MOYANE協議会は、仙台市産業振興事業団が主催する
第9回新東北みやげコンテストの受賞企業です。

「もりおかやっぱりいいよね」をテーマに、商品を通じて岩手県盛岡市の魅力を伝える「モヤーネ」。
盛岡を代表するような老舗の商品を若手デザイナーがリブランディングしてパッケージを改良するというプロジェクトです。そのひとつとして選ばれたのが、明治42年創業の老舗和菓子店「御菓子司 山善」の「ぶどう飴」。
店舗の裏庭に植えられた山ぶどうの果汁を使用した(※)「ぶどう飴」は、山善の昔からの看板商品のひとつ。
※自社採取で足りない分は、岩手県産の山ぶどうで対応
写真:お父さまが4代目にあたるという、奥堂さん
山善の広報担当の奥堂和香子さんは「ぶどう飴は昔からある商品で、大正時代にはすでにあったことがわかっています。ただ、ここ最近なぜか売り上げが伸びずにいて、どうしようかと考えていたところでした。絶対にお店からはなくせない商品であって、若い方にも召し上がっていただきたかったので、お声がけをいただいたときに『ぜひ、このぶどう飴をリブランディングしてください』とお願いしたんですよ」と話します。
写真:独立したその年に、この大役を任されたという松前さん
デザインを担当したのは、若干24歳の松前哲さん。
「僕も岩手の出身で、家族が郷土菓子好きだったことから、ぶどう飴は知っていたんです。今回のプロジェクトの中にぶどう飴があったので、『やりたいです』と手を挙げました」と話します。しかし「手を挙げたはいいけれど、『僕みたいな若手でいいのかな』というプレッシャーも感じていました。でも、奥堂さんからもいろいろ提案していただいて、割とすんなりと進めていくことができました」と、当時を振り返ります。
写真:ぶどうの房、粒を想起させるかわいらしいパッケージに仕上がりました
出来上がったデザインは、ぶどうの房を想起させるコロッとしたかわいらしいパッケージ。山ぶどうの色合いを、グラデーションをつけた美しい紫色で表現しました。持ち手の茶色い紐は、ぶどうの蔓のよう。おみやげ売り場でもこの持ち手をひょいとつまんで、買い物かごにいれるお客さまも多いそうで、まさに狙った通りの展開となっているようです。
写真:山善の店舗裏庭で栽培している山ぶどう。撮影時はまさに収穫の時期でたわわに実っていました
松前さんは「山善さんの裏庭に山ぶどうが植えてあるんです。中庭に生えているときいたので実際に見せていただくとすごく立派で。ぶどう狩りの感覚で、陳列しているところから取れたら楽しいかなと思ってこの形にしました。最初は、イラストでぶどうを表現しようとしていたのですが、形で表現しても楽しいかな、と。持ち手の部分は、奥堂さんのアイデアなんですよ」と教えてくれました。
写真:初めての共同作業は大成功でした
このデザイン案を見た奥堂さんは「一目ぼれしました。提出していただいたデザイン案は何点かあったのですが『これだ!』と思いました。若い人向けにも行けるデザインでしたし、なによりかわいくてワクワクする感じが伝わってきたんです」。
新しいパッケージに生まれ変わった「ぶどう飴」は、モヤーネの商品のひとつとして、いろいろなところで販売されることに。奥堂さんは「コンビニや駅の売店、あとは『盛岡手づくり村』という場所があるのですが、そこで置いていただいているので、小学生、中学生のお客さまも買ってくれるんです」と話します。「次の世代に…」という奥堂さんの願いが叶いました。
写真:この夏のおみやげ需要の急伸を受け、増産することになったそう。丁寧にこしらえます
甘酸っぱく、夏場はねっとりで、冬は固め。季節によって食感が変わるのも、このぶどう飴の特徴。パッケージデザインが変わり、規制のない夏休みとなったためか「お盆期間でおみやげ需要が増えました。売り切れになってしまうところもあって、普通夏場にはぶどう飴はつくらないのですが、急遽工場を稼働させることになりました」とうれしい悲鳴も。
写真:ぶどう飴を細かく刻んで、バニラアイスのトッピングに。食感も楽しめる極上のデザートに
盛岡周辺でないと購入できないということもあり、おみやげ需要も高いよう。
松前さんは「デザインは、売上の改善を助けるひとつの手段になると思います。でも、こうして実際に売り切れたお話を聞いて、売り上げに直結してくるとうれしいし、力になれたんじゃないかなと思います」と話します。
写真:さらに、八戸の老舗和菓子店「丸美屋」の「雪中果」もトッピング。贅沢な一品になりました
古くから伝わるものを大切に守っていく盛岡の地で、新しいアイデアを加えていきながら、この先も老舗の味は続いていくのです。
老舗菓子店「山善」で生まれ育った奥堂和香子さん、岩手を拠点に活動する若手デザイナー松前哲さんの物語は、Yahoo!ニュースでもご紹介しています。是非ご覧ください。
若い人につなげていくため、老舗ができること/御菓子司 山善・奥堂和香子さん
“岩手らしさ”を追求するデザインを/SUBTLE DESIGN・松前哲さん
有限会社玉谷製麺所
将棋駒パスタ
有限会社玉谷製麺所は、仙台市産業振興事業団が主催する
第9回新東北みやげコンテストの受賞企業です。

山形県西川町。山形県のほぼ中央に位置し、月山のふもとの町として知られるこの場所で、常にチャレンジし続ける製麺所があります。それが昭和24年(1949)創業の玉谷製麺所です。
第9回「新東北みやげコンテスト」でアイディア特別賞を受賞した「将棋駒パスタ」も、数ある挑戦の中から生まれた商品です。
専務の玉谷貴子さんは「弊社は、製麺所としてこれまでにもいろいろなパスタをつくっていて、さくらんぼのパスタをつくったところ、地元のみなさんにすごく喜ばれたんです。その中で、『山形らしいパスタをつくろう』という話になりまして、ラ・フランスのパスタをつくることにしました。天童はラ・フランスの生産量が日本一なので、ラ・フランスを使ったパスタにしよう、と。形もラ・フランスにするアイデアもありましたが、もうちょっとひねったものがよくて、同じく天童が生産日本一を誇る将棋の駒にしたんです」と、開発のきっかけを話してくれました。
生地に練り込むラ・フランスは「摘果」といって、大きく育つ前に間引かれたもの。通常であれば、廃棄されてしまうものです。玉谷さんは「文献を調べると、GABAなどの栄養成分があることがわかりました。まだ若く甘くはないのですが、しっかりラ・フランスの香りはするんですよ」と話します。
そして、将棋駒パスタで何より驚かされるのが、きちんと文字が入っていること。
「相当大変だったんです(笑)。最初は『と金』だけだったんです。一番簡単なもので…と考えていたのですが、『やっぱり将棋だったら王将もほしいよね。縁起がいいから左馬もほしいよね…』となっていって…。それで3つまで増えていきました。それを駒のデザインをする職人さんに話したところ『なぜ、一番人気の飛車がないの?』と言われまして…」と、玉谷さんは当時を振り返って笑います。
デザインにあたってのポイントは4つだったそうで「金型屋さんがデザインできて、押し出したときに、美しい形状であること。ゆでても絶対に煮崩れせず、最後にそれが読めるということ。イタリアの金型屋さんと、ああでもないこうでもない、と2ヶ月間喧嘩しながら必死につくりあげました」。
イタリアの金型職人さんが漢字を理解していないこともあり「この点はいらないね、とかいうんですよ。それで、出来上がっていわれて気づいたんですけど、王将は『王将』と漢字二文字にしたんですね。これは『王』だけでもよかったのに、あの時は『王将』と入れなくては…と必死になっていて」。
実はこの「将棋駒パスタ」は、構想から出来上がるまでに3年の月日を要しています。「コロナ禍になってしまったこともあって、3年かかりました。どこへも行けない時代から、どこへでも行けるようになるよう『と金』に願いを込めました」。
将棋駒パスタが現在、天童温泉の各旅館の朝食などで提供されているようです。
この商品を発表するやいなや、意外な反響も。
「ある方から『玉谷製麺なら、自分の夢をかなえてくれるかもしれない』と持ち込みがあったんです」。
写真:「燻製堂八戸前沖さば」と将棋駒パスタを合わせ、ちょっとユニークなマカロニサラダに
写真:将棋駒パスタはホワイトソースとの相性が抜群!
写真:もちろん、ミートソースでもおいしくいただけます。「ニボリタン」のソースをかけてみました
それがなんと「ブルーインパルスパスタ」。ブルーインパルスの機体だけでなく、演目までもパスタで表現しました。「航空ショーをお皿の上で楽しんでいただけるようにデザインしました。ブルーインパルスも真上から、真横から見たものを表現しています」。
「私どもは、お客さまがほしいというものに最大限の力で応えるまでです。これまでの商品もお客さまの声で生まれてきたんですよ。なんだかんだで、チャレンジするのが好きなんですね(笑)」。
地元の声、お客さまの声に応えながら、玉谷製麺所のチャレンジはまだまだ続きます。
笑顔でさまざまな難題にもチャレンジする玉谷貴子さんのものがたりは、Yahoo!ニュースでも紹介しています。ぜひご覧ください。
株式会社ロル
ニボリタン
NIBOLITAN
本州最北の地・青森県。青森に昔から根付く食文化が「煮干し」です。人口に対しての煮干しラーメン店が圧倒的に多く、青森県民は朝昼晩いつでも煮干しラーメンを食べているそう。家でつくる味噌汁や煮物も煮干しで出汁を取るのが青森のスタンダード。煮干しだけで出汁を取る地域というのは、全国でも珍しいのだそうです。
写真:煮干しの香り高い「ニボリタン」。JUSTINE COFFEEのシグニチャーメニューです
そんな青森の「煮干し」と、洋食の代表選手である「ナポリタン」が融合したのが青森市に店舗を構えるJUSTINE COFFEEの「ニボリタン」です。このユニークなネーミングとそのおいしさにほれ込んだのが、仙台を拠点とする地域商社、株式会社ロルの堀井哲平さんでした。
「8年くらい前に、弊社の系列のアパレル事業でJUSTINE COFFEEさんの2件お隣のセレクトショップでポップアップを行ったのがきっかけです。そのときに、JUSTINE COFFEEの(店主・平野)大智くんと知り合って。そのときに『ニボリタン』をいただいたのですが、そのビジュアルとおいしさにやられた!と思ったんですよね」と、堀井さんは話します。
写真:お店では、たっぷりの煮干し粉を入れてソースを仕上げます
煮干しをまるごと使用するため、まるでラメをまとったかのようにキラキラしている「ニボリタン」。パスタを一口ほおばると、濃厚な煮干しの香りが広がります。そして、その香りを追いかけるように、酸味と甘みのバランスが絶妙なソースの味わいがやってきます。生めんのパスタは、もちもちとしていて食べ応え十分。「ニボリタン」を一度でも食べたことがある人ならば「これはヤミツキになるね」と、口々に言うのも納得です。
そしてこの「ニボリタン」同様、煮干しをふんだんに使用したJUSTINE COFFEEのもうひとつのシグニチャーメニューが「ニボキーマカレー」です。
写真:JUSTINE COFFEE店主の平野大智さんと打ち合わせする㈱ロルの堀井さん
「ニボリタン」と「ニボキーマカレー」にほれ込んだ堀井さんは、この商品を通販で全国展開しようと考えました。このアイデアを聞いた、店主の平野さんも「ぜひやってみたい」と、快諾。
「まずは、クールで『ニボリタン』を販売しました。とてもおいしいのですが、賞味期限がわずか6日と短かった。お客さまから『もっと日持ちするとうれしい』などの声をいただくようになり、これをなんとかレトルトにしよう、全国の方に召し上がっていただこう、と考えました」。
写真:その味にほれ込んで、レトルト開発に乗り出したそう
「ニボリタン」のおいしさをそのまま再現してくれる事業者さんに恵まれ、商品開発は進んでいきます。小麦粉には生パスタ専用のファリーナ・ダ・サローネを使用し、生地にオリーブオイルを練り込んで滑らかな食感を実現。麺は乾燥室で48時間程かけてゆっくりと乾燥させていきます。この製造方法で、お店と変わらないもっちりとした食感のパスタになりました。
ソースは、玉ねぎとソーセージ入り。かけるだけでお店の味になります。別添えの煮干し粉をかければ、自分好みの“煮干し度”が実現可能です。
写真:そのままでもおいしいニボリタンですが、コッペパンに挟めば懐かしの「スパゲッティパン」に
現在「ニボリタン」は、オンラインショップのほか、青森市内のA-FACTORYをはじめとするおみやげ店やスーパー、アクアイグニス仙台、全国のスーパースポーツゼビオhinataキッチンなどで取り扱い中
写真:がっつり行きたい日には、チーズを乗せてオーブンへ。濃厚な「焼ニボリタン」に
堀井さんは「この商品をきっかけに、青森に行ってみたい、JUSTINE COFFEEで『ニボリタン』を食べてみたいと思ってくださる方が増えたらうれしいです」と話します。
そして、「今後も、仙台の地域商社として東北のよいもの、おいしいものを全国のみなさんに紹介し、地域活性のお手伝いができたら」と、この先のビジョンを語ってくれました。
写真:堀井さん(左)と平野さん(右)。これからもふたりのタッグは続きます
青森が誇る食文化のひとつ、「煮干し」。
「煮干し×洋食」の妙を、ぜひ「ニボリタン」で味わってみてはいかがでしょうか。
「ニボリタン」のレトルト商品化に奔走した堀井さんのものがたりは、Yahoo!ニュースでもご紹介しています。ぜひご覧ください。
株式会社永勘染工場
染 CYCLING CAP
株式会社永勘染工場は、仙台市産業振興事業団が主催する
第9回新東北みやげコンテストの受賞企業です。

仙台市若林区南染師町(みなみそめしまち)。かつて染師たちが暮らし、染物をつくっていた町で、たった1軒、今でも染物屋として商いを続けるのが、「永勘染工場」です。明治20年(1887年)の老舗が2022年にリリースした商品が話題となっています。それが、日本屈指のブランド木綿である知多木綿を使用し、本染めでデザインを施したサイクリングキャップ「染 CYCLING CAP」です。
写真:若林区南染師町の永勘染工場。季節の暖簾が軒先にかかります
ロードバイクやマウンテンバイクなど、サイクリストがヘルメットの下にかぶるキャップ。永勘染工場と仙台のデザイン事務所「comme-nt」(コメント)のコラボレーションで生まれたもの。実は、永勘染工場のウェブサイト作成やロゴのリニューアルをした縁で、comme-nt所属のデザイナーである佐々木享さんから提案があったのだとか。
写真:永野さん(左)と談笑するデザイナーの佐々木さん(右)
永勘染工場の代表取締役・永野仁輝さんは「何か新しい商品がほしいと思っていたんです。そんなときに佐々木さんがこのアイデアを出してくれて。私もマウンテンバイクに乗るものですから、『いいね、いいね』と話が進んでいきました。チャレンジ補助金を活用して、縫製工場も宮城県内で見つけて、商品化することができました。現在は弊社の店舗のみでの販売ですが、今後は販売先を考えていきます」と話します。
写真:自転車好きが高じて、アパレルへ挑戦した佐々木さん
佐々木さんも「もともと自転車のアパレルをやりたいなという思いがあって、永勘さんの工場を撮影する機会が増えるごとに、『永勘さんの染物を使ってなにかつくれたらな』と考えるようになったんです。永野さんはどんなアイデアを出してもOKしてくれて。それも、それまでのお付き合いの中で信頼関係が築けたからだと思います」と。
個人的にサイクリングキャップをつくる自転車好きの人たちもいるそうですが、手ぬぐいをサイクリングキャップにするのは、なかなかないそう。手ぬぐいも仙台のもの、そして縫製は登米にある工場にお願いして「Made in 宮城のプロダクト」をつくることができました。つばや帽子自体の大きさにもこだわっていて、少し大きめにつくっています。僕、頭が大きいので市販のものだとちょっと小さいんですよね」と、佐々木さんは笑います。
写真:老舗の名に胡坐をかかず、新しいものを追い求める永野さん
永野さん自身もマウンテンバイクには乗るものの、「もちろんヘルメットの下にかぶるものとは知っていましたが、ロードバイクでスピードを求める方たちのものなのかな、という印象でした。自転車はコロナ禍で市場がぐっと大きくなっていて調べてみたところ、ニーズがあるのであればチャレンジしてみたいなと思いました。当社もご多分に漏れず、コロナで大きなダメージがあったものですから。法被や手ぬぐいというのはお祭りあってこそのものなので」。
写真:永勘染工場の中にある道具たち。見ているだけでも楽しい
サイクリングキャップは、被る派と被らない派に分かれるそうですが、佐々木さんは「僕はもともと被る派でした。汗を吸ってくれますし、つばがあるので日よけにもなる。ヘルメットを直接被るよりもずれない、痛くならないっていうメリットがあるんです。あとはちょっとしたおしゃれのアクセントにもなるのでいいんですよね。さらにこのキャップは軽くて締め付けがなく速乾性が良いので自信をもっておすすめできます。染 CYCLING CAPのウェブサイトやパンフレットに登場するのはみんな実際に自転車に乗っている僕の友人たちです。みんな、このキャップの良さを理解して日頃愛用してくれています」と話します。
写真:次回リリースされる3柄(下)と初回デザインのCIRCLE(左・芥子色)とMOUNTAIN(右・緑)
そして柄にもこだわりが。「WIND」「CIRCLE」「MOUNTAIN」。どれもが、自転車にまつわるキーワードからデザインされたオリジナルの柄。佐々木さんは「WINDは自転車に乗っているときに感じる風、CIRCLEは車輪やペダルが回る円運動、そしてMOUNTAINは上り坂や下り坂の辛さや楽しさ。自転車を楽しんでいる人なら誰もが共感してくれるようなテーマをオリジナルの柄にデザインしました。
8月にはアメリカニューヨークで行われたクラフトを集めたポップアップショップ「アーケードジャパン」にも出店。「あちらでの評価も楽しみですね」と永野さんは語ります。
写真:工場では職人が一枚一枚を丁寧にチェックする
また、今後は毎年3柄を加えていく予定だそうで、キャップ以外のアイテム展開も検討中だそうです。「サコッシュはつくりたいなと思っているんですけれど、ありきたりなのばかりでは面白くないと思っていて」と、佐々木さん。
目下の目標は、自転車の本場であるヨーロッパで展開することだそう。佐々木さんは「サイクルロードレースの本場ヨーロッパにポップアップショップをしに行くのもいつかやってみたいですね」と目を輝かせます。
写真:これからもタッグを組んでの商品開発は続きます
仙台の老舗染物店と、自転車をこよなく愛するデザイナーが生んだ染 CYCLING CAP。これからの展開も楽しみです。
「永勘染工場」とその伝統をつないでいく、永野さんのものがたりはYahooニュース!でもご覧いただけます。
株式会社永勘染工場
所在地 〒984-0814 宮城県仙台市若林区南染師町13番地
TEL 022-223-7054
営業時間 午前9:00~午後5:30
URLhttps://nagakan.jp/
株式会社グリーディー
天然回帰~Feel Organic~アロマティックバスソルト
株式会社グリーディーは、仙台市産業振興事業団が主催する
第9回新東北みやげコンテストの受賞企業です。

「暮らす人を豊かに」をコンセプトに、アロマ・ハーブ・女性の感性で「人」「事業」「地域」の課題に取り組む株式会社グリーディー。天然のアロマ精油を活用した企業のブランディング・マーケティング支援のほか、オリジナルのプロダクトも販売し、リリースする度に大きな話題となっています。そのグリーディーが、2022年に発表したのが、「天然回帰~Feel Organic~アロマティック バスソルト【呼吸】【解放】」です。
株式会社グリーディーCOOの阿部楓子さんは「コスメの分野に取り組みたいと考えていたところ、その前年に『AKIU Style』の商品開発の支援をしていただいた仙台市産業振興事業団さんから商品開発支援のご案内をいただいて、挑戦してみようということになりました」と話します。
商品開発支援プロジェクト開始当初は、東北素材を活用したコスメをつくるということだけは決めていたものの、具体的な決定打にかけていたそうです。阿部さんは「マーケッターの大志田(典明)さんから『ニーズの調査を、自分たちのお客さまを対象にした方がいい』とアドバイスをいただきました。アンケートをやってみて新しい視点や顧客ニーズも把握することができ、総合して検討するよい機会となりました。その結果をもとに、肌、全身で感じてもらえる『バスソルト』にたどり着きました」と話します。
また、その中でイシノマキ・ファームのホップを活用できないかという話が舞い込んできたそう。
「ホップのビールだけではない魅力を発信したいというご縁でした。さらにホップについて調べてみたら、実は美容効果が高いことがわかって」と、阿部さんは話します。
東北のものを使用した商品づくりは、グリーディーの事業の大きな軸。ホップを使用すること、そして手摘みのラベンダーを自社で精油したラベンダーオイルを使用した2種類のバスソルトをつくることが決まりました。
ブランド名は「天然回帰」。
阿部さんは「商品開発を行っていくと、いろいろな意見を耳にして迷うことが出てきます。そのときに心がけたのが、原点。私たちの強みと魅力は、手作業で作り手の顔が見えることと東北素材のアロマ。どうブランドを展開しても、そこに戻るんです。原点に返るということで。原点回帰からこのブランド名にしました。そして、お客さまにどうなってほしいかを考えて生まれたのが、深呼吸したくなるような【呼吸】とほどけるような【解放】でした」。
【呼吸】は、「ホップについて取材をして、その花言葉が希望であることを知り、農業を通しての心のリカバリーを強く感じました。お日さまの下で土にまみれて深呼吸できる。そんなイメージがふくらみました。ただ、直接香ったときとお風呂に入れたときの香りが違ってしまったんですね。ホップが酸化しやすく、色も香りも変わってしまうためです。なので、今まで通りのブレンドとは違ってしまいました。1種類の香りをつくるのに、10回以上はお風呂に入って何度も試作を繰り返しました」と、阿部さん。
【解放】は、「雄勝で獲れたラベンダーの香りをころさないように自社で精油しました。妖精さんと呼ばれている手摘みの方たちの生き方や土地への想いが伝わるといいな、と。塩にブラックソルト入れているのですが、硫黄臭があるので、入れすぎてしまうと香りのバランスが崩れました。香りを楽しんでもらうバスソルトですので、ブラックソルトの配合が難しかったですね」と、その開発秘話を明かしてくれました。
正式な商品化に際しては、モニターもお願いしたそうで、「92%の方が『疲れた日に使いたい』とおっしゃってくださいました。なので、1日の中で洋服を脱いでいただくような雰囲気にしたいと思いました。4個パックにしているので、週に1回自分に贅沢な時間を持ってほしいです」。
阿部さんは「事業団の商品開発支援プロジェクトは、社内だけではたどり着けないゴールに導いてくれたと思います。辛口のアドバイスもありましたが、社内では出てこないアイデアでした」と振り返ります。
さらにこの商品をもっと気軽に試していただきたい想いから、「スタッフみんなで【呼吸】と【解放】を大切な人に贈ることができるレターサイズの商品『アロマソルトレター』をつくりました。いきなり4回分を買うのではなく香りを試したいとか、使ってよかったからお友達や親御さんに贈りたい、というニーズに合うのかな、と思いまして」。かわいらしいイラストが印象的なパッケージ。これは、石巻の就労施設「あっぷるぷらす」の利用者さんが描いたものをデザイナーさんにお願いして組み合わせてつくったものなのだそう。
現在は、化粧品の開発に力を注いでいるというグリーディー。目指すゴールはどこなのでしょう。
「それこそ私は、このお部屋のブルーの色の自社ビル兼店舗をつくること(笑)。ほかにもスタッフが秋田出身なのでいつかは秋田、そして南三陸と東北各地に支社なんかできたら楽しいねと話をしました(笑)。でも、現実的な話として、そこに至るまでのロードマップの中で出てきたのが化粧品の開発だったんです。ほかにも、地域課題の解決でいろいろなものを循環させていかないと…とか、やるべきことは山積していますね(笑)」。
“欲張りな”という意味を持つグリーディー。阿部さんをはじめとして、女性たちの素敵な“欲張り”が、この地域を、社会を大きく変えていくかもしれません。
イキイキと働く姿が印象的な阿部さんのものがたりは、Yahoo!ニュースでもご紹介しています。ぜひご覧ください。
株式会社グリーディー
所在地 〒980-0802 宮城県仙台市青葉区二日町17-22 TNER304
TEL 050-3395-1832
営業時間 午前10:00~午後5:00
URL https://www.greedyweb.com/
\行ってきました!/「東京インターナショナルギフト・ショー秋2023」
リポート
魅力的な雑貨・工芸品がいっぱい!
テーマは「仙台 杜のくらふと sendai desiners for well-being」
去る9月6、7、8日の3日間にわたって、東京ビッグサイトで行われた「第96回東京インターナショナル ギフト・ショー秋2023」。
海外からの来場者数を含む総来場者数は21万人を超え、大変な盛り上がりをみせました。
出展企業数も2,982社にのぼり、仙台市からは「仙台 杜のくらふと」と題し、6社が出展を果たしました。
ギフト・ショー初出展のDEPART(itch)は、ユニークなアートハンガーを出展。
齊藤薫さんは「予想以上に多くの方に立ち止まっていただいて、お話することができました。このハンガーのユニークな点を理解して面白く使っていただける方に届けたい」と話していました。
剣道の道着などに使用される「刺し子生地」使用したバッグや小物を製造販売する「ENN LIVING WORKS」も今回が初出店。熊谷朋之さんは「たくさんの異業種の方とふれあえる貴重な機会となりました。日本の伝統文化、そしてこの商品の経年変化を楽しんでいただける方に手に取ってほしいですね」と話していました。
水彩画をテキスタイルに起こし、ハンカチやポーチなどのアイテムに仕立てている「miyaco hyper」。代表の西尾都さんは「ギフト・ショーに出てみたかったんです。過去に見学に来たこともあったのですが、実際に出展するとお取引が発生して、すごく勉強になります。歓送迎会やお誕生日などのギフトにぜひ遣っていただきたいです」と笑顔で語ってくれました。
AKIU Style ナチュラルリードディフューザー(ミディアム ボディ)
そして今回でギフト・ショーへの出展が4回目だという株式会社グリーディー。
COOの阿部楓子さんは「今回は心と体に働きかけるバスソルト『呼吸』と『解放』をお持ちしました。関東圏、東京で実際に香りを体験していただける機会を得ることができてうれしいです。忙しくてお疲れの方は、ぜひこのバスソルトで癒されてほしいです」と話していました。
obico -きもの帯バッグ-
着物の帯をバッグやポーチなどにアップサイクルするobicoは、2回目の出展。
代表の今野幸治さんは「もともとこのブランドは海外に向けて発信したいという思いがあったので、今回は海外のバイヤーさんの割合が増えていればいいなと期待しての出展です。実際に日本と海外のバイヤーさんが、半々なので、これをいいきっかけにしたいですね」と、期待を寄せます。
そして伊達政宗公の時代からの老舗「タゼン」は、銅の酒器を中心に初の出展。
出展ブースに立った櫻井拓さんは「仙台の森民酒造さんに協力をいただきながらつくった酒器です。イベント自体初出展なので、やりながら勉強させていただいている感じです」と話してくれました。
コロナ禍の終焉とともに、人・モノの交流がグッと増えた2023年。このギフト・ショーを足掛かりに、仙台の“よいもの”が日本全国、そして世界へと羽ばたいていくことに期待したいですね。
合名会社菓子処 丸美屋
「雪中果」
合名会社菓子処 丸美屋は、仙台市産業振興事業団が主催する
第9回新東北みやげコンテストの受賞企業です。

「春待ちりんご」や「雪室りんご」という言葉を聞いたことはありますか?
雪の中でりんごを保存することで、甘味とみずみずしさが増すといわれている、東北ではポピュラーな保存方法。その雪中のりんごをお菓子で再現したのが、青森県八戸市に暖簾を構える老舗和菓子店「お菓子処 丸美屋」の「雪中果」です。
写真:コロナ禍での起死回生を狙い、「雪中果」を開発した若山さん
真っ白な粉の中に、これまた真っ白なマシュマロが入っています。探す楽しみがあるのも、この商品の大きな特徴です。代表の若山忠義さんは「うちは冠婚葬祭の干菓子が売り上げの中心だったのですが、コロナで冠婚葬祭がなくなってしまって、全部頭打ちになってしまって。これからどうしようと考えていく中で、新しい商品が必要だろうということになりました」と、その開発のきっかけについて話してくれました。
写真:老舗和菓子店らしく、工場の中には年季の入った焼き印が
「せっかくだから、丸美屋が今まで作っていたようなお菓子とは全然違うものを作りたいと探していたところ、マシュマロ、ギモーヴというものに出合ったんです。和菓子ではないものを和菓子として販売してはどうかと。機械メーカーさんのほうで、マシュマロの中にりんごのジャムを入れることができるということだったので、じゃあやってみようか、と。中に餡を入れるというところは和菓子らしいと考えました」。
写真:伝統的な和菓子も職人の手でつくられていく
ヒントになったのは、かつて全国を巡る中で出合ったお菓子でした。
「広島に行ったときに、和菓子屋さんでギモーヴを使った商品を出しているところがあって、いいなぁと思っていたんです」。
写真:雪中果をふたつに割ると、甘酸っぱいりんごのジャムが顔を出します
りんごのジャムを包んだマシュマロ、だけでは物足りないと感じたという若山さん。
「何か面白いことができないかと考えたときに、津軽の方で雪の中にりんごを貯蔵して、それを春になったら出して食べるっていうのがあったよな、と思い出して。雪の中に埋もれて探しながら食べるっていうのは面白いんじゃないかと。ただ、雪の中から出てくるりんごは真っ赤だけど、うちのは白い。だからといって色を付けてもちゃんとしたりんごの色にはならないから、うちは白いまま進めてもいいかな、と。白に白でぱっと見分からないというのも面白いかな、と思って」。
オブラートを細かく刻んだものを雪に見立て、「雪中果」が完成しました。
パッケージにも若山さんのこだわりが光ります。
「雪の中から顔を出すりんごを表現しています。あえて商品名を入れていないので、食べ終わったら小物入れなどとして使っていただけたらうれしいですね」。
昭和8年(1933)創業の老舗和菓子店が挑戦した、新たな商品づくり。
ユニークなコンセプトとデザインの美しさもあり、「新東北みやげコンテスト」で優秀賞に輝きました。
「賞をいただけたおかげで、メディアからの取材も受けることもできました。お土産としての動きもとてもいいんですよ」。
「雪中果」は、丸美屋本店、八食センター店のほか、イベントなどのポップアップショップで購入することが可能です。オンラインストアも準備中とのことなので、ぜひ一度“雪”の中から甘~いマシュマロを探し出してみてはいかがでしょうか。
「お菓子処 丸美屋」、そして若山さんのものがたりは、Yahooニュース!でもご覧いただけます。
合名会社菓子処 丸美屋
所在地 〒031-0802 青森県八戸市小中野8-8-35
TEL 0178-22-6105
FAX 0178-47-3553
営業時間 午前9:00~午後5:00
定休日 毎週火曜日
URL https://marumiya.jp/
山葵醤油
新商品/新サービス開発支援
「森と蜂と」リブランディング【再掲】
「森と蜂と」
※「森と蜂と」の「初咲」(写真の一番左)が日本はちみつマイスター協会が主催する「第6回 ハニー・オブ・ザ・イヤー」の国産部門と来場者特別賞で最優秀賞の2冠を達成したのを受け、一部加筆訂正しています。受賞のコメントは記事の最後でご紹介しています。
秋保の里山の麓で養蜂場を営む山口将吾さん、梢さん夫妻。今回山口さん夫妻がつくるはちみつが、仙台市産業振興事業団が実施する「新商品/新サービス開発支援」の対象に選ばれ、リブランディングの支援を受けることになりました。
マーケッターやコピーライター、デザイナーがチームとなり、仙台市産業振興事業団がリブランディングをバックアップ。ブランドネーミングからラベルデザイン、リーフレットの制作まで、約半年に渡る伴走支援が行われました。
写真:森の中で、蜂と真摯に向き合う山口さん夫妻
今回、山口さん夫妻をサポートするメンバーは、
【仙台市産業振興事業団 ビジネス開発ディレクター】
◆大志田典明(マーケティングプロデューサー)
◆川島洋子(フードコーディネーター)
【外部クリエイター】
◇梅木駿佑(グラフィックデザイナー)
◇工藤拓也(コピーライター)
※敬称略
これまで数々の商品開発を手がけてきたプロとともに、プロジェクトがスタート。月1~2回ほどの打合せは、仙台市産業振興事業団の会議室やオンライン、養蜂場がある秋保で行われました。
写真:AER(アエル)7階に事務所を構える「仙台市産業振興事業団」。初夏のころ、会議室に集まりプロジェクトがスタートした
思いを体現するラベルデザイン
このプロジェクトがスタートする数ヵ月前に、山口さん夫妻のはちみつを味わったことがあったマーケティングプロデューサーの大志田さんは「上質な日常を送る人をターゲットにしよう」と提案。山口さん夫妻がつくる17種類のはちみつを、色や味などをもとにチャート化しました。
その上で、はちみつの中身そのものを表すラベルデザインが必要であることを説明し、「自分たちの思いを言葉にすれば、クリエイターたちがくみ取って形にしてくれる」と話します。それを受けて山口さん夫妻からは「養蜂家として、職人として、真剣に日々蜂と向き合っていること」、「四季を通して、蜂が健康に暮らすために手間暇をかけて育てていること」など、養蜂にかける熱い思いが語られます。
写真:どのような思いと手法で養蜂と向き合っているか、山口さん夫妻の言葉を全員が共有します
はちみつが生まれる場所
夏のある日、プロジェクトメンバーが実際に現地へ赴きました。森の中にありながら、青空が抜ける静かな山口さん夫妻の養蜂場。打合せで聞いてきた言葉が、プロジェクトメンバーの前に実態として現れます。
写真:秋保の里山にある養蜂場。森林に囲まれた自然豊かな環境が広がる
写真:山口さんが、巣板にスプーンをあててすくうと、艶のある黄金色の蜜がとろりとあふれ出します。一口含むと、芳醇な花の香りが鼻を抜け、爽やかな甘味が広がりました
山口さん夫妻は自身の仕事を「蜂に仕える仕事、自然に仕える仕事」と表現します。蜂の命を預からせてもらっている、自然を敬うことを大切にする。だから自然由来の養蜂で、手間暇をかけてつくる_。この矜持があってこそ生まれるのが、このはちみつなのです。
丁寧なコミュニケーションが生んだ、奇跡のブランド
山口さん夫妻が「プロジェクトはこの方なしでは成し得ることが出来なかった」と振り返るのが、マーケティングプロデューサーの大志田さんです。大志田さんは、ふたりのはちみつを見出し、ラベルデザインのリニューアルを提案。このプロジェクトを大きな推進力で形作るだけでなく、常にふたりの理解者でありました。
写真:直売所の予定地となる場所を視察するマーケティングプロデューサーの大志田さん(右)
そして、大志田さんとともにこのプロジェクトを支えたのが、グラフィックデザイナーの梅木さんとコピーライターの工藤さんでした。
「養蜂家である前に、一人の人間としてどのような方なのか。どんな気持ちで、どんなことを目指しているのか。仕事のことはもちろん、それとは関係ないことも、いろんな角度から一緒にイメージや言葉を作って、話し合ってきました」と語るのはグラフィックデザイナーの梅木さん。
コピーライターの工藤さんも「養蜂という仕事やこだわりについて聞くときは、わかったふりをしないで、理解できるまで質問してきました。また、私の提案に対しても、遠慮なく意見を言ってほしいと繰り返しお伝えし、お互いに納得がいくまで、じっくりと時間をかけてきました」と振り返ります。
写真:コピーライターの工藤さん(左)、グラフィックデザイナーの梅木さん(中央)、山口将吾さん(右)は幾度となく話し合いを重ねてきた
将吾さんは「私たちの苦労や思いを表現してくれたのが大志田さんはじめ、プロのみなさんでした。今まで1人で全部やらなければと頑張ってきましたが、心強いサポートを得られて、頼っていいんだなと思えるようになりました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです」と話します。
新ブランドは、プロジェクトメンバーとコミュニケーションを丁寧に重ね、チーム全員で思いを共有して作り上げられました。そして、コピーライターの工藤さんから提案されたブランドネームは、「森と蜂と」。
工藤さんは、「森・蜂・人(山口さん夫妻)」の3要素の関係性を山口さん夫妻の目線で表現しました」と話します。
山口さん夫妻は「『森と蜂と』には、養蜂家として、ひとりの人間として真剣に向き合っている姿を表現していただけました。これまで大切にするはちみつをどのように伝えたらいいかわかりませんでしたが、私たちがやってきたことや思いを大きく俯瞰して表現してくださいました」と話します。
ブランドネーミングが決定した後は、ラベルデザインです。グラフィックデザイナーの梅木さんから、「森と蜂と」のロゴデザインとはちみつの瓶に貼るラベルデザインが提案されました。ロゴデザインのコンセプトは「森から採れる蜜」。見る人によって、いろいろな物語が紡ぐことができそうなロゴになりました。そして瓶に貼るラベルは、ワインのエチケットのような気品を纏ったデザインに。
写真:花の蜜の名前、採取地、ロゴマーク、屋号などが配置されたラベルデザイン
ラベルの端には蜜源である花や植物の色を抽出したポイントカラーもあります。このポイントカラーは、山口さんと夫妻と梅木さんとで8時間にもわたって話し合われたそうです。ものづくりに携わるプロ同士の「濃密な時間でした」と、将吾さんは笑顔で振り返ります。
またこのラベルには、山口さん夫妻を思いやる工夫も施されています。通常、瓶にはガラス面に貼るラベルと、蓋を閉じる封緘(ふうかん)がありますが、今回はそれらがひとつとなったデザインとなっているのです。その理由を梅木さんは「瓶詰めも、ラベルを貼ることも、すべて山口さんご夫妻が手作業でされています。ラベルをひとつに統合させることで工程が減り、その分、蜂に向き合っていただけます」と話してくれました。ふたりの想いを丁寧に汲み取る作業を重ねてきた梅木さんだからこそ生まれたデザインなのです。
装い新たに出発
こうして「森と蜂と」は完成。ブランドメッセージを込めたリーフレットも完成し、2023年2月25日に直売所のプレオープンを迎えました。
写真:完成したリーフレット
改めて山口さん夫妻にこのプロジェクトについて伺いました。
「ここに来るまで10年かかりました。苦しい時間もありましたが。でも、こうしてプロのみなさんに出会えて、本気でぶつかることができて、感謝しかありません。ようやく今、殻をやぶれて新しい未来に向かうことができています」。
写真:シンプルなバタートーストにかけるだけで、極上の味わい。忙しい朝にも、豊かな気持ちを与えてくれます
写真:ブルーチーズと生ハムにはちみつをオン。ワインがすすみます
写真:上質な眠りを誘う、ホットジンジャーハニー。お湯にすり下ろしたショウガとはちみつ1さじを加えるだけ
そして、文頭でも紹介した通り、「森と蜂と」の「初咲」が日本はちみつマイスター協会が主催する「第6回 ハニー・オブ・ザ・イヤー」国産部門と来場者特別賞で最優秀賞の2冠を達成しました。
将吾さんは「お恥ずかしい話ですが、社会人になって失敗の連続で、自分が何も出来ないことを痛感させられる日々でした。何を生き甲斐にしていいのかもわかりませんでした。そんな自分でも唯一できる事が自然の中でみつばちと働くことでした。初代ではちみつ農家となり、休みなく10年を積み重ねてきました。今こうして、私たちが作ったはちみつが専門家の方々から評価頂いたこと。200人以上のはちみつファンの方から評価頂いたこと。2つ日本一を頂いたことは大変嬉しく思っています。『森と蜂と』を応援してくださった方々のおかげで、私たちは成長し、日本一のタイトルを取ることができました。ありがとうございます」と受賞にあたってのコメントを寄せてくださいました。
「森と蜂と」のはちみつは、オンラインショップで購入できるほか、秋保の直売所で購入できます。直売所では、はちみつを使ったソフトクリームも味わうことができますので、気になる方はぜひ足を運んでください。最新情報は「森と蜂と」の各種SNSで更新されるので、そちらもぜひチェックを!
森と蜂と
〒982-0241 仙台市太白区秋保町湯元行沢12-4
URL https://morino83.thebase.in/
Instagram https://www.instagram.com/mori.no83/