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葵工業株式会社|地域企業業務効率化サポート補助金事例紹介#5

プレス機とコイルライン導入によるナンバープレート製造の業務効率化と製造効率の向上

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各都道府県の運輸支局ならびに軽自動車検査協会が交付するナンバープレートを製造しているのは全国で30社ほど。そのなかで市町村が交付する原付バイクのナンバープレートも併せて製造できるのは、今回紹介する葵工業株式会社を含めて数社しかありません。同社は昭和35年の創業当初から自動車登録番号標(ナンバープレート)を製造しており、現在は電柱表示板(電力会社)や町名表示板(地方自治体)等の製造も手掛けています。

「当社が製造する自動車のナンバープレートは、宮城、福島の2県に関して年間85〜90万枚で、東北全域におけるシェアは48〜49パーセントになります」と事業内容を説明してくれたのは代表取締役の鎌田雅之さん。技術統括課長の米山弘朗さんと総務課係長の小原純子さんにも同席していただき、今回の補助金活用の経緯、その成果等について伺いました。

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大型車、普通車、自動二輪そして原付バイクまで、あらゆるナンバープレートがここで製造されています。

 01  今回の補助金活用の背景にあった課題は?

鎌田代表/最近では、ご当地ナンバーと呼ばれる「図柄入りナンバー」の導入が各地で進んでおり、ナンバープレートの多品種化が拡大傾向にあります。そうしたなか、当社では、アルミコイル(アルミの帯板がロール状に巻かれたもの)からブランク材(ナンバープレートになるアルミ板)をプレスして切り出す「ブランキング」という工程を担う機械が1台での稼働の為、増産ならびに販路拡大への対応が困難な状況にありました。

このブランキングはもっとも上流の工程なので、もしこの機械に不具合が発生すると後の工程がすべて止まってしまいます。それに加え、ブランク材を製品として供給している取引先への影響も懸念点のひとつでした。既存の機械は導入してから約三十年経過しているので、故障に対する危機感はずっとありました。加えて、現状では、大型車、普通車、自動二輪といった複数の規格に対応しているのですが、それぞれの金型(大板、中板、小板)の交換に半日を要し、その間は生産が止まってしまいます。金型の取り付けには高度な精度が求められるため、この時間を削ることはできません。さらに1台の運用では金型の摩耗が早く、2カ月も使っていると徐々に切れ味が悪くなり、ブランク材の端に「バリ」と呼ばれるギザギザした突起が目立つようになってきます。その交換の際も、機械が半日止まってしまいます。

この人材難の時代にあって、生産性を上げるには製造工程の効率化がどうしても必要でした。

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中央赤い装置がプレス機、その左側の装置がコイルライン

 02  補助金をどう活用し、どのような成果が得られましたか?

鎌田代表/補助金を活用してプレス機とコイルラインを増設しました。いちばんの変更点はプレス機がサーボプレス式となったことです。従来機はモーターの回転運動を上下運動に変換するクランク式で、重たい円盤が一回転するたびに金型で材料を一枚ずつ打ち抜いていました。それに対してサーボプレス式の新型機は、金型をモーターで直接上下にスライドさせるので、動く速さや打ち抜く力を細かくコントロールできます。つまり、必要最小限の動きと力で済むわけです。大きな円盤が勢いよく回転していた従来機と比べて格段に仕事が早くなりました。

具体的な成果としては、今回導入した新型機は従来機と比べ時間あたりの製造枚数が約1.5倍になりました。さらに従来機を並行運用することで、以前の生産数の2.5倍の増産が可能となります。また新型機は金型の損耗が少ないので、金型の交換頻度も低減することが予想されます。同じ人員体制で増産が可能になるのは大きな成果のひとつといえます。

本機器導入で製造枚数が1.5倍に。従来機との併用で、今後も更なる生産性向上が期待できます。

 03  大変だったことを教えてください。

米山課長/まず私が製造現場を代表してメーカーから操作方法を教わりました。サーボプレス式の新型機は動作を細かく指定できるのですが、その分細かな設定が必要になってくるので、はじめのうちは目標とする加工に最適な入力値を見つけるのに苦労しました。現場のメンバーも、導入当初は初めてのマシンに恐々と触っている様子でした。ただ、そんな戸惑いも最初だけで、理解が深まるにつれてノウハウが共有されて運用もだいぶ軌道に乗ってきました。まずはひと安心です。それから、従来機だとオペレーターの経験・習熟度に依存する部分が多く、どうしても生産数や品質にばらつきが出てしまったのですが、新型機は数値入力で制御しますから、旧来の感覚的スキルが今後はもっと標準化されていくのではないでしょうか。あと新型機がやってきたことで、現場の空気感が刷新されたような気がしています。この活気から、次の時代に向けた勢いが生まれてくれたらと思いますね。

現場メンバーにも操作方法が浸透し、新型機の導入で現場にも新たな活気が生まれています。

 04  今後の業務効率化のビジョンは?

鎌田代表/今回の取り組みを経て、工程のさらなる自動化に向けたビジョンが見えてきました。例えば、今回紹介した工程で打ち出したブランク材を、現在は人が次の工程(個別のナンバーを打刻するライン)へ運んでいるのですが、これを自動化できれば、その労力でもっと発展的なことに挑戦できます。IoTもDXも人的リソースをそこに割かなければ何も始まりませんからね。

業務効率化への次なる挑戦に意欲を示す鎌田社長

 05  最後に、今回の補助事業の感想をお聞かせください。

小原係長/今回の補助金申請は社としても初めてのトライアルで、事業団のホームページを開いてその趣旨を理解するところから始めたのがつい昨日のことのように思い出されます。けれども、そんな手探り状態も最初のうちだけで、エントリーしてみると適宜アドバイスや指導が受けられることがわかってホッとしました。なかでも2回にわたる事前相談はとても役に立ったと感じています。

それから、今回の申請で支援していただいた経営支援課の勧めで、同事業団が主催するDX勉強会に参加したのですが、中小企業でも取り組みやすいデジタル導入の仕方や、便利なツール、アプリケーションの使い方などについて、異業種の人たちとディスカッションしながらワークショップ形式でわかりやすく学ぶことができました。おかげで業務のデジタル化に関する知見がとても深まりました。

中小企業診断士・社会保険労務士
經澤 進

 担当コラム

支援担当者からコメント

本事業は、製造業における生産性向上の鍵である機械稼働率の改善を目的とし、段取り時間(金型交換)および停止時間(製品取り出し)の削減に向けた設備導入計画として高く評価できる取組みであったと感じています。導入後は想定どおり業務効率が向上しただけでなく、バリの抑制など品質面の改善にもつながったとの報告を受けています。支援にあたっては、設備導入効果を定量的に測定できる指標の設定を重視し、導入後の継続的改善へ結び付ける視点で助言させていただきました。ニッチ市場で独自技術を有する同社のさらなる成長に期待するとともに、今後も当事業団の支援施策を有効に活用いただきたいと考えています。

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企業概要

葵工業株式会社

事業内容:製造業(自動車用ナンバープレート、自治体関連各種表示板等)
葵工業株式会社 HP

本社
〒983-0835
宮城県仙台市宮城野区大梶10番15号
TEL022-297-2021(代)


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