エントワデザイン株式会社
「仙台弁こけし手ぬぐい(いぐすぺ3色)」

エントワデザイン株式会社は、仙台市産業振興事業団が主催する新東北みやげコンテスト受賞企業です。宮城のご当地キャラクター「仙台弁こけし」のグッズや企画をプロデュースしています。

第3回「仙台弁こけし手ぬぐい(んだ)」入賞
第4回「仙台弁こけし手ぬぐい(いぐすぺ)」特別賞

 「んだ」「やっぺす」など、仙台人にはおなじみの言葉とともに、愛らしい表情を見せてくれる「仙台弁こけし」。今や仙台名物になりつつあるほどの人気を誇るこのキャラクターの作者は、宮城在住イラストレーターのジュゴさん。

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 2014年の冬に誕生したという、この「仙台弁こけし」は、LINEスタンプから始まったのだそうです。

「ちょうど、LINEスタンプが一般の人でも制作・販売できるようになったタイミングだったので、何かスタンプをつくってみたいなと考えていました。そんな中、私自身が3世代の家庭で育ち、日常の暮らしの中で仙台弁が使われている環境にいた経験が活かせないか…と考えたんです。若い人が仙台弁に触れる機会が減ってきているので、面白がってもらえるのではないかという想いがありました。こけしは、東北の田舎の家には必ずある身近で素朴な工芸品なので、こけしに仙台弁をしゃべらせたら面白そうというアイデアから『仙台弁×こけし』の組み合わせを思いつきました。また、若い女性を中心にこけしブームが起こっていた時期でもありました」とジュゴさんは話します。

 「LINEスタンプはたくさんの種類があり、何もしなければ埋もれていってしまうため、Twitterで田舎暮らしの日常や仙台弁のことを『仙台弁こけし』が毎日つぶやくようにしました。新聞記事をシェアしたり、イベントをお知らせしたり、地元の美味しいものを紹介したりと、宮城・仙台に関することをいぎなし訛った仙台弁で発信しています。Twitterは双方向のコミュニケーションができるので、ファンのみなさんとの親睦を深めることもできます。今ではフォロワー数が18,000人を超える(2018年12月20日現在)アカウントとなり、その中から新たな交流も生まれました」と、エントワデザインの佐藤寛和さんは話します。

 「歌手のやなせななさんが仙台弁こけしを気に入ってくださり、ライブイベントで配る用に仙台弁こけしの缶バッジが欲しいとおっしゃってくださったんです。それで『NPO法人南相馬ファクトリー』という福祉作業所を支援している団体を紹介いただき、そこで缶バッジを製作することになりました」。

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 こうしてグッズになった「仙台弁こけし」は、マグネット、トートバッグなどこれまでに15種類ほどのアイテムとなって販売されました。日本郵便株式会社とのコラボレーション企画、「仙台弁こけし オリジナルフレーム切手セット」は今年の夏に第3弾が発売されました。

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 文字だけでは伝わらない、生の仙台弁(実際の訛りやイントネーション)を広めたい、ファンのみなさんと直接交流してみたいとの想いから、会話ができる着ぐるみをつくりました。

 河北新報社のPR大使としてCMに出演したり、ゆるキャラグランプリに出場したり、東急ハンズ仙台店で一日(いづぬづ)店長をしたりと、仙台弁をしゃべる着ぐるみは大きな存在感を放ちました。

 仙台市長選の投票啓発キャラクターに採用されたときには、地下鉄に乗って投票を呼びかける姿を新聞やニュースで取り上げていただき、大きな話題にもなりました。

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 これほどまでに愛されるキャラクターになった秘訣は何なのでしょう。

 「仙台弁にあまり馴染みがない人も、可愛らしいイラストや独特のゆるい世界観で、ほっこりできるところではないでしょうか。地元宮城を離れた方が懐かしがってグッズやLINEスタンプを使ってくださることも多いようです」と、佐藤さん。

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 LINEスタンプからスタートしたキャラクターが着ぐるみとなり、今や仙台のアイコン的存在になりつつあります。

 佐藤さんに、今後の「仙台弁こけし」の展望を聞きました。

 「これまでリリースしているLINEスタンプは、今では18弾目になりました。まだまだ手探り状態ではありますが、イラストレーターのジュゴさんと一緒に『仙台弁こけし』をより楽しんでもらうために取り組んでいます。いつかアニメーションを制作できたら面白いなと思っています。また、4コママンガ本もリリースできたら…と考えています」。と笑顔で答えてくれました。

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仙台弁こけしのプロデューサーを手がける、エントワデザイン株式会社 代表取締役 佐藤寛和さん

 これからも「仙台弁こけし」は、たくさんの人たちの心をほっこりさせてくれることでしょう。

エントワデザイン株式会社

住所:〒981-3625
    宮城県黒川郡大和町吉田字八合田24-1
TEL/FAX:022-346-0238
URL: http://entowa.jp

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撮影/堀田 祐介

東北大学法学部卒業後、仙台市内の商業写真撮影会社に就職。写真の道に進む。アシスタントを経てカメラマンとなり、物撮、人物撮影など、写真全般にわたり様々な仕事をこなしながら10年勤務。その後準備期間を経て独立、現在はフリーランスとして、プロバスケットボール・仙台89ERSオフィシャルのほか、広告、雑誌、ウェブなど幅広く手掛けている。

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有限会社ファーム・ソレイユ東北(お茶のあさひ園)
「kitaha」

有限会社ファーム・ソレイユ東北は、仙台市産業振興事業団が主催する新東北みやげコンテスト受賞企業です。

第4回「kitaha」入賞
第5回「東北生まれ紅茶のクッキー」入賞

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 北上川を望む高台に広がる、約1.5ヘクタールの茶畑。

ここが、北限の茶葉として知られる桃生茶の産地です。この場所は、北上川からの水蒸気が適度な湿度を与え、高地にあるために気温の寒暖差が大きい、茶葉にとってはまさに“奇跡の場所”。肉厚で、端麗な味わいの茶葉が育つのです。

 この桃生茶を、東北初の和紅茶にしたのが、石巻市に店舗を構える有限会社ファーム・ソレイユ東北(お茶のあさひ園)です。

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 まだ夏の気配を残す9月のある日、この茶畑では2018年最後の茶摘みが行われました。お茶のあさひ園店長の日野和惠さんは「宮城では、5月から9月まで茶摘みを行います。今年は急に暑くなってしまったのと、そのあとの台風などで雨が多くて…。思ったよりも収穫が少なかったんですよ」と話します。

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 実は、伊達政宗公の時代からあったという桃生茶。しかしながら、一時廃れてしまい、100年ほど前にこの茶畑を所有する「鹿島茶園」が復活させました。3代目主人で、この茶畑の管理をしている佐々木浩さんは「肥料を入れて、草を刈る。水はやらずに、自然のままに。生産できるのは、生の葉っぱで5,000キロくらいだね」と教えてくれました。

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 昭和47年(1972)創業のお茶のあさひ園で、和紅茶「kitaha」の開発が始まったのは、東日本大震災がきっかけでした。和惠さんの娘である朱夏さんは「父である社長のアイデアでした。どうしても石巻というと震災というイメージがあると思いますし、実際に私たちの店も津波の被害を受けました。そんな中で、私たち石巻の人間が元気に頑張っているということを発信したかったようです。

 でも、私たちにとってもゼロから商品をつくるなんて初めてのこと。そもそも、和紅茶ってどうやってつくったらいいのか分からないし、どこに、誰に、何を頼めばいいのかかもわからなくて。それでも『紅茶をつくりたい、つくりたい』と言っているうちに、村松二六さんとつながることができたんです」。

“日本の紅茶の第一人者”である村松氏が桃生茶の茶畑を観察した際「これは紅茶にも合う」とお墨付きをくれたのだそう。

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 というのも、先述の通り、この場所は寒暖の差が激しく北上川の恵みを受ける“奇跡の場所”。その環境は、紅茶の名産地であるスリランカにも似ているのだとか。

 そして、静岡にある村松氏の丸子紅茶で、東北初、そして東北発の和紅茶の製造が決定しました。

 そこから、あさひ園での試行錯誤が始まりました。

 茶葉を摘み、クール便で丸子紅茶に茶葉を送ると「あちらについたときには、もう茶色く変色していたり、枯れてしまっていたり。お茶の葉っぱって、摘んだ後に熱を持つので、その熱で変色してしまうんです。その後はドライアイスと一緒に送ってみたりしたんですけど…。結果、今年からは自分たちで12時間以内に静岡まで届けることにしたんですよ」と、朱夏さん。

 コストは上がり、量産は難しくなってしまいますが、それでも美味しい和紅茶をつくりたいとの思いで、石巻から静岡まで車を走らせます。

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こうしてできあがったkitahaは、ふわりとした甘味のある上品な味わい。「紅茶は封をあけるとすぐに風味が落ちるのですが、この紅茶は時間が経つほど甘くなるんです。空気に触れることで美味しさが増すのでしょうか。おすすめは、80度くらいのお湯で3分ほど蒸らして飲む方法。先日、仙台からいらした紅茶に詳しいお客様が『仙台は軟水で石巻は硬水なので、石巻の水道水で飲んだ紅茶のほうが美味しい』とおっしゃっていました。水を変えて飲んでみるのも、面白いかもしれませんね」と、和惠さんは笑います。

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 ロゴやパッケージデザインは、仙台市産業振興事業団の支援を活用し、石巻在住のデザイナー渡邉樹恵子さんに依頼。茶畑から望む北上川の風景を見事にデザインに落とし込みました。

「先ほども申し上げた通り、ゼロから商品をつくるのは初めて。どうやってターゲットを決めるか、値段はどうやってつけるのかなどの基礎知識から教えていただきました。デザインについても、主人は『我々の持っていない知識をお持ちの人たちだから、すべておまかせしよう』と話していました。そうしたら、期待以上のものができあがってきて…。感動でした」と話すのは、和惠さん。

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 kitahaは、その後も引き続き、仙台市産業振興事業団の支援を受け、和紅茶を使ったスイーツ(*)「東北生まれ紅茶のクッキー」も開発。フードコーディネーターの佐藤千佳さんの協力を得てできあがったレシピを石巻市内の就労支援施設「パーラー山と田んぼ」で製造しています。
(*)現在「東北生まれの紅茶のクッキー」はクッキーボール「ふわとぼうる」に変更になりました。

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 さらには、「東北生まれ和紅茶の琥珀糖」もつくりました。朱夏さんは「クッキーは“すぐに手を伸ばせるもの”としてつくったのですが、うちはやっぱりお茶屋なので。お茶席にも出せるものということで琥珀糖もつくったんです」。

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写真:静岡に向かう有限会社ファーム・ソレイユ東北の社長で日野家の大黒柱・雅晴さんを囲んでの家族ショット

 朱夏さんに今後の展望を伺うと「父は『チョコレートをつくりたい』と言っていました(笑)。私は、お菓子をつくった際に余ってしまう茶葉でストールをつくりたいな、と考えています。飲むkitaha、食べるkitahaができたので、今度は着るkitahaをつくりたい。そういうシリーズをつくっていければいいな、って」と笑顔を見せてくれました。

kitahaの詳細はコチラ

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有限会社ファーム・ソレイユ東北
(お茶のあさひ園)

住所:〒986-0828 宮城県石巻市旭町10-8
TEL:0225-22-2887
営業時間:10:00~17:00
定休日:日曜日・祝日
URL:https://ocha-asahien.co.jp/

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お茶好きの方にはこちらもおススメ

服部コーヒーフーズ株式会社
「仙臺杜の香り本舗 塩珈琲豆大福」

服部コーヒーフーズ株式会社は、仙台市産業振興事業団が主催する新東北みやげコンテスト受賞企業です。

第3回 「仙臺杜の香り本舗 塩珈琲豆大福」入賞

昭和30年(1955)、自宅の一部を改装して自家焙煎コーヒー豆を販売したことから始まる服部コーヒーフーズ株式会社。現在は、東日本地区全域の飲食店にコーヒーやチーズ、さらには調味料までも販売する、仙台を代表する食品卸会社です。

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そんな服部コーヒーフーズが、2015年に立ち上げた新ブランドが「仙臺杜の香り本舗」。コーヒーに合うスイーツを提供しようとスタートしました。

同社営業部の課長で栄養士、フードコーディネーターでもある磯谷綾子さんは「弊社は、コーヒーを中心とした卸がメインの会社です。コーヒーを知っているからこそつくれるスイーツがあるのでは、とのことで2015年にスイーツブランド『仙臺杜の香り本舗』を立ち上げました。その第一弾として誕生したのが、『塩珈琲豆大福』です」と話します。

販売当初はお土産として、仙台駅のおみやげ処での限定販売でしたが、「新東北みやげコンテスト」で入賞してからは、さまざまなチャンネルでの販売を開始。
なんとJALの国内線のファーストクラスのデザートでも採用されました。

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写真:左から磯谷綾子さんと鈴木亜紀さん

その開発秘話を伺うと、同社営業部の鈴木亜紀さんは「実は、この商品は、弊社の社長のアイディアで開発が進んでいったんです」と教えてくれました。

コーヒーに合わせるスイーツというと、ケーキやクッキーなどの洋菓子をイメージする人が多いはず。そんな中、服部冬樹代表取締役社長は「コーヒーに合う和菓子があってもいいのでは」と発案。服部コーヒーフーズとして初めて小売り向けの商品開発にあたることになりました。

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「最初は飴を考えてみたり、洋菓子系も出たのですが、『和でいきたい』という社長の意思のもと『大福でいこう』、となりました。一番苦労したのは、塩と小倉餡とコーヒー味のバランス。白餡だとすぐにコーヒー味がつくので簡単なのですが、小倉餡のつぶにこだわってしまったので、味を調えるのが大変だったんです」と、磯谷さんは明かします。

あんこの中には、コーヒーと伊達の旨塩が入っていますが、なぜ塩を入れようと考えたのでしょうか。「実は、コーヒーにひとつまみ塩を入れると美味しくいただけるんです。それを大福でもやってみよう、と試してみました。実際にやってみたら、塩を入れると甘味がスッと引くので、甘いものが苦手な方でも美味しく召し上がっていただけるものになったと思います」と、鈴木さん。

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味付けに欠かせないコーヒーは、もちろん自社製品。『杜の香り』という服部コーヒーこだわりのブレンドコーヒーの微粉末を使用しています。レギュラーコーヒーの粉を入れるとざらつきが出るので、この微粉末に落ち着きました。」と、磯谷さんは教えてくれました。

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餅生地にもこだわりました。鈴木さんは、「大福に合う、柔らかいお餅を求めていて。あまり柔らかすぎても包めないですし、固くても伸びが悪くて包めないんです。さらに、餅の生地に豆が入ったことで穴が開いてしまう。そんな中でも、一緒に取り組んでいる製造元の協力もあり、餅らしい、柔らかな食感のお餅をつくっていただくことができました」と。

さらに、大福の中に入るクリームも、あんこに合う味わいで2種類をブレンド。乳脂の割合で味が変わるため、コーヒーとの相性を何よりも優先させました。

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真っ白なパッケージは、服部社長のこだわりだったといいます。「お菓子は、汚れの問題もあって、白いパッケージがないんですね。ですが『塩珈琲豆大福』は、真っ白なパッケージを塩の結晶に切り抜きして、下地に赤を敷いたんです」と、磯谷さん。

デザインを担当したのは、パッケージ資材を扱う企業のデザイナー。何案かデザインを出してもらいながら、「塩の結晶を入れられますか?」「コーヒー豆の形に切り抜きできますか?」などとのやりとりを半年ほど重ね、インパクトのあるパッケージが完成しました。「ネーミングももちろん、デザインの白と赤が目立つので『これはなんだろう』と手にしていただくことが多いのかな、と思います。デザインの力は本当に大きいと思いますね」と、鈴木さん。

販売開始から、4年目。最初はあえて「服部コーヒーフーズ」の名前を表に出さなかったのだといいます。
「食べて、パッケージを見て『あ、服部コーヒーフーズさんなんだ、だからコーヒーね』と反応をくださるお客さまも多くて」と、磯谷さんは笑います。
磯谷さんも「『塩珈琲豆大福』という名前で味の想像がつかないようで、食べると『おーっ』という反応をいただくようです。これは弊社社長の『思いがけなさ、驚きを加えたい』という思いが実現したもの。今後も、意外性や食べた感動を追及しながら新しい商品開発ができたらいいですね」と目を輝かせます。

この商品は、直営店の「エビアン エスパル店」でも、塩珈琲豆大福とサイフォンで丁寧に淹れたコーヒーとのセットで提供しています。

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さらに、新商品のリリースも決定。
その名も、伊達の旨塩とベルギー産クーベルチョコレートを使用した「COCO 小町」。香ばしく焼き上げたココナッツをコーヒーと高級チョコレートでコーティングした一品で、一口食べればクセになるスイーツです。

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これからも、服部コーヒーフーズは、自社の強みを活かしながら、消費者をあっと驚かせるような商品をつくり続けていくことでしょう。

服部コーヒーフーズ株式会社

住所:〒980-0014 仙台市青葉区本町1丁目3-21
営業時間・お問い合わせ:9:00~17:00
定休日:土・日曜日・祝日
TEL:022-214-8010
URL:http://www.hattori-cf.co.jp/index.html

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グリーンパール納豆本舗
「ナットチーネ/ナットメン」

有限会社大永商店グリーンパール納豆本舗は、仙台市産業振興事業団が主催する、新東北みやげコンテスト受賞企業です。
第3回 「ナットチーネ/ナットメン」 入賞
第4回 「蔵政」 インバウンド特別賞

宮城県南部のまち、村田町。蔵王連峰を望み、“蔵の街”として知られるこの場所に、昭和21年(1946)から納豆づくりを行っている「グリーンパール納豆本舗」があります。

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 もともとは、薪炭業として始まった商いでしたが、「父である先代が“やってみたい”ということで、商売替えしたんです」と、大沼賢治社長。

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 最高級の北海道産大粒大豆を使用した看板商品の「グリーンパール納豆さっぽろ」をはじめとする、こだわりの品質の納豆をラインナップしているだけでなく、納豆を使ったユニークな商品開発も話題となっています。

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 その中のひとつが、2016年の「新東北みやげコンテスト」で入賞した納豆パスタ「ナットチーネ」と納豆ヌードル「ナットメン」。

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 この商品の開発を始めたきっかけは、2004年のアメリカ進出。大沼社長は、「あちらで飲食業に携わる日本の方が、お土産用に弊社の納豆を買ってくださって、それが日系スーパーのバイヤーの方にわたったんです。それで、『取引をさせてほしい』と連絡をいただきました」と話します。こだわった本物の納豆を探していたというバイヤーの話に、大沼社長は「現地の人の反応を見たいので、販売場所の前で試食販売をさせていただくことにした」のだそう。そのスーパーに来るカスタマーは、6割が日本人もしくは日系人。

「ところが、日系人以外の人たちは、試食には喜んで来るのに、口元まで持っていくと『こんなの食べ物じゃない!』と顔をしかめるんです。すごくショックでしたね」と大沼社長。

 そしてそのとき、現地で食に携わる人から「アメリカで納豆を広めるなら、アメリカ人が食べやすいような形にしたほうがいい。日本人が考えるような食べ方で納豆を持ってきても、失敗しますよ」というアドバイスをもらったそう。そうして大沼社長が「世界中のみなさんが食べる食べ方」ということで、最初に考えついたのがパスタでした。

 帰国後、納豆をパスタにしようといろいろな製麺所を当たった大沼社長ですが、「ところが、やってくれるというところがなかったんです。納豆を乾燥させて粉にして持っていくのですが、『麺の中に納豆の菌が入ると、ほかにどういう影響があるかわからない』という話でした」。

 しかしながら、大沼社長のこの挑戦は、思わぬ副産物を生み出しました。

「納豆を乾燥させて粉にする段階で、ドライ納豆ができたんです。それがすごくおいしくて。そしてそれを、大人の方がお酒のおつまみにできるようチョコ納豆にしました」。

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 しばらく暗礁に乗り上げたままの納豆パスタでしたが、震災後、ある展示会で運命的な出会いを果たします。
宮城県内で米粉麺をつくっている方と隣り合わせのブースになり、「話してみたら『やりましょう』と言ってくれたんですよ」と、大沼社長は当時を懐かしむように振り返ります。

 納豆のプロと製麺のプロ、この両者がお互いに話合いと試作を重ねること4年。ついに、納豆ヌードルが完成しました。
「きっかけはアメリカ進出をもくろんでのことでしたが、『日本でも売っていいよね』と。それで最初は細麺のヌードルをつくったんです」。

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 宮城県産の大豆を使った納豆に、宮城県産のササニシキ。このオール宮城の細麺ができた後に、太麺のパスタも完成。それが、2015年のことでした。

 そしてその翌年の2016年、ついに大沼社長は、アメリカへの再進出を果たします。それが、同年カリフォルニア州ロサンゼルスで行われた東北フードフェアでした。バイヤー向けにランク付けでは5つ星を獲得。現地でシェフを集めての試食会でも、高い評判を得ました。

「『こんなに素晴らしい麺を発明したおまえは、ノーベル賞ものだ』とか、『ナッツが入っているのか?』など、いい面での反応があって、うれしかったですよね」。

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 こうして、納豆ヌードルと納豆パスタは、ロサンゼルスで話題に。現地バイヤーからは全米展開も提案され、今後のビジネスも大きく飛躍しそうだといいます。

 商品が完成したあと、大沼社長はパッケージデザインも「プロの力を借りよう」と決意。
デザイナーさんにお願いはしたいけれど、どこにお願いしたらいいかわからなかったし、納豆に関してのフィルターがまったくない人がよかったんです。僕は納豆屋なもんで、納豆脳になっているしね(笑)」。

 大沼社長は何人かの作品を見て吟味した結果、合同会社Sky Stars.にデザインを依頼することになりました。クリエイティブチームは、大沼社長、デザイナーを含めた計5人。

「チームの方々がどういう環境でつくっているのかを見たいということで、2、3回見学にいらっしゃって。『三角経木に入っているものはないのですか』と聞かれて、『昔は全部そうだったんですよ』と言ったら『じゃあ、パッケージは三角にしましょう』と。それで三角のパッケージになったんです」。

 こうして、デザイン性の高い三角形のパッケージが完成。商品名もチームで考え、「ナットチーネ」と「ナットメン」が完成したのです。

「最初に話をしてから完成までは1年くらいかかりましたかね。でも、本当にお願いしてよかったと思っています」。

 ところがここで、思いもよらぬ反応が小売店からありました。

「デザインは気に入っていただけるのですが、置き場所に困る、と。お土産屋さんやデザイン重視のセレクトショップ向けというように取られてしまったんです。それで、またチームの力を借りて、翌年に和紙に入ったものを発売しました。和紙パッケージのものは、デパート、量販店、マクロビショップなどで販売していただけるようになったんです」。

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 この“チーム・ナットチーネ”は、、2017年にも再結成します。「大粒納豆をつくれないかと考え付いたんです。というのも、宮城県の農家の方から『大粒の大豆をつくっているのだけれど、なんとかならないか』と持ち込まれまして。全国的には小粒のほうが売れるのですが、震災のときにお世話になったみなさんに、元気な姿を見せたい。新商品PRしたい、という思いで『蔵政』をつくりました」。

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 宮城県産の粗塩を振って食べる「蔵政」のパッケージデザインもSky Stars.が担当。
「男気のあるようなものにしてほしい、とお願いしました。ネーミングは、蔵のまち村田と政宗公から一文字ずついただきました」。

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 大沼社長の思いと努力が実り、この「蔵政」は平成29年全国納豆鑑評会特別賞(京都府知事賞)を受賞。また、同年の仙台市産業振興事業団主催「新東北みやげコンテスト」でもインバウンド特別賞を受賞しました。

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 大沼社長は言います。「クリエイティブの力を借りて、商品開発をしてよかった。その道のプロの力を取り入れたチームワークによっていいものができたと確信しています。今後、商品開発を考えていらっしゃる企業さんには、絶対に勧めたいですね。私たちも、今後は必ずチームでやりたいと思います」。

有限会社大永商店 グリーンパール納豆本舗

住所:989-1305 宮城県柴田郡村田町大字村田字町98
営業時間:9:00-17:00
定休日:土曜日・日曜日
TEL:0224-83-2034 FAX:0224-83-2948

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3月東北地元ごはん
「おしゃれピクニック」

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桜前線が北東北に到達する頃、一気に芽吹いた木々の明るい緑が目立ち始めてくる仙台。
明るい日差しと温かい風を感じたら、やっぱり外に出たくなる。

オススメのピクニックスポットは、仙台市泉区にある七北田公園。
広い芝生に、そばを流れる七北田川。地下鉄泉中央駅も近いから、アルコールも飲めるかも?
東北のおいしいものを詰め込んで、ピクニックにでかけよう!

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「サラダブーケ」

そのかわいさが場を盛り上げること間違いなし!のサラダブーケ。でも、実際につくってみるとなかなか難しいし、本当のブーケのようにつくると意外と食べづらいのです。
そこでサラダブーケづくりSpecial Hack!

クッキングシートや食品用ワックスペーパーなどを画像のようにブーケ型にして紐やリボンで結んでしまってから、食べやすい大きさに切った野菜をブーケに見えるように入れていきます。こうすると詰めやすいし食べやすいのです!
人参や大根などをピーラーで薄く削いだものをくるくるっと丸めてお花のように飾ればかわいいブーケになりますよ。お好みのドレッシングを、食べるときにかけましょう。

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さあ、おしゃれなピクニックを楽しもう!

生ハム&彩塩_完成
     「仙台牛生ハム」              「彩塩」

珍しい牛肉の生ハムは冷やして持って行き、到着してからキウイに巻くのがコツ。
上等なオリーブオイルと胡椒をふりかけて。
カラーソルトの絵の具のようにカラフルな色は、全て自然のものだそう。アクセントにちらしたら、かなりインスタ映えします!

ソース&バケット2

「フルーツソース ラ・フランス」

絶妙な甘さ加減がデザートだけでなくお料理にも合わせられる万能ソースをバゲットとチーズに合わせて。チーズは少し癖のあるものがオススメです。

ドラジェ完成
「青豆のドラジェ」
ベビーカラーが逆に大人っぽいドラジェは青豆のサクサク食感が楽しくて手がとまらなくなりますよ。
*青豆のドラジェは現在販売しておりません。

料理教室「紫山のごはん会」主宰
フードクリエイター 佐藤千夏

2002年より創作料理の教室を自宅で開催、素材を活かしたシンプルなレシピとセンスあるテーブルコーディネートが話題に。ほかに商品開発やセミナー講師、料理写真スタイリングなどで活躍中。
HP http://www.mgohankai.info

佐藤 千夏

撮影・デザイン/Pontic 渡邉樹恵子

女性らしさ、主婦的感覚を活かしたデザインを心がけています。 商品開発、パッケージ、撮影、販促ツール等、ワンストップで承ります。
MAIL:kie_pontic@me.com

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