ハリウコミュニケーションズ株式会社|地域企業業務効率化サポート補助金事例紹介#2
勤怠・給与・年末調整システムのクラウド化による書類の適切な管理、業務効率の向上
若林区の印刷団地に本社を置くハリウコミュニケーションズは、印刷物の企画・デザイン・制作からWEB、映像、イベント、看板・サインまで、“コミュニケーション”の創造を通して私たちの生活と文化に寄り添い続けてきた昭和24(1949)年設立の老舗印刷会社です。仙台市界隈の業界では、製本までワンストップでこなせる数少ない印刷会社としても知られています。さらに最近では、高精細なカッティングを実現するレーザーダイカット装置を導入し、「紙」の魅力、表現力の可能性を拡げる新たな事業にも取り組んでいます。老舗の信頼と、新時代への意欲を兼ね備えた企業と言えましょう。

社屋内の展示スペース「紙ふるる」では紙の魅力・可能性を体感できます。
「本業である“モノづくり”のノウハウとネットワークを活用しながら、地域のさまざまな課題の解決を図る“コトづくり”にも取り組んできました。教育も、まちづくりも、多くが市民や行政、大学との共同プロジェクトとして長く続けられています」と語るのは総務部主任の柴田ゆりかさん。同社は、小学生の理科離れを防ぐ理科特別授業や、仙台市不登校支援ネットワークなど、印刷会社の枠を超えた社会活動においても、“コミュニケーション”の創造を熱心に推進しています。
そのようなハリウコミュニケーションズが取り組んだ業務効率化は、今回の補助金の申請で最も多かった勤怠・給与管理システムの導入。大手企業ではガバナンス強化の流れを受けて労務管理の厳格化がすでに定着していますが、一方の中小企業は、いまどのような課題を抱えているのでしょうか。
01 今回の補助金活用の背景にあった課題は?
それまでの勤怠管理は、出勤時と退勤時に社員カードを端末に読み込ませ、そのデータをもとに担当者が月次・年次の給与計算を行うという昔ながらの方法をとっていました。手入力・手作業が多いため、給与計算のための残業が増えるだけでなく、ミスも発生しやすい状況にありました。加えて申請の多くが紙ベースでしたから、その管理も煩雑で、特に年末調整の時期ともなると、膨大な提出書類の処理で大変苦労しました。もちろんそうした紙の保管場所も課題のひとつで、おそらく “昔ながらの勤怠管理”にありがちな光景が随所に見られたのではないでしょうか。
さらに当時の業務システムは、サーバーもネットワークも自社内で完結するオンプレミスだったので、法制度の改正等にすぐに対応できないという課題がありました。もちろんクラウドサービスに転向すればそうしたアップデートはシステムの保守・管理会社がやってくれることは知っていましたが、当社の場合は、個人情報を扱う関係から社のセキュリティポリシーをずっと優先させ、クラウド化には踏み切れないできたという背景がありました。
そうした課題の深刻度を一気に引き上げたのがコロナ禍でした。それまでは、法改正があるとシステム保守管理会社がCD-ROMを送ってくれて、必要に応じて(大幅なカスタマイズや登録情報の変更等があると)技術者を派遣してくれていたのですが、これがコロナ禍以降は派遣してもらえなくなってしまいました。そうしたなかで急きょ決まったのが所得税の定額減税です。これはCD-ROMも間に合わず、技術者派遣で対応してくれたものの、その順番待ちでシステム反映までに時間が掛かり、業務担当者に皺寄せが回っていく結果となりました。それで、さすがにクラウド化に向けて見直そうかとなったわけです。

02 補助金をどう活用し、どのような成果が得られましたか?
今回の補助事業では、給与計算システム「給与奉行iクラウド」、奉行Edge「勤怠管理クラウド」、奉行Edge「年末調整申告書クラウド」の3つのシステムを導入しました。選定の理由には、この3つの機能を併せて処理できるソフトウェアが限られていたことと、同じメーカーの会計ソフトを既に使っていたため馴染みがあったことが挙げられます。
導入後の成果としては、まず給与・勤怠担当者の残業時間が年間25パーセント程度削減されました。それと各従業員の残業時間の見える化により時間管理への意識が向上しました。紙で残業申請していたときは、それぞれが集計して把握していたのですが、現在はシステム上で残業を申請すると自分の残業時間が表示されるので随時把握できます。あと出退勤時の打刻漏れが減少したことで勤怠締め業務がスムーズになりました。一番効果を実感できたのは年末調整作業で、これまでに比べ10時間以上削減されました。これは従業員にも好評で、それまで自身で計算して紙に記入していたものが、システム側で自動計算・自動振り分けしてくれるので、社員みな口々に「楽になった」と言っています。


03 大変だったことを教えてください。
日々の残業申請から育児休暇、介護休暇といった数々の制度への対応まで、パッケージ・システムを自社向けにカスタマイズするのは、思いのほか大変な作業でした。例えば申請処理に着手しても、上長の承認を受けたら次は? 不在のときはどうする? 欄外に書かれた申し送り事項はどう処理する?……と、なんとなく慣例化されたフローをシステムに落とし込むには、就業規則に則った本来のワークフローに立ち返るところから始めなければなりませんでした。私を含む実働二人体制で8月からデータの入力・移行を開始したのですが、10月にはタイムカードを稼働させて、なんとか年末調整の事務作業にも間に合わせられたので本当に良かったです。
稼働に際しては、説明会を開いたり、説明資料を共有フォルダに準備したりと、従業員が戸惑わないように慎重に進めたのですが、思ったよりもスムーズに移行できました。特に私が良かったと感じているのは、わからないからといって適当にやる人がいなかったことです。当社は平均年齢が40代中盤で、PCスキルはまちまちなのですが、操作につまずくと、みんなその都度私に声を掛けてくれました。そして説明中、気がつくと周りに何人も集まっていて……なんていう場面がよくありましたね。

04 今後の業務効率化のビジョンは?
現在、システム上で申請できるのは残業申請だけなので、これを有給や直行・直帰といった他の申請にも広げていきたいと考えています。それから、労働保険などに関して行政に提出する管理資料を自動作成できるツールもあるらしいので、今回の補助事業を機に自動化の未来をいろいろ探っていくつもりです。

05 最後に、今回の補助事業の感想をお聞かせください。
他の同種の補助金と比べて申請手続きがシンプルでスムーズだったと思います。過去の補助金申請の経験から、細かな数値とそのベース資料をまたいくつも用意しなければならないんだろうな……と身構えていたのですが、申請時の事業計画書は文章が主体で、記入項目もとてもわかりやすかったです。
あと、2回の事前相談はとても助かりました。ヒアリングがあると聞いたときは、審査の一環かと思って緊張したのですが、実際は、申請内容に対する事業団の専門家からの助言でした。「採択可能性を上げましょう!」と親身に寄り添ってくれたのがとても印象に残っています。
ITコーディネータ・
上級ウェブ解析士
木村俊一
支援担当者からコメント
本事業は、老朽化したオンプレミス型システムをクラウドへ移行することで、勤怠・給与・年末調整業務の効率化とペーパーレス化を実現した好事例です。支援にあたっては、単なるシステム導入にとどまらず、同社の業務の進め方や課題を丁寧に整理しながら、導入後の効果が分かりやすく伝わる事業計画となるよう、数値や業務フローの整理について一緒に検討しました。また、システムの社内定着を意識し、従業員の皆様にとってのメリットが伝わる説明やマニュアル整備など、運用面についても助言を行いました。実際に現場から「業務が楽になった」という声が聞かれたことは、支援に関わった者としてとても印象に残っています。本補助金の特徴である専門家による事前相談や伴走支援が、こうした取り組みを後押しできたことを嬉しく思います。今後さらに業務のデジタル化と働きやすい職場づくりが広がっていくことを楽しみにしています。
企業概要
仙台市地域企業業務効率化サポート補助金活用事例
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