいんです。秋はサンマ、冬は大島のゆず…とか。大人のふりかけをつくって、ギフトにしたいんですよね」。

 今やすっかり港町の女将さんとなった由美子さん。

愛らしい笑顔と、おいしい海の幸でこれからもたくさんの人に幸せを届けていくことでしょう。

山長 小野寺商店

住所:〒988-0066 宮城県気仙沼市東新城1-7-5
TEL:0226-22-1816
URL:https://www.k-yamachou.com/

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撮影/堀田 祐介

東北大学法学部卒業後、仙台市内の商業写真撮影会社に就職。写真の道に進む。アシスタントを経てカメラマンとなり、物撮、人物撮影など、写真全般にわたり様々な仕事をこなしながら10年勤務。その後準備期間を経て独立、現在はフリーランスとして、プロバスケットボール・仙台89ERSオフィシャルのほか、広告、雑誌、ウェブなど幅広く手掛けている。

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エントワデザイン株式会社
「仙台弁こけし手ぬぐい(いぐすぺ3色)」

エントワデザイン株式会社は、仙台市産業振興事業団が主催する新東北みやげコンテスト受賞企業です。宮城のご当地キャラクター「仙台弁こけし」のグッズや企画をプロデュースしています。

第3回「仙台弁こけし手ぬぐい(んだ)」入賞
第4回「仙台弁こけし手ぬぐい(いぐすぺ)」特別賞

 「んだ」「やっぺす」など、仙台人にはおなじみの言葉とともに、愛らしい表情を見せてくれる「仙台弁こけし」。今や仙台名物になりつつあるほどの人気を誇るこのキャラクターの作者は、宮城在住イラストレーターのジュゴさん。

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 2014年の冬に誕生したという、この「仙台弁こけし」は、LINEスタンプから始まったのだそうです。

「ちょうど、LINEスタンプが一般の人でも制作・販売できるようになったタイミングだったので、何かスタンプをつくってみたいなと考えていました。そんな中、私自身が3世代の家庭で育ち、日常の暮らしの中で仙台弁が使われている環境にいた経験が活かせないか…と考えたんです。若い人が仙台弁に触れる機会が減ってきているので、面白がってもらえるのではないかという想いがありました。こけしは、東北の田舎の家には必ずある身近で素朴な工芸品なので、こけしに仙台弁をしゃべらせたら面白そうというアイデアから『仙台弁×こけし』の組み合わせを思いつきました。また、若い女性を中心にこけしブームが起こっていた時期でもありました」とジュゴさんは話します。

 「LINEスタンプはたくさんの種類があり、何もしなければ埋もれていってしまうため、Twitterで田舎暮らしの日常や仙台弁のことを『仙台弁こけし』が毎日つぶやくようにしました。新聞記事をシェアしたり、イベントをお知らせしたり、地元の美味しいものを紹介したりと、宮城・仙台に関することをいぎなし訛った仙台弁で発信しています。Twitterは双方向のコミュニケーションができるので、ファンのみなさんとの親睦を深めることもできます。今ではフォロワー数が18,000人を超える(2018年12月20日現在)アカウントとなり、その中から新たな交流も生まれました」と、エントワデザインの佐藤寛和さんは話します。

 「歌手のやなせななさんが仙台弁こけしを気に入ってくださり、ライブイベントで配る用に仙台弁こけしの缶バッジが欲しいとおっしゃってくださったんです。それで『NPO法人南相馬ファクトリー』という福祉作業所を支援している団体を紹介いただき、そこで缶バッジを製作することになりました」。

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 こうしてグッズになった「仙台弁こけし」は、マグネット、トートバッグなどこれまでに15種類ほどのアイテムとなって販売されました。日本郵便株式会社とのコラボレーション企画、「仙台弁こけし オリジナルフレーム切手セット」は今年の夏に第3弾が発売されました。

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 文字だけでは伝わらない、生の仙台弁(実際の訛りやイントネーション)を広めたい、ファンのみなさんと直接交流してみたいとの想いから、会話ができる着ぐるみをつくりました。

 河北新報社のPR大使としてCMに出演したり、ゆるキャラグランプリに出場したり、東急ハンズ仙台店で一日(いづぬづ)店長をしたりと、仙台弁をしゃべる着ぐるみは大きな存在感を放ちました。

 仙台市長選の投票啓発キャラクターに採用されたときには、地下鉄に乗って投票を呼びかける姿を新聞やニュースで取り上げていただき、大きな話題にもなりました。

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 これほどまでに愛されるキャラクターになった秘訣は何なのでしょう。

 「仙台弁にあまり馴染みがない人も、可愛らしいイラストや独特のゆるい世界観で、ほっこりできるところではないでしょうか。地元宮城を離れた方が懐かしがってグッズやLINEスタンプを使ってくださることも多いようです」と、佐藤さん。

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 LINEスタンプからスタートしたキャラクターが着ぐるみとなり、今や仙台のアイコン的存在になりつつあります。

 佐藤さんに、今後の「仙台弁こけし」の展望を聞きました。

 「これまでリリースしているLINEスタンプは、今では18弾目になりました。まだまだ手探り状態ではありますが、イラストレーターのジュゴさんと一緒に『仙台弁こけし』をより楽しんでもらうために取り組んでいます。いつかアニメーションを制作できたら面白いなと思っています。また、4コママンガ本もリリースできたら…と考えています」。と笑顔で答えてくれました。

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仙台弁こけしのプロデューサーを手がける、エントワデザイン株式会社 代表取締役 佐藤寛和さん

 これからも「仙台弁こけし」は、たくさんの人たちの心をほっこりさせてくれることでしょう。

エントワデザイン株式会社

住所:〒981-3625
    宮城県黒川郡大和町吉田字八合田24-1
TEL/FAX:022-346-0238
URL: http://entowa.jp

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撮影/堀田 祐介

東北大学法学部卒業後、仙台市内の商業写真撮影会社に就職。写真の道に進む。アシスタントを経てカメラマンとなり、物撮、人物撮影など、写真全般にわたり様々な仕事をこなしながら10年勤務。その後準備期間を経て独立、現在はフリーランスとして、プロバスケットボール・仙台89ERSオフィシャルのほか、広告、雑誌、ウェブなど幅広く手掛けている。

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有限会社ファーム・ソレイユ東北(お茶のあさひ園)
「kitaha」

有限会社ファーム・ソレイユ東北は、仙台市産業振興事業団が主催する新東北みやげコンテスト受賞企業です。

第4回「kitaha」入賞
第5回「東北生まれ紅茶のクッキー」入賞

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 北上川を望む高台に広がる、約1.5ヘクタールの茶畑。

ここが、北限の茶葉として知られる桃生茶の産地です。この場所は、北上川からの水蒸気が適度な湿度を与え、高地にあるために気温の寒暖差が大きい、茶葉にとってはまさに“奇跡の場所”。肉厚で、端麗な味わいの茶葉が育つのです。

 この桃生茶を、東北初の和紅茶にしたのが、石巻市に店舗を構える有限会社ファーム・ソレイユ東北(お茶のあさひ園)です。

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 まだ夏の気配を残す9月のある日、この茶畑では2018年最後の茶摘みが行われました。お茶のあさひ園店長の日野和惠さんは「宮城では、5月から9月まで茶摘みを行います。今年は急に暑くなってしまったのと、そのあとの台風などで雨が多くて…。思ったよりも収穫が少なかったんですよ」と話します。

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 実は、伊達政宗公の時代からあったという桃生茶。しかしながら、一時廃れてしまい、100年ほど前にこの茶畑を所有する「鹿島茶園」が復活させました。3代目主人で、この茶畑の管理をしている佐々木浩さんは「肥料を入れて、草を刈る。水はやらずに、自然のままに。生産できるのは、生の葉っぱで5,000キロくらいだね」と教えてくれました。

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 昭和47年(1972)創業のお茶のあさひ園で、和紅茶「kitaha」の開発が始まったのは、東日本大震災がきっかけでした。和惠さんの娘である朱夏さんは「父である社長のアイデアでした。どうしても石巻というと震災というイメージがあると思いますし、実際に私たちの店も津波の被害を受けました。そんな中で、私たち石巻の人間が元気に頑張っているということを発信したかったようです。

 でも、私たちにとってもゼロから商品をつくるなんて初めてのこと。そもそも、和紅茶ってどうやってつくったらいいのか分からないし、どこに、誰に、何を頼めばいいのかかもわからなくて。それでも『紅茶をつくりたい、つくりたい』と言っているうちに、村松二六さんとつながることができたんです」。

“日本の紅茶の第一人者”である村松氏が桃生茶の茶畑を観察した際「これは紅茶にも合う」とお墨付きをくれたのだそう。

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 というのも、先述の通り、この場所は寒暖の差が激しく北上川の恵みを受ける“奇跡の場所”。その環境は、紅茶の名産地であるスリランカにも似ているのだとか。

 そして、静岡にある村松氏の丸子紅茶で、東北初、そして東北発の和紅茶の製造が決定しました。

 そこから、あさひ園での試行錯誤が始まりました。

 茶葉を摘み、クール便で丸子紅茶に茶葉を送ると「あちらについたときには、もう茶色く変色していたり、枯れてしまっていたり。お茶の葉っぱって、摘んだ後に熱を持つので、その熱で変色してしまうんです。その後はドライアイスと一緒に送ってみたりしたんですけど…。結果、今年からは自分たちで12時間以内に静岡まで届けることにしたんですよ」と、朱夏さん。

 コストは上がり、量産は難しくなってしまいますが、それでも美味しい和紅茶をつくりたいとの思いで、石巻から静岡まで車を走らせます。

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こうしてできあがったkitahaは、ふわりとした甘味のある上品な味わい。「紅茶は封をあけるとすぐに風味が落ちるのですが、この紅茶は時間が経つほど甘くなるんです。空気に触れることで美味しさが増すのでしょうか。おすすめは、80度くらいのお湯で3分ほど蒸らして飲む方法。先日、仙台からいらした紅茶に詳しいお客様が『仙台は軟水で石巻は硬水なので、石巻の水道水で飲んだ紅茶のほうが美味しい』とおっしゃっていました。水を変えて飲んでみるのも、面白いかもしれませんね」と、和惠さんは笑います。

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 ロゴやパッケージデザインは、仙台市産業振興事業団の支援を活用し、石巻在住のデザイナー渡邉樹恵子さんに依頼。茶畑から望む北上川の風景を見事にデザインに落とし込みました。

「先ほども申し上げた通り、ゼロから商品をつくるのは初めて。どうやってターゲットを決めるか、値段はどうやってつけるのかなどの基礎知識から教えていただきました。デザインについても、主人は『我々の持っていない知識をお持ちの人たちだから、すべておまかせしよう』と話していました。そうしたら、期待以上のものができあがってきて…。感動でした」と話すのは、和惠さん。

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 kitahaは、その後も引き続き、仙台市産業振興事業団の支援を受け、和紅茶を使ったスイーツ(*)「東北生まれ紅茶のクッキー」も開発。フードコーディネーターの佐藤千佳さんの協力を得てできあがったレシピを石巻市内の就労支援施設「パーラー山と田んぼ」で製造しています。
(*)現在「東北生まれの紅茶のクッキー」はクッキーボール「ふわとぼうる」に変更になりました。

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 さらには、「東北生まれ和紅茶の琥珀糖」もつくりました。朱夏さんは「クッキーは“すぐに手を伸ばせるもの”としてつくったのですが、うちはやっぱりお茶屋なので。お茶席にも出せるものということで琥珀糖もつくったんです」。

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写真:静岡に向かう有限会社ファーム・ソレイユ東北の社長で日野家の大黒柱・雅晴さんを囲んでの家族ショット

 朱夏さんに今後の展望を伺うと「父は『チョコレートをつくりたい』と言っていました(笑)。私は、お菓子をつくった際に余ってしまう茶葉でストールをつくりたいな、と考えています。飲むkitaha、食べるkitahaができたので、今度は着るkitahaをつくりたい。そういうシリーズをつくっていければいいな、って」と笑顔を見せてくれました。

kitahaの詳細はコチラ

kitaha-纏-もどうぞ

有限会社ファーム・ソレイユ東北
(お茶のあさひ園)

住所:〒986-0828 宮城県石巻市旭町10-8
TEL:0225-22-2887
営業時間:10:00~17:00
定休日:日曜日・祝日
URL:https://ocha-asahien.co.jp/

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服部コーヒーフーズ株式会社
「仙臺杜の香り本舗 塩珈琲豆大福」

服部コーヒーフーズ株式会社は、仙台市産業振興事業団が主催する新東北みやげコンテスト受賞企業です。

第3回 「仙臺杜の香り本舗 塩珈琲豆大福」入賞

昭和30年(1955)、自宅の一部を改装して自家焙煎コーヒー豆を販売したことから始まる服部コーヒーフーズ株式会社。現在は、東日本地区全域の飲食店にコーヒーやチーズ、さらには調味料までも販売する、仙台を代表する食品卸会社です。

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そんな服部コーヒーフーズが、2015年に立ち上げた新ブランドが「仙臺杜の香り本舗」。コーヒーに合うスイーツを提供しようとスタートしました。

同社営業部の課長で栄養士、フードコーディネーターでもある磯谷綾子さんは「弊社は、コーヒーを中心とした卸がメインの会社です。コーヒーを知っているからこそつくれるスイーツがあるのでは、とのことで2015年にスイーツブランド『仙臺杜の香り本舗』を立ち上げました。その第一弾として誕生したのが、『塩珈琲豆大福』です」と話します。

販売当初はお土産として、仙台駅のおみやげ処での限定販売でしたが、「新東北みやげコンテスト」で入賞してからは、さまざまなチャンネルでの販売を開始。
なんとJALの国内線のファーストクラスのデザートでも採用されました。

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写真:左から磯谷綾子さんと鈴木亜紀さん

その開発秘話を伺うと、同社営業部の鈴木亜紀さんは「実は、この商品は、弊社の社長のアイディアで開発が進んでいったんです」と教えてくれました。

コーヒーに合わせるスイーツというと、ケーキやクッキーなどの洋菓子をイメージする人が多いはず。そんな中、服部冬樹代表取締役社長は「コーヒーに合う和菓子があってもいいのでは」と発案。服部コーヒーフーズとして初めて小売り向けの商品開発にあたることになりました。

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「最初は飴を考えてみたり、洋菓子系も出たのですが、『和でいきたい』という社長の意思のもと『大福でいこう』、となりました。一番苦労したのは、塩と小倉餡とコーヒー味のバランス。白餡だとすぐにコーヒー味がつくので簡単なのですが、小倉餡のつぶにこだわってしまったので、味を調えるのが大変だったんです」と、磯谷さんは明かします。

あんこの中には、コーヒーと伊達の旨塩が入っていますが、なぜ塩を入れようと考えたのでしょうか。「実は、コーヒーにひとつまみ塩を入れると美味しくいただけるんです。それを大福でもやってみよう、と試してみました。実際にやってみたら、塩を入れると甘味がスッと引くので、甘いものが苦手な方でも美味しく召し上がっていただけるものになったと思います」と、鈴木さん。

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味付けに欠かせないコーヒーは、もちろん自社製品。『杜の香り』という服部コーヒーこだわりのブレンドコーヒーの微粉末を使用しています。レギュラーコーヒーの粉を入れるとざらつきが出るので、この微粉末に落ち着きました。」と、磯谷さんは教えてくれました。

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餅生地にもこだわりました。鈴木さんは、「大福に合う、柔らかいお餅を求めていて。あまり柔らかすぎても包めないですし、固くても伸びが悪くて包めないんです。さらに、餅の生地に豆が入ったことで穴が開いてしまう。そんな中でも、一緒に取り組んでいる製造元の協力もあり、餅らしい、柔らかな食感のお餅をつくっていただくことができました」と。

さらに、大福の中に入るクリームも、あんこに合う味わいで2種類をブレンド。乳脂の割合で味が変わるため、コーヒーとの相性を何よりも優先させました。

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真っ白なパッケージは、服部社長のこだわりだったといいます。「お菓子は、汚れの問題もあって、白いパッケージがないんですね。ですが『塩珈琲豆大福』は、真っ白なパッケージを塩の結晶に切り抜きして、下地に赤を敷いたんです」と、磯谷さん。

デザインを担当したのは、パッケージ資材を扱う企業のデザイナー。何案かデザインを出してもらいながら、「塩の結晶を入れられますか?」「コーヒー豆の形に切り抜きできますか?」などとのやりとりを半年ほど重ね、インパクトのあるパッケージが完成しました。「ネーミングももちろん、デザインの白と赤が目立つので『これはなんだろう』と手にしていただくことが多いのかな、と思います。デザインの力は本当に大きいと思いますね」と、鈴木さん。

販売開始から、4年目。最初はあえて「服部コーヒーフーズ」の名前を表に出さなかったのだといいます。
「食べて、パッケージを見て『あ、服部コーヒーフーズさんなんだ、だからコーヒーね』と反応をくださるお客さまも多くて」と、磯谷さんは笑います。
磯谷さんも「『塩珈琲豆大福』という名前で味の想像がつかないようで、食べると『おーっ』という反応をいただくようです。これは弊社社長の『思いがけなさ、驚きを加えたい』という思いが実現したもの。今後も、意外性や食べた感動を追及しながら新しい商品開発ができたらいいですね」と目を輝かせます。

この商品は、直営店の「エビアン エスパル店」でも、塩珈琲豆大福とサイフォンで丁寧に淹れたコーヒーとのセットで提供しています。

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さらに、新商品のリリースも決定。
その名も、伊達の旨塩とベルギー産クーベルチョコレートを使用した「COCO 小町」。香ばしく焼き上げたココナッツをコーヒーと高級チョコレートでコーティングした一品で、一口食べればクセになるスイーツです。

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これからも、服部コーヒーフーズは、自社の強みを活かしながら、消費者をあっと驚かせるような商品をつくり続けていくことでしょう。

服部コーヒーフーズ株式会社

住所:〒980-0014 仙台市青葉区本町1丁目3-21
営業時間・お問い合わせ:9:00~17:00
定休日:土・日曜日・祝日
TEL:022-214-8010
URL:http://www.hattori-cf.co.jp/index.html

杜の香り本舗ロゴ

グリーンパール納豆本舗
「ナットチーネ/ナットメン」

有限会社大永商店グリーンパール納豆本舗は、仙台市産業振興事業団が主催する、新東北みやげコンテスト受賞企業です。
第3回 「ナットチーネ/ナットメン」 入賞
第4回 「蔵政」 インバウンド特別賞

宮城県南部のまち、村田町。蔵王連峰を望み、“蔵の街”として知られるこの場所に、昭和21年(1946)から納豆づくりを行っている「グリーンパール納豆本舗」があります。

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 もともとは、薪炭業として始まった商いでしたが、「父である先代が“やってみたい”ということで、商売替えしたんです」と、大沼賢治社長。

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 最高級の北海道産大粒大豆を使用した看板商品の「グリーンパール納豆さっぽろ」をはじめとする、こだわりの品質の納豆をラインナップしているだけでなく、納豆を使ったユニークな商品開発も話題となっています。

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 その中のひとつが、2016年の「新東北みやげコンテスト」で入賞した納豆パスタ「ナットチーネ」と納豆ヌードル「ナットメン」。

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 この商品の開発を始めたきっかけは、2004年のアメリカ進出。大沼社長は、「あちらで飲食業に携わる日本の方が、お土産用に弊社の納豆を買ってくださって、それが日系スーパーのバイヤーの方にわたったんです。それで、『取引をさせてほしい』と連絡をいただきました」と話します。こだわった本物の納豆を探していたというバイヤーの話に、大沼社長は「現地の人の反応を見たいので、販売場所の前で試食販売をさせていただくことにした」のだそう。そのスーパーに来るカスタマーは、6割が日本人もしくは日系人。

「ところが、日系人以外の人たちは、試食には喜んで来るのに、口元まで持っていくと『こんなの食べ物じゃない!』と顔をしかめるんです。すごくショックでしたね」と大沼社長。

 そしてそのとき、現地で食に携わる人から「アメリカで納豆を広めるなら、アメリカ人が食べやすいような形にしたほうがいい。日本人が考えるような食べ方で納豆を持ってきても、失敗しますよ」というアドバイスをもらったそう。そうして大沼社長が「世界中のみなさんが食べる食べ方」ということで、最初に考えついたのがパスタでした。

 帰国後、納豆をパスタにしようといろいろな製麺所を当たった大沼社長ですが、「ところが、やってくれるというところがなかったんです。納豆を乾燥させて粉にして持っていくのですが、『麺の中に納豆の菌が入ると、ほかにどういう影響があるかわからない』という話でした」。

 しかしながら、大沼社長のこの挑戦は、思わぬ副産物を生み出しました。

「納豆を乾燥させて粉にする段階で、ドライ納豆ができたんです。それがすごくおいしくて。そしてそれを、大人の方がお酒のおつまみにできるようチョコ納豆にしました」。

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 しばらく暗礁に乗り上げたままの納豆パスタでしたが、震災後、ある展示会で運命的な出会いを果たします。
宮城県内で米粉麺をつくっている方と隣り合わせのブースになり、「話してみたら『やりましょう』と言ってくれたんですよ」と、大沼社長は当時を懐かしむように振り返ります。

 納豆のプロと製麺のプロ、この両者がお互いに話合いと試作を重ねること4年。ついに、納豆ヌードルが完成しました。
「きっかけはアメリカ進出をもくろんでのことでしたが、『日本でも売っていいよね』と。それで最初は細麺のヌードルをつくったんです」。

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 宮城県産の大豆を使った納豆に、宮城県産のササニシキ。このオール宮城の細麺ができた後に、太麺のパスタも完成。それが、2015年のことでした。

 そしてその翌年の2016年、ついに大沼社長は、アメリカへの再進出を果たします。それが、同年カリフォルニア州ロサンゼルスで行われた東北フードフェアでした。バイヤー向けにランク付けでは5つ星を獲得。現地でシェフを集めての試食会でも、高い評判を得ました。

「『こんなに素晴らしい麺を発明したおまえは、ノーベル賞ものだ』とか、『ナッツが入っているのか?』など、いい面での反応があって、うれしかったですよね」。

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 こうして、納豆ヌードルと納豆パスタは、ロサンゼルスで話題に。現地バイヤーからは全米展開も提案され、今後のビジネスも大きく飛躍しそうだといいます。

 商品が完成したあと、大沼社長はパッケージデザインも「プロの力を借りよう」と決意。
デザイナーさんにお願いはしたいけれど、どこにお願いしたらいいかわからなかったし、納豆に関してのフィルターがまったくない人がよかったんです。僕は納豆屋なもんで、納豆脳になっているしね(笑)」。

 大沼社長は何人かの作品を見て吟味した結果、合同会社Sky Stars.にデザインを依頼することになりました。クリエイティブチームは、大沼社長、デザイナーを含めた計5人。

「チームの方々がどういう環境でつくっているのかを見たいということで、2、3回見学にいらっしゃって。『三角経木に入っているものはないのですか』と聞かれて、『昔は全部そうだったんですよ』と言ったら『じゃあ、パッケージは三角にしましょう』と。それで三角のパッケージになったんです」。

 こうして、デザイン性の高い三角形のパッケージが完成。商品名もチームで考え、「ナットチーネ」と「ナットメン」が完成したのです。

「最初に話をしてから完成までは1年くらいかかりましたかね。でも、本当にお願いしてよかったと思っています」。

 ところがここで、思いもよらぬ反応が小売店からありました。

「デザインは気に入っていただけるのですが、置き場所に困る、と。お土産屋さんやデザイン重視のセレクトショップ向けというように取られてしまったんです。それで、またチームの力を借りて、翌年に和紙に入ったものを発売しました。和紙パッケージのものは、デパート、量販店、マクロビショップなどで販売していただけるようになったんです」。

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 この“チーム・ナットチーネ”は、、2017年にも再結成します。「大粒納豆をつくれないかと考え付いたんです。というのも、宮城県の農家の方から『大粒の大豆をつくっているのだけれど、なんとかならないか』と持ち込まれまして。全国的には小粒のほうが売れるのですが、震災のときにお世話になったみなさんに、元気な姿を見せたい。新商品PRしたい、という思いで『蔵政』をつくりました」。

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 宮城県産の粗塩を振って食べる「蔵政」のパッケージデザインもSky Stars.が担当。
「男気のあるようなものにしてほしい、とお願いしました。ネーミングは、蔵のまち村田と政宗公から一文字ずついただきました」。

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 大沼社長の思いと努力が実り、この「蔵政」は平成29年全国納豆鑑評会特別賞(京都府知事賞)を受賞。また、同年の仙台市産業振興事業団主催「新東北みやげコンテスト」でもインバウンド特別賞を受賞しました。

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 大沼社長は言います。「クリエイティブの力を借りて、商品開発をしてよかった。その道のプロの力を取り入れたチームワークによっていいものができたと確信しています。今後、商品開発を考えていらっしゃる企業さんには、絶対に勧めたいですね。私たちも、今後は必ずチームでやりたいと思います」。

有限会社大永商店 グリーンパール納豆本舗

住所:989-1305 宮城県柴田郡村田町大字村田字町98
営業時間:9:00-17:00
定休日:土曜日・日曜日
TEL:0224-83-2034 FAX:0224-83-2948

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3月東北地元ごはん
「おしゃれピクニック」

1803暮らす仙台-OL top
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桜前線が北東北に到達する頃、一気に芽吹いた木々の明るい緑が目立ち始めてくる仙台。
明るい日差しと温かい風を感じたら、やっぱり外に出たくなる。

オススメのピクニックスポットは、仙台市泉区にある七北田公園。
広い芝生に、そばを流れる七北田川。地下鉄泉中央駅も近いから、アルコールも飲めるかも?
東北のおいしいものを詰め込んで、ピクニックにでかけよう!

サラダブーケ加工済

「サラダブーケ」

そのかわいさが場を盛り上げること間違いなし!のサラダブーケ。でも、実際につくってみるとなかなか難しいし、本当のブーケのようにつくると意外と食べづらいのです。
そこでサラダブーケづくりSpecial Hack!

クッキングシートや食品用ワックスペーパーなどを画像のようにブーケ型にして紐やリボンで結んでしまってから、食べやすい大きさに切った野菜をブーケに見えるように入れていきます。こうすると詰めやすいし食べやすいのです!
人参や大根などをピーラーで薄く削いだものをくるくるっと丸めてお花のように飾ればかわいいブーケになりますよ。お好みのドレッシングを、食べるときにかけましょう。

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さあ、おしゃれなピクニックを楽しもう!

生ハム&彩塩_完成
     「仙台牛生ハム」              「彩塩」

珍しい牛肉の生ハムは冷やして持って行き、到着してからキウイに巻くのがコツ。
上等なオリーブオイルと胡椒をふりかけて。
カラーソルトの絵の具のようにカラフルな色は、全て自然のものだそう。アクセントにちらしたら、かなりインスタ映えします!

ソース&バケット2

「フルーツソース ラ・フランス」

絶妙な甘さ加減がデザートだけでなくお料理にも合わせられる万能ソースをバゲットとチーズに合わせて。チーズは少し癖のあるものがオススメです。

ドラジェ完成
「青豆のドラジェ」
ベビーカラーが逆に大人っぽいドラジェは青豆のサクサク食感が楽しくて手がとまらなくなりますよ。
*青豆のドラジェは現在販売しておりません。

料理教室「紫山のごはん会」主宰
フードクリエイター 佐藤千夏

2002年より創作料理の教室を自宅で開催、素材を活かしたシンプルなレシピとセンスあるテーブルコーディネートが話題に。ほかに商品開発やセミナー講師、料理写真スタイリングなどで活躍中。
HP http://www.mgohankai.info

佐藤 千夏

撮影・デザイン/Pontic 渡邉樹恵子

女性らしさ、主婦的感覚を活かしたデザインを心がけています。 商品開発、パッケージ、撮影、販促ツール等、ワンストップで承ります。
MAIL:kie_pontic@me.com

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