新商品/新サービス開発支援
ほまれのふくろ【後編】

仙台の老舗染物店×SDGs
「袋のための手ぬぐいの物語」<後編>


創業90周年の節目に、新たなものづくりに挑戦することになったほまれや。仙台市産業振興事業団の「新商品/新サービス開発支援」を受け、サステナブルなエコバッグ「ほまれのふくろ」を製作することになりました。クリエイティブチームのサポートを受け、いよいよ製造工程に進みます-。

ほまれのふくろ【前編】はコチラ!

production 製造


ロックミシンと工業用ミシンで1枚1枚縫製

◆職人技が光る繊細な手仕事

コンセプト、デザインが出来上がり、いよいよ製造工程へ。ほまれやでは、注染という手法で手ぬぐい製品を作ります。注染とは、生地に染料を「注」いで「染」める日本の伝統的な染色技法。静岡県浜松市にある協力工場で行われています。デザインを施した型に置いた生地を特殊な糊で防染し、模様部分を染め上げたら、丁寧に水洗いし、吊るして天日に干して完成。染に用いる型も、デザインによって手彫りか機械のカッティングかを変えて手作業で行われるそう。ひとつひとつの繊細な手作業によって美しい染物が出来上がります。まさに職人技!

染上がった布は、ほまれやの工場でベテランの職人が生地を一枚一枚丁寧にこちらも手作業で仕上げていきます。まずは生地をアイロンがけして整え、デザインと折を合わせてロックミシンで縫製。端処理などを施したらまたアイロンでしわを整え、ひとつひとつ折って箱に入れていきます。エコバッグのほまれのふくろには留め用のゴムの縫い付けもあるので、さらに工業用ミシンで補強縫いも。そんな気の遠くなるような工程を、ふたりの職人が1日250枚ほどのスピードで仕上げていきます。アイロン掛けひとつにも技術があり、ただしわを伸ばすのではなく、程よい力加減で全てを同じ大きさに整えて行くのだとか。


アイロン掛けにも職人技が光る

▼ほまれや 土田さん

「ほまれやの染物は、細かな職人の手作業で出来ています。注染は生地の糸一本一本まで染め上げるため、裏表のないきれいな染め表現が可能なうえ、人の手で行うからこその繊細なぼかしやにじみを楽しむこともできます。今では布の表面に機械で簡易に染めていく方法もありますが、やっぱり手作業の味を大切に、ものづくりをしていきたい。縫製も、昔からあるミシンを使ってひとつひとつ仕上げていくところに味わいがあります。職人はどんどん減っていて、最近ではコロナで廃業に追い込まれた会社も。でもこのものづくりの心と技術は、この先も残していきたいと思っています」

discussion④「パッケージ」


「ほ」の字がカワイイ!クラフト感たっぷりのパッケージ

◆パッケージにもきめ細やかな想いを込めて

製品が出来上がったら、いよいよ最終工程。「ほまれのふくろ」を商品としてカタチにしていきます。開発支援チームでは、商品自体の開発に留まらず、販売・流通を想定したパッケージや販促物の制作もサポート。コンセプトから携わっているチームならではの、手に取る人に想いが伝わるアイデアが生まれます。手ぬぐいの素材感を活かし、クラフトボックスを使ったナチュラルなテイスト。窓からのぞく袋の柄と同じラベルを合わせることで、シンプルながら遊び心のあるパッケージに。一番のこだわりは、センターにおかれた「ほ」の字。これは、「ほまれのふくろ」を象徴する落款のようなデザインを作りたいという、ほまれや土田さんとデザイナー根さんのアイデアから生まれたもの。「角字」という漢字を直線的な図形だけで表す、半纏の柄の作り方で、ほまれやの「ほ」の字を図案化しました。ほまれやの、そしてほまれのふくろの「ほ」がひときわ目を引く、インパクトのあるパッケージが出来上がりました。


マーケティング 大志田さん

▼マーケティング 大志田さん
「今回我々が手掛けるのは、手ぬぐいを袋にしたものではなく、袋にするための手ぬぐい。これは一見同じようで、全く別物です。だから、例えば仙台駅で見かける観光客や街中を歩く女性たちがこの袋を持っているのを見た時に、それが『袋にするための手ぬぐい』であるということが“ひと目でわかる”ことがゴールです。そのために、落款やロゴをアイポイントにして、これが『ほまれのふくろ』だとわかるビジュアルスイッチが必要になります」

注目してほしいのが、商品とともに封入されるリーフレット。商品の紹介はもちろん、企業の想い、「ほまれのふくろ」の物語が丁寧に織り込まれ、まるでひとつの読み物のような仕上がりに。サスティナブルな商品としての特徴もしっかり組み込まれ、手に取った人が細部まで目を通し、商品への想いを深めてくれるようなコンテンツになっています。おみやげ品としてインバウンドのニーズも捉え、英語表記がなされているのもきめ細やか。

Complete 完成!


5つの「ほまれのふくろ」が完成!

◆仙台らしい魅力が詰まった5つの「ほまれのふくろ」

初回の打合せから約4ヶ月。ほまれやの伝統技術と商品開発チームの想いと知見を集結して作られた「ほまれのふくろ」がいよいよ完成しました!伝統的な吉祥文様に仙台ゆかりの文様を織り込み、数多ある仙台モチーフのデザインとも一線を画す「仙台らしさ」を醸し出す5つのあずま袋。個性豊かな商品ラインナップをネーミングとともに紹介します。

■萩のふくいん
無病息災を表す六つの瓢箪と萩の模様。よい知らせ(=福音)が届きますように

■三日月光(てら)す雪
方策を表す雪輪と仙台藩祖・伊達政宗公の弦月を思わせる三日月をあしらいました。

■七竹玉世(ななたけぎょくよ)
生長の象徴である竹と七宝の意匠を施しました。美しい世が続きますように。

■永久(とわ)のまつり
仙台七夕まつりをイメージ。この美しいまつりが永久に続くように願いを込めて。

■すずめ舞うあさ
豊かさの象徴すずめと、成長を表す麻の組み合わせ。朝に踊る雀を描きました。

どれもカラフルで心躍るものばかり!エコバッグとしてはもちろん、普段使いにしても素敵な仕上がりになりました。ひとつひとつのネーミングからも、持つ人の幸せを願う想いが伝わってきます。

さらに、商品のコンセプトのひとつでもあるSDGs。「ほまれのふくろ」には、「絵解き(えほどき)」という仕掛けが。


蛍光ピンクの糸を切ると…


模様の全貌とともに、手ぬぐいが現れます

エコバッグにある蛍光ピンクの目印をほどき、開くと、可愛らしい手ぬぐいに早変わり!手ぬぐいの染まりのよさ、丈夫さを活かした、まさにサスティナブルな商品が出来上がりました。

promotion

◆商品を、多くの人の手に届くものに

仙台市産業振興事業団の新商品/新サービス開発支援では、商品の制作に留まらず、その後のプロモーションについても丁寧にサポートを行います。商品撮影やPOPの作成など、打合せの段階で設定してターゲットに商品をどうやって認知してもらうか、方向性をぶらすことなく商品の魅力を伝えられるようなコンテンツ制作にも伴走。オンラインショップの開設や販売先など、販路についても相談に乗ります。


製品完成後も続く、綿密な打合せ

新東北みやげコンテストへの出品にあたっては、必要な提出物のアドバイスはもちろん、コンセプトビジュアルや動画の制作なども行います。ここで作り上げたものは、その後自社で展開する際に活用することも可能。商品が開発支援チームの手を離れた後も手に取る人に想いが届くように、長く愛される商品を作り上げていきます。


開発支援チームがディレクション撮影


コンセプトが伝わるビジュアルも提案

「ほまれのふくろ」は、新東北みやげコンテストでも高い評価をうけ、見事入賞を果たしました。販売もスタートし、今ではショップやオンラインショップで、たくさんの人が手に取ってくれています。今までほまれやを知らなかった人たちにも、手ぬぐいの良さ、味わいを知ってもらえる新しい機会が創出されたのではないでしょうか。仙台を歩く人々の手に「ほまれのふくろ」が寄り添う、そんな幸せな光景がこれからたくさん見られそうです。


オンラインショップでも販売中


1枚あるだけで、果物かごがテーブルに鮮やかな彩りを与えてくれます


普段のお買い物に連れていきたくなる、かわいらしいデザインが特長です

終わりに

老舗染物店が大切にしてきた伝統的な手ぬぐいから生まれた「ほまれのふくろ」開発ものがたり、いかがでしたか?「アイデアはあるけれど、カタチにできない…」、そんなほまれやと商品開発のプロがタッグを組み完成した「ほまれのふくろ」。トレンドも捉えた全く新しいプロダクトながら、ほまれやが90年もの長い間受け継いできた技術と伝統、想いがたっぷり詰まった商品になりました。仙台市産業振興事業団の開発支援チームが大切にするのは、なにより企業の想い。今回の「ほまれのふくろ」も、多くの人にほまれやの想いが届きますように。そんな心が伝わる商品となりました。

【ぜひこちらもご覧ください】

ほまれのふくろ│ほまれや(homareyashop.base.shop))

仙台市産業振興事業団では新しいプロダクトを発信したいと考える仙台市内の企業様のサポートを行っています。「ほまれのふくろ」開発ものがたりに興味を持ったら、ぜひご相談を。次のものがたりを紡ぐのは、あなたかもしれませんよ。

ほまれのふくろ【前編】はコチラ!

株式会社ほまれや

〒984-0817 宮城県仙台市若林区堰場12-5
Tel 022-221-6411
Url https://www.homareya.co.jp/

ライター/田代 智美

新商品/新サービス開発支援
obico. リブランディング/サイト改修

リブランディングで、世界中での販売を目指す

着物や帯をアップサイクルした、ファッション雑誌やインテリア商品を展開する「obico」。長年海外でビジネスを展開していたクリエイティブ・ディレクターの今野幸治さんが、「日本の着物の美しさをもっと多くの人に知ってほしい」と感じたことに始まり、「Geisha&Co.」のブランド名でスタートさせました。


写真:obico. クリエイティブ・ディレクターの今野さん(撮影:2022年 眞野屋ポップアップにて)

その今野さんがマーケッターやデザイナーなど、多様な分野の専門家による伴走型チーム支援「新商品/新サービス開発支援」に応募したのは、仙台市産業振興事業団から定期的に配信されるメールマガジンがきっかけでした。

「私の場合は、新商品というよりも新サービスの構想を実現していただいた形です。オンラインでバッグに使用する帯の柄と裏地の色を選ぶことができるセミオーダーのシステムを構築していただきました」。

現在、日本で眠っている着物は2億着あるともいわれ、さらに衣料の大量廃棄も問題となっている中、アップサイクルは成果のトレンドとなっているのです。世界にこの商品を羽ばたかせたい_そんな今野さんの思いに寄り添ったのは、

《仙台市産業振興事業団 ビジネス開発ディレクター》
 大志田典明(マーケティング・プロデューサー)
 高田次朗(WEBディレクター)
 草野裕樹(デザイナー)

《外部専門家》
 工藤拓也(コピーライター)

   敬称略


写真:AER7階の仙台市産業振興事業団の会議室でプロジェクトは進んでいきました

実は今回、今野さんはリブランディングにも取り組みました。「これまでGeisha&Co.としてビジネスを展開してきましたが、今回、ブランド名を『obico』に変更しました。この名前には、『帯でつなぐ』という意味を込めています。英単語で『co』ではじまるものって、connect、communicationとか、つなぐイメージのものが多いですよね。昔からの日本の文化である帯を未来につないでいく_そんな思いを込めています。私が伝えたイメージをしっかり言葉で表すって、さすがプロだなと感心しました。ブランディングについてもゼロから教えていただきましたし、ものすごく勉強になりました」と、今野さんはプロジェクトを振り返ります。


写真:obicoのバッグ。美しいデザインでワンランク上の装いを演出します

今回は、ウェブサイトも一から立ち上げました。

「海外の方にわかりやすく伝えたいというのがあったので、トップページのデザインなどにも工夫をしていただきました。あと、こうしたサイトを作成できたことで、ポップアップショップなどで『こういう柄はないの?』とお客さまに聞かれたときに、その場で画面を見せながら『こういうのもありますよ』とお伝えすることができるようになったのもうれしいです」。


写真:obicoのウェブサイト。美しい写真で海外のお客さまへの訴求力を高めます

ウェブサイトは、英語も併記。海外のお客さまにもわかりやすく…と、工夫したトップ画像は日本の美しき景色にobicoのバッグを組み合わせた、The Japaneseなイメージに仕上がりました。

「今後は、サイトの周知からですね。FacebookとInstagramの広告を打っていて、フォロワーも一気に増えたので、こうしたことから地道にやっていきます」。

今回のリブランディングにあたって、今野さんは名刺も一新。銀の箔押しで高級感漂うデザインになりました。「名刺ひとつでも伝わり方が違うのを感じます。特に、東京などの商談会とかで感じますね。あとは、サイトもきちんとドメインを取得して obico.jp になったのもよかった。信用が違いますよね」。


写真:obicoの新しい名刺。銀の箔押しがクールな印象を与えます

最後に、今野さんに「新商品/新サービス開発支援」の感想を伺いました。

「本当に勉強になることばかりでしたし、金銭面でも持ち出しがなかったのですごく助かりました」。

「新商品/新サービス開発支援」は、仙台市に事業所を持つビジネスオーナーの新たな挑戦を応援します。新しい商品を開発したいけれど、アイデアが浮かばない…という事業者のみなさんは、ぜひ応募を。

グッとセンスアップした新商品、新サービスで世界を舞台に勝負できるかもしれませんよ。

Geisha&Co.

〒983-0817 仙台市宮城野区小田原山本丁101-17-1101
TEL 090-6683-7157
URL https://obico.jp/

新商品/新サービス開発支援
「森と蜂と」リブランディング

「森と蜂と」



※「森と蜂と」の「初咲」(写真の一番左)が日本はちみつマイスター協会が主催する「第6回 ハニー・オブ・ザ・イヤー」の国産部門と来場者特別賞で最優秀賞の2冠を達成したのを受け、一部加筆訂正しています。受賞のコメントは記事の最後でご紹介しています。

秋保の里山の麓で養蜂場を営む山口将吾さん、梢さん夫妻。今回山口さん夫妻がつくるはちみつが、仙台市産業振興事業団が実施する「新商品/新サービス開発支援」の対象に選ばれ、リブランディングの支援を受けることになりました。

マーケッターやコピーライター、デザイナーがチームとなり、仙台市産業振興事業団がリブランディングをバックアップ。ブランドネーミングからラベルデザイン、リーフレットの制作まで、約半年に渡る伴走支援が行われました。

今回、山口さん夫妻をサポートするメンバーは、

【仙台市産業振興事業団 ビジネス開発ディレクター】

◆大志田典明(マーケティングプロデューサー)
◆川島洋子(フードコーディネーター)

【外部クリエイター】

◇梅木駿佑(グラフィックデザイナー)
◇工藤拓也(コピーライター)

※敬称略

これまで数々の商品開発を手がけてきたプロとともに、プロジェクトがスタート。月1~2回ほどの打合せは、仙台市産業振興事業団の会議室やオンライン、養蜂場がある秋保で行われました。


写真:AER(アエル)7階に事務所を構える「仙台市産業振興事業団」。初夏のころ、会議室に集まりプロジェクトがスタートしました

思いを体現するラベルデザイン

このプロジェクトがスタートする数ヵ月前に、山口さん夫妻のはちみつを味わったことがあったマーケティングプロデューサーの大志田さんは「上質な日常を送る人をターゲットにしよう」と提案。山口さん夫妻がつくる17種類のはちみつを、色や味などをもとにチャート化しました。

その上で、はちみつの中身そのものを表すラベルデザインが必要であることを説明し、「自分たちの思いを言葉にすれば、クリエイターたちがくみ取って形にしてくれる」と話します。それを受けて山口さん夫妻からは「養蜂家として、職人として、真剣に日々蜂と向き合っていること」、「四季を通して、蜂が健康に暮らすために手間暇をかけて育てていること」など、養蜂にかける熱い思いが語られます。


写真:どのような思いと手法で養蜂と向き合っているか、山口さん夫妻の言葉を全員が共有します

はちみつが生まれる場所

夏のある日、プロジェクトメンバーが実際に現地へ赴きました。森の中にありながら、青空が抜ける静かな山口さん夫妻の養蜂場。打合せで聞いてきた言葉が、プロジェクトメンバーの前に実態として現れます。


写真:秋保の里山にある養蜂場。森林に囲まれた自然豊かな環境が広がります


写真:将吾さんが、巣板にスプーンをあててすくうと、艶のある黄金色の蜜がとろりとあふれ出します。一口含むと、芳醇な花の香りが鼻を抜け、爽やかな甘未が広がりました

山口さん夫妻は自身の仕事を「蜂に仕える仕事、自然に仕える仕事」と表現します。蜂の命を預からせてもらっている、自然を敬うことを大切にする。だから自然由来の養蜂で、手間暇をかけてつくる_。この矜持があってこそ生まれるのが、このはちみつなのです。

丁寧なコミュニケーションが生んだ、奇跡のブランド

山口さん夫妻が「プロジェクトはこの方なしでは成し得ることが出来なかった」と振り返るのが、マーケティングプロデューサーの大志田さんです。大志田さんは、ふたりのはちみつを見出し、ラベルデザインのリニューアルを提案。このプロジェクトを大きな推進力で形作るだけでなく、常にふたりの理解者でありました。


写真:直売所の予定地となる場所を視察するマーケティングプロデューサーの大志田さん(右)

そして、大志田さんとともにこのプロジェクトを支えたのが、グラフィックデザイナーの梅木さんとコピーライターの工藤さんでした。

「養蜂家である前に、一人の人間としてどのような方なのか。どんな気持ちで、どんなことを目指しているのか。仕事のことはもちろん、それとは関係ないことも、いろんな角度から一緒にイメージや言葉を作って、話し合ってきました」と語るのはグラフィックデザイナーの梅木さん。

コピーライターの工藤さんも「養蜂という仕事やこだわりについて聞くときは、わかったふりをしないで、理解できるまで質問してきました。また、私の提案に対しても、遠慮なく意見を言ってほしいと繰り返しお伝えし、お互いに納得がいくまで、じっくりと時間をかけてきました」と振り返ります。


写真:山口将吾さん(左)、グラフィックデザイナーの梅木さん(中央)、コピーライターの工藤さん(右)は幾度となく話し合いを重ねてきました

将吾さんは「私たちの苦労や思いを表現してくれたのが大志田さんはじめ、プロのみなさんでした。今まで1人で全部やらなければと頑張ってきましたが、心強いサポートを得られて、頼っていいんだなと思えるようになりました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と話します。

新ブランドは、プロジェクトメンバーとコミュニケーションを丁寧に重ね、チーム全員で思いを共有して作り上げられました。そして、コピーライターの工藤さんから提案されたブランドネームは、「森と蜂と」

工藤さんは、「森・蜂・人(山口さん夫妻)」の3要素の関係性を山口さん夫妻の目線で表現しました」と話します。

山口さん夫妻は「『森と蜂と』には、養蜂家として、ひとりの人間として真剣に向き合っている姿を表現していただけました。これまで大切にするはちみつをどのように伝えたらいいかわかりませんでしたが、私たちがやってきたことや思いを大きく俯瞰して表現してくださいました」と話します。

ブランドネーミングが決定した後は、ラベルデザインです。グラフィックデザイナーの梅木さんから、「森と蜂と」のロゴデザインとはちみつの瓶に貼るラベルデザインが提案されました。ロゴデザインのコンセプトは「森から採れる蜜」。見る人によって、いろいろな物語が紡ぐことができそうなロゴになりました。そして瓶に貼るラベルは、ワインのエチケットのような気品を纏ったデザインに。


写真:花の蜜の名前、採取地、ロゴマーク、屋号などが配置されたラベルデザイン

ラベルの端には蜜源である花や植物の色を抽出したポイントカラーもあります。このポイントカラーは、山口さんと夫妻と梅木さんとで8時間にもわたって話し合われたそうです。ものづくりに携わるプロ同士の「濃密な時間でした」と、将吾さんは笑顔で振り返ります。

またこのラベルには、山口さん夫妻を思いやる工夫も施されています。通常、瓶にはガラス面に貼るラベルと、蓋を閉じる封緘(ふうかん)がありますが、今回はそれらがひとつとなったデザインとなっているのです。その理由を梅木さんは「瓶詰めも、ラベルを貼ることも、すべて山口さんご夫妻が手作業でされています。ラベルをひとつに統合させることで工程が減り、その分、蜂に向き合っていただけます」と話してくれました。ふたりの想いを丁寧に汲み取る作業を重ねてきた梅木さんだからこそ生まれたデザインなのです。

装い新たに出発

こうして「森と蜂と」は完成。ブランドメッセージを込めたリーフレットも完成し、2023年2月25日に直売所のプレオープンを迎えました。


写真:完成したリーフレット

改めて山口さん夫妻にこのプロジェクトについて伺いました。

「ここに来るまで10年かかりました。苦しい時間もありましたが。でも、こうしてプロのみなさんに出会えて、本気でぶつかることができて、感謝しかありません。ようやく今、殻をやぶれて新しい未来に向かうことができています」。


写真:シンプルなバタートーストにかけるだけで、極上の味わい。忙しい朝にも、豊かな気持ちを与えてくれます


写真:ブルーチーズと生ハムにはちみつをオン。ワインがすすみます


写真:上質な眠りを誘う、ホットジンジャーハニー。お湯にすり下ろしたショウガとはちみつ1さじを加えるだけ

そして、文頭でも紹介した通り、「森と蜂と」の「初咲」が日本はちみつマイスター協会が主催する「第6回 ハニー・オブ・ザ・イヤー」国産部門と来場者特別賞で最優秀賞の2冠を達成しました。

将吾さんは「お恥ずかしい話ですが、社会人になって失敗の連続で、自分が何も出来ないことを痛感させられる日々でした。何を生き甲斐にしていいのかもわかりませんでした。そんな自分でも唯一できる事が自然の中でみつばちと働くことでした。初代ではちみつ農家となり、休みなく10年を積み重ねてきました。今こうして、私たちが作ったはちみつが専門家の方々から評価頂いたこと。200人以上のはちみつファンの方から評価頂いたこと。2つ日本一を頂いたことは大変嬉しく思っています。『森と蜂と』を応援してくださった方々のおかげで、私たちは成長し、日本一のタイトルを取ることができました。ありがとうございます」と受賞にあたってのコメントを寄せてくださいました。

「森と蜂と」のはちみつは、オンラインショップで購入できるほか、秋保の直売所で購入できます。直売所では、はちみつを使ったソフトクリームも味わうことができますので、気になる方はぜひ足を運んでください。最新情報は「森と蜂と」の各種SNSで更新されるので、そちらもぜひチェックを!

森と蜂と

〒982-0241 仙台市太白区秋保町湯元行沢12-4
URL https://morino83.thebase.in/
Instagram https://www.instagram.com/mori.no83/

本事業では、令和5年度も継続予定です。詳細が決まり次第、「暮らす仙台」でもお知らせ予定ですので、興味のある方はチェックをお忘れなく!

新商品/新サービス開発支援
天然回帰~Feel Organic~アロマティックバスソルト【呼吸】【解放】

服を脱いで
「ありのままの自分」になれるバスソルト

マーケッターやデザイナーなど、多様な分野の専門家による伴走型チーム支援「新商品/新サービス開発支援」。令和3年度に「AKIU Style」の開発を行った株式会社グリーディーが、令和4年度に取り組んだのは、アロマバスソルト「天然回帰」でした。

株式会社グリーディーCOOの阿部楓子さんは「コスメの分野に取り組みたいと考えていたのですが、そんな中で昨年『AKIU Style』の商品開発の支援をしていただいたこともあり、私たちは事業団のみなさんはチームだと思っています。今年度も支援事業があるというご案内をいただいて、挑戦してみようということになりました」と話します。

コスメブランドを立ち上げる―。このミッションに関わったのは、

《仙台市産業振興事業団 ビジネス開発ディレクター》
 大志田 典明(マーケティングプロデューサー)
 渡邉 樹恵子(デザイナー)

《外部専門家》
 Tomo Tama Design
 代表 今野知世

 戸部春華(イラスト)
 吉村尚子(動画)
 村上秀樹(撮影)

 ※敬称略

という面々。

プロジェクト開始当初は、東北素材を活用したコスメをつくるということだけは決めていたものの、具体的に何を…という決定打にかけていたそう。阿部さんは「大志田さんからは『ニーズの調査を、自分たちのお客様を対象にした方がいい』とアドバイスをいただきました。アンケートをやってみて新しい視点や顧客ニーズも把握することができ、総合して検討するよい機会となりました。その結果をもとに、肌、全身で感じてもらえる「バスソルト」にたどり着きました!


写真:商品発表会の様子

プロジェクトを進めていく中で、「『イシノマキ・ファーム』さんのホップを活用できないか?という話が舞い込んできたんです。ホップのビールだけではない魅力を発信したいというご縁でした。さらにホップについて調べてみたら、実は美容効果が高いことがわかって」。

東北のものを使用した商品づくりは、グリーディーの事業の大きな軸。ホップを使用すること、そして手摘みのラベンダーを自社で精油したラベンダーオイルを使用した2種類のバスソルトをつくることが決まりました。

ブランド名は「天然回帰」。
阿部さんは「ブランドをどうふくらませていくかというアドバイスをコピーライターの方に教えていただいて。商品開発を行っていくと、いろいろな意見を耳にして迷うことが出てきます。そのときに心がけたのが、原点。私たちの強みと魅力は、手作業で作り手の顔が見えることと東北素材のアロマ。どうブランドを展開しても、そこに戻るんです。原点に返るということで。原点回帰からこのブランド名にしました。そして、香りのデザインは、弊社代表の浜出(理加さん)と私で行いました。アイテムのコンセプトを決めるときには、この商品を使用したお客さまにどうなってほしいかを考えたんです」。

こうして生まれたのが「呼吸」と「解放」。

「1日の終わりに、ほんの少し、東北、宮城の自然やアロマの力を感じていただけたら。4個パックにしているので、週に1回、自分のために贅沢な時間を持ってほしいという願いを込めています」。

こうしたコンセプトデザインもあって、「天然回帰」は、「第9回新東北みやげコンテスト」でお取り寄せ特別賞を受賞。「振り返ってみると、社内だけではたどり着けないゴールだったと思います。辛口のアドバイスもありましたが(笑)、いろいろなものがブラッシュアップできたし、考えさせられました。コンテスト受賞歴がある商品を世に送り出せるのは誇りです」。


写真:新東北みやげコンテスト授賞式での阿部さん

「新商品/新サービス開発支援」は、仙台市に事業所をもつビジネスオーナーの新たな挑戦を応援します。新しい商品を開発したいけれど、アイデアが浮かばない…という事業者のみなさんは、ぜひ応募を。

次に新商品を世に送り出し、コンテストで受賞するのはあなたの会社の新商品になるかもしれませんよ。

株式会社グリーディー

〒980-0802 仙台市青葉区二日町17-22 TNER304
TEL 050-3699-5595
URL https://www.greedyweb.com/

「TOHOKU AZLM~おくのソラミチ~」第9回 新東北みやげコンテスト受賞商品を展示中

\From A to Z, Live Marketing/

仙台空港国内線搭乗待合室では、「TOHOKU AZLM~おくのソラミチ~」を2022年4月から開設しました。
レンタルスペースとして、東北にこだわった食、雑貨、工芸、レジャー等、東北の企業や団体の商品・サービスなどを展示しています。





商品のみを展示し、人による接客と店頭販売は行わず、商品はQRコードを読み込んで販売サイトから購入するシステム。
「AZLM」とは、「From A to Z,Live Marketing」の頭文字を引用したもので、「おくのソラミチ」とは、俳人・松尾芭蕉の紀行作品「おくのほそ道」から着想を得て、“東北の奥深い魅力”“発見・体感できる場所”であること、“空の旅の起点である空港の施設”であることにちなんだ愛称なのだそうですよ。













航空機への搭乗を待つ時間を利用して
東北の素晴らしいおみやげを見つけてくださいね!

仙台国際空港株式会社

〒989-2401 宮城県名取市下増田字南原無番地
https://www.sendai-airport.co.jp/