令和6年度に誕生した5つの地域産品「新商品/新サービス開発支援事業」のご報告

新しい地域産品、サービスを
専門家とともに生み出す

「暮らす仙台」を運営する仙台市産業振興事業団では、令和6年度の「新商品/新サービス開発支援」事業を実施しました。この事業の目的は、新しい地域産品やサービスを生み出し、仙台の新たな名物となるよう、本事業団所属の専門家と外部専門家のチームが支援するもの。
令和6年度に支援した5つの地域産品をご紹介します。

【所属専門家】仙台市産業振興事業団ビジネス開発ディレクター

◆大志田 典明:マーケティングプロデューサー
◆カワシマヨウコ:フードコーディネーター
◆渡邉 樹恵子:デザイナー
◆草野 裕樹:デザイナー

専門家ご紹介

【外部専門家】

◇門馬 祥子:ライター
◇工藤 拓也:コピーライター
◇磯崎 亮:カメラマン
◇株式会社コミューナ
◇三浦聡:デザイナー
◇島田暢:ヤマノメグミ合同会社
◇沼田佐和子:ライティング
◇有限会社スマッシュ
◇株式会社高速
◇倉茂麻子:デザイナー・フォトグラファー

※敬称略

【商品紹介】


KEYAKI CHEESE BAKE「ずんだ」/株式会社 KEYAKI COFFEE


ひとくち玉子クッキー「コッコボール」/ポッケの森


仙台娘すずめモナカ(仙台味噌あん)/生鮮館むらぬし


PUDDINONO(プリノノ)セレクトBOX
~豊潤とろうまリッチプリン・仙台はちみつジュレプリン・仙台塩ずんだクラッシュプリン〜/PUDDINONO(プリノノ)


nonobi ジビエレザーと和布のラウンドファスナーウォレット/AITTA

※商品記事は後日公開いたします。

新商品/新サービス開発支援
KEYAKI COFFEE/KEYAKI CHEESE BAKE「ずんだ」

仙台屈指の人気コーヒーショップ、KEYAKI COFFEE。店主の松木勇介さんが、初めて仙台市産業振興事業団を訪ねたのは、2016年にさかのぼるといいます。事業計画書を見てもらうために、起業支援センター「アシ☆スタ」を利用したそう。



その後、店のパンフレットやブランディングの相談にも訪れるなど、事業団とは長い付き合いに。そして今回の「新商品開発支援事業」で新たな商品開発に挑戦しました。

そんなKEYAKI COFFEEの松木さんをサポートしたのは…

《仙台市産業振興事業団 ビジネス開発ディレクター》
草野裕樹:デザイナー

《外部専門家》
門馬祥子:ライター
礒崎亮:カメラマン
有限会社スマッシュ:パッケージ印刷

※敬称略

松木さんは「すっと“仙台らしいもの”をつくりたいなと思っていました。それで、3店舗目をオープンする時点で新しい商品を出すことにして。チーズケーキはもともと商品としてあったんですけれど、分かりやすく仙台といったら『ずんだ』だと思ったんです。それで、私の出身である荒浜の枝豆を使用することになりました」と話します。



なめらかで濃厚、口溶けのよさがコーヒーとの相性も抜群のチーズケーキは、お客さまからの評判も高い逸品。その「ずんだ」バージョンをチームと開発することになりました。

こうして始まった「KEYAKI CHEESE BAKE『ずんだ』」の開発。完成したのは、鮮やかなずんだ色とアイボリーカラー、2層からなるチーズケーキ。


「最初はずんだを生地に練り込んだり、下のほうに敷いたりもしたんですけど、“ずんだ感”が出ないなということになって。食べたときに、ちょっとずんだの味わいが弱かったんですよね。なので、そのままダイレクトに感じていただけるよう、上に乗せることにしたんです」

さらには、別添えでコーヒーシロップもつけました。
「神戸のお店で、チーズケーキにコーヒーシロップをかけるお店があって。それを食べたときにすごくおいしかったのと、あとはコーヒーの風味も感じるチーズケーキだったのがいいな、と思って。それでやってみようかな、と」

どんな方に食べてほしいのか、松木さんに伺うと「県外、仙台を知らない方にもコーヒーと一緒に楽しんでいただけるようにつくった商品になりますので、いろいろな方に召し上がってほしいです」と答えてくれました。


現在このKEYAKI CHEESE BAKE「ずんだ」は、KEYAKI COFFEE BAKE SHOPの店頭でのみの販売となっています。気になる方は、ぜひ店舗に行ってみてはいかがでしょうか。

KEYAKI COFFEEのウェブサイトはこちらからどうぞ


[支援商品一覧]

ポッケの森/ひとくち玉子クッキー「コッコボール」

ちゅんちゅん堂/仙台娘すずめモナカ

PUDDINONO/PUDDINONO(プリノノ)セレクトBOX~豊潤とろうまリッチプリン・仙台はちみつジュレプリン・仙台塩ずんだクラッシュプリン~

・AITTA/nonobi ジビエレザーと和布のラウンドファスナーウォレット
※商品記事は後日公開いたします。

新商品/新サービス開発支援
ポッケの森/ひとくち玉子クッキー「コッコボール」

ころんとしたフォルムがかわいらしい「ひとくち玉子クッキー『コッコボール』」。この商品を開発したポッケの森は、障害福祉サービス(障害者就労支援事業)の菓子製造部門です。
開発責任者である星野幸さんは、「新商品開発するにあたって、専門的なアドバイスを受けたいなというふうに思っていたところ、たまたまホームページで拝見しました。一般的な公募を見て、応募しました」と、そのきっかけを話してくれました。

そんな星野幸さんをサポートしたのは…

《仙台市産業振興事業団 ビジネス開発ディレクター》
大志田典明:マーケティングプロデューサー

《外部専門家》
工藤拓也:コピーライター
倉茂麻子:デザイナー・フォトグラファー

※敬称略

実はその前年、県の事業で宮城を代表するブランド卵「竹鶏たまご」を使った総菜の開発を行って試食会を行った際、アンケートで試食アンケートの結果、「惣菜だけでなく『竹鶏たまご』を使ったスイーツが欲しいとの要望があったそう。特に30、40代女性からは「子どもだけでなく大人も楽しめるフレーバー」にニーズがあることが判明。
星野さんは「ただ卵を使ったお菓子ではなく、特徴的な商品開発ができればいいな、と。どちらかというとお子さん向けというよりは、30、40代の自然派志向のちょっとこだわってる方に手に取ってもらえそうなものがいいかなとぼんやり考えながらスタートしました」

商品開発を進めていく中で、うれしい発見も。
「甘さを引くために塩をいれたら、お酒にも合いそうだねっていう展開になりました。タマゴボーロって、何となく赤ちゃんや高齢者の方が食べるイメージだったので、大人向けにできたね、と。大きさも一口サイズよりちょっとだけ大きめにして、食感も寒梅粉を使ってカリッと仕上げています。いろいろな楽しみ方の提案ができたらいいなと思います」

そして、仙台市産業振興事業団の専門家チームと組んだことで生まれた、ユニークでおいしい「ひとくち玉子クッキー『コッコボール』」。
星野さんは、「お菓子づくりってグラム単位で試作するすごく細かい作業で、自分たちで試食を重ねていくと分からなくなっちゃうんですよ(笑)。素材がシンプルなだけに、なかなか客観的に商品として捉えることができなくて。今回、プレーンだけでなくてソルティーができて、グリーンティーには桃生茶という地元の素材と合わせることができたのも、専門家のみなさんのアドバイスやアイデアがあったから。販促ツールもとても素敵なキャッチコピーやネーミングをいただけて、感謝しています」と。

3つの味の「こっこボール」は、ポッケの森に隣接する「森のレストラン」や移動販売「ポッケ車」で購入することが可能です。

ポッケの森のウェブサイトはこちら

[支援商品一覧]

KEYAKI COFFEE/KEYAKI CHEESE BAKE「ずんだ」

ちゅんちゅん堂/仙台娘すずめモナカ

PUDDINONO/PUDDINONO(プリノノ)セレクトBOX~豊潤とろうまリッチプリン・仙台はちみつジュレプリン・仙台塩ずんだクラッシュプリン~

・AITTA/nonobi ジビエレザーと和布のラウンドファスナーウォレット
※商品記事は後日公開いたします。

新商品/新サービス開発支援
ちゅんちゅん堂/仙台娘すずめモナカ

仙台市内にあるスーパーマーケット「生鮮館むらぬし」。特大のフルーツサンドや手づくりのお弁当、土日の肉の特売セールなどで話題になることも多く、地元の人たちから愛されています。
この「生鮮館むらぬし」で「かわいらしい」と評判になったのが、「すずめ饅頭」。この饅頭のために、「生鮮館むらぬし」では「ちゅんちゅん堂」というブランドを立ち上げました。
その生みの親である村主芳治社長がある日仙台市産業振興事業団を訪ねたことから、今回の商品開発支援につながりました。

村主さんの新商品開発支援を支えたのは…

《仙台市産業振興事業団 ビジネス開発ディレクター》
大志田典明:マーケティング・プロデューサー
カワシマヨウコ:フードコーディネーター
渡邉樹恵子:デザイナー

《外部専門家》
株式会社高速

※敬称略

「前のすずめ饅頭のパッケージを変えたくて、『誰かデザイナーを紹介してくれませんか』と事業団さんに相談に行きました。その時に、今回もデザイナーで入ってくれた渡邉さんがいて『私もデザインできますよ』と言ってくれて。そのときに、渡邉さんにパッケージのデザインをお願いしました。そして『今度、新商品開発という事業がありますよ』ということを教えてもらって、この流れになりました」と、村主さんは話します。

そしてその商品がモナカになった理由を尋ねると「最初から、饅頭の次はモナカって決めていたんです。それで『小さいすずめが、いっぱいいたらかわいいよね』という話になりました。それで、すごく小さいモナカをつくろうということになって、モナカの型屋さんに聞いたら『つくれますよ』ということだったので、この商品ができました」と答えてくれました。

最中の皮は、金沢の最中種屋メーカー「種工匠土田」に依頼し、高品質なオリジナルを作成。餡には、ジョウセンの仙台味噌を使用しています。味噌の風味とあんの甘さのバランスを大切にしながら試作を重ね、軽やかな食感と甘じょっぱい絶妙な味わいを実現した「仙台味噌あん」。

そのほか、オーソドックスな「粒あん」、さわやかな味わいが特長の「ゆず」、コクのある「黒ごま」の4つの餡が楽しめます。


[粒あん]


[ゆず]


[黒ごま]

「これまでの商品は、社内でつくって『あ、おいしいね』と直感で決めていたんです。でも今回は、プロの方に食べていただいてお墨付きをもらえたので安心できました。そのほかにもいろいろなアイデアや他県のモナカを紹介してくれたので助かりましたね」

これまで「おいしい」はあっても、「かわいい」がなかった仙台みやげ。そこに新しい「仙台みやげ」として、「すずめ饅頭」と「仙台娘すずめモナカ」が登場。ある時、仙台駅のイベントで出店していたときには、こんなことが起こったそうです。
「ちょうどジャニーズのKing & Princeの人たちがコンサートで紹介してくれたみたいで。その後にファンの人たちがいっぱい買ってくれたんです。いろんな人に知ってもらって、SNSとかで広まったらすごくうれしいですよね」と、村主さんもこのかわいくて新しい仙台みやげに期待を寄せます。

すずめが舞う、かわいらしいモナカはエスパル仙台店とオンラインショップなどで購入可能です。

ちゅんちゅん堂(株式会社生鮮館むらぬし)のウェブサイトはこちら

[支援商品一覧]

KEYAKI COFFEE/KEYAKI CHEESE BAKE「ずんだ」

ポッケの森/ひとくち玉子クッキー「コッコボール」

PUDDINONO/PUDDINONO(プリノノ)セレクトBOX~豊潤とろうまリッチプリン・仙台はちみつジュレプリン・仙台塩ずんだクラッシュプリン~

・AITTA/nonobi ジビエレザーと和布のラウンドファスナーウォレット
※商品記事は後日公開いたします。

新商品/新サービス開発支援
PUDDINONO/PUDDINONO(プリノノ)セレクトBOX~豊潤とろうまリッチプリン・仙台はちみつジュレプリン・仙台塩ずんだクラッシュプリン~

宮城の豊かな食材を使用したプリンをつくりたい―。そんな思いから、「PUDDINONO(プリノノ)セレクトBOX~豊潤とろうまリッチプリン・仙台はちみつジュレプリン・仙台塩ずんだクラッシュプリン~」の開発に取り組んだPUDDINONOの小野泰弘さん。

そんな小野さんに寄り添ったのは…

《仙台市産業振興事業団 ビジネス開発ディレクター》
大志田典明:マーケティング・プロデューサー
カワシマヨウコ:フードコーディネーター

《外部専門家》
工藤拓也:コピーライター
倉茂麻子:デザイナー・フォトグラファー

※敬称略

《仙台市産業振興事業団職員》
芳賀和香子
西槇拓弥


ブランディングについて相談をしに行ったことがきっかけで、仙台市産業振興事業団との関係性がスタートしたのだと言います。その時に出会ったのが、今回の新商品開発支援でもサポートを務めたマーケッターの大志田典明さんでした。
「その時、僕のプリンを試食していただいたんです。最初から大志田先生に相談できたのは、本当にラッキーでした」と、小野さん。

その後、2023年の「第10回新東北みやげコンテスト」で行われたセミナーに参加。そこで、秋保の養蜂家である山口将悟さんと知り合うのです。
「同じマルシェに出ていたことはあったのですけど、新東北みやげコンテストのときに山口さんが出展されていて、それで名刺交換をしました。その後ハニー・オブ・ザ・イヤー」を受賞されてすごいなぁって。秋保のイベントに誘っていただき、仙台塩ずんだクラッシュプリンで使用している枝豆をつくっている泉区の田代農園さんとつながることができたんです」

その後、小野さんは2024年「みんなが食べたいプリン総選挙」で日本一に。いよいよ、地元の食材を使用したプリンをつくりたいと思うようになりました。
卵は以前から使用していた竹鶏ファームの「竹鶏たまご」。
「竹鶏さんの卵は、さらっとしているけど、コクがある。高級な卵を使ったときに『卵臭くて苦手』というお客さまもいたので、僕のプリンには竹鶏さんのを使用します」。


豊潤とろうまリッチプリン全卵ベースで香り高いインドネシア産タヒチ種バニラビーンズを、仙台はちみつジュレプリンは全卵と卵白、「森と蜂と」のはちみつを、仙台塩ずんだクラッシュプリンは、卵白のみを使用し、田代農園の枝豆を合わせ、何度も試作を重ねました。



「事業団に行って大志田さん、芳賀さん、川島さん、西槇さんに出会えて、セミナーで『森と蜂との』山口さんに再会できて、そこから田代農園さんともつながって…。このご縁がなかったら、この商品は生まれていないと思うんです。あとは自分だけでやろうとしたら、なんか違うものになっていた気がします」

元レーシングドライバーで、2年連続全日本チャンピオン、アメリカ大会で2位の成績を収めたほどの選手だったという、異色の経歴を持つ小野さん。
「4月6日に若林区の沖野に実店舗を出すのですが、壁がピンクなんです。元レーシングドライバーの僕だったら、そんな発想ないですもん。人からのアドバイスがないと、なかなか凝り固まっちゃいますよね」
そんな小野さんがつくるプリンは、PUDDINONOの店舗のほか、オンラインで購入することができます。

[支援商品一覧]

KEYAKI COFFEE/KEYAKI CHEESE BAKE「ずんだ」

ポッケの森/ひとくち玉子クッキー「コッコボール」

ちゅんちゅん堂/仙台娘すずめモナカ

・AITTA/nonobi ジビエレザーと和布のラウンドファスナーウォレット
※商品記事は後日公開いたします。

[終了しました]第11回新東北みやげコンテスト販売会

\仙台駅東西自由通路に集まれ!/

(公財)仙台市産業振興事業団が運営する「新東北みやげコンテスト」は消費者の皆様に向けた商品PRを支援するためのコンテストです。
東北の新しいおみやげを仙台駅で購入できる機会となっておりますので是非お立ち寄りください。


イベント名

第11回新東北みやげコンテスト販売会

主催

公益財団法人仙台市産業振興事業団

開催日程

2025年3月21日(金)~3月23日(日) 3日間

開催時間

10:00~19:00 最終日18:00まで

開催場所

JR 仙台駅東西自由通路

[出展商品] ※予定

〇食品
クリームボックスクリーム(株式会社小田原屋)

山形牛コンビーフ缶詰(株式会社ファイン)

プラントベース(昆布&椎茸)つゆ付き稲庭うどん(株式会社稲庭うどん小川)

発酵あずき(やをら)

酵素COLA(株式会社高蔵ホーク)

DakeDeli(株式会社味の加久の屋)

シャシャカマ(株式会社ティー&ティーフーズ)

まるごと牡蠣ソースセット(FISHERMAN’S KITCHEN)

つや姫玄米茶ティーバッグ(株式会社桑名園本店)

ゴロゴロほたての食べるラー油(株式会社山神)

熟成プレミアムレーズン 詰合せS(クマケン工業株式会社)

稲庭チップスPパック(のり塩味)(株式会社稲庭うどん販売)

ジンジャーアップコーディアル みろく(三陸ジンジャー)

児玉冷菓のババヘラアイス アイシュー(秋田フーディ合同会社)

Berナンブ(株式会社小松製菓)

〇雑貨
おむすび まさむねくん(いつき)

もりおかさき編み花草履(株式会社一歩)

京友禅型染め手ぬぐい(Koquela)

こけしタオル(株式会社なるみ)

スカーフにもなるハンカチ「こけし」(miyaco nishio)

アロマこけし「木のかちゃん」(二八屋物産店)

まるごと牡蠣ソースセット
FISHERMAN‘S KITCHEN

FISHERMAN‘S KITCHENは、仙台市産業振興事業団が主催する
第11回新東北みやげコンテストの受賞企業です。

最優秀賞 まるごと牡蠣ソースセット

「第11回 新東北みやげコンテスト」の授賞式。
最優秀賞のアナウンスがあると、FISHERMAN‘S KITCHENの阿部和也さんは、驚きに満ちた表情で立ち上がります。表彰のためにステージに上がると両手を挙げてガッツポーズをつくり、全身で受賞の喜びを表現していました。


写真:思わず郡和子仙台市長も笑顔に

それからおよそ2カ月後。
南三陸町にあるFISHERMAN‘S KITCHENに阿部さんを訪ねました。
「本当に受賞できると思ってなかったので、きっと僕が一番驚いていたし、何を話したかも覚えていないんですよ」と笑う阿部さん。

もともと牡蠣・ワカメ漁師の家に生まれた阿部さんでしたが、大学卒業後は広告の道へ。
「仙台の広告会社で働いていて、結構忙しかったんです。プレイングマネージャーだったこともあって、いろんな案件をうまく裁ききれず、メンタルがやられて体調を崩してしまいました。その時、ふと振り返ると息子が生まれた年だったのに、息子のことあんまり知らないのに気付いて、実家に戻ることを決めたんです」


写真:最優秀賞の盾を前に、「自分が一番驚いた」と受賞の感想を話す阿部さん

こうして実家で牡蠣養殖を始めたのが、4年前のこと。

「僕が戻って来てからすごく感じたのは、海の環境がものすごいスピードで変わってきているということ。海水温が上がって、伊勢海老とか南の魚が獲れだすし、牡蠣も死滅が多くなってきた。データによると、養殖した牡蠣の4割、ひどいところだと6割死滅してしまう。半分が死滅するっていうことは、売り上げもそれだけ落ちてしまうということですよね。牡蠣の販売をただただマーケットに委ねて“待ち”の姿勢でいるよりも、付加価値をつけて販売できないか…と思って開発したのが、この『まるごと牡蠣ソース』なんです」


写真:濃厚な味わいの「まるごと牡蠣ソース」

開発にあたって、阿部さんは中学時代の同級生で銀鮭漁師兼シェフである佐藤将人さんに協力を要請します。
「レシピを考案してもらったのですが、彼が一切妥協しないことや、僕も無理なく進めたいという思いがあったので、開発までに1年半くらいかかりました。彼は工場まで直接赴いて、工場側と一緒にレシピの再現を何度もしてくれて…」

こうして牡蠣をまるごと37%凝縮した、濃厚な万能ソース「まるごと牡蠣ソース」が誕生。長時間煮込んだ牡蠣の旨味と玉ねぎの甘みは、唯一無二という仕上がりになりました。
さらには、「牡蠣のこめ油漬け」も開発し、FISHERMAN‘S KITCHENとしての商品ラインナップが充実していきました。


写真:下味に「まるごと牡蠣ソース」を使用した「牡蠣のこめ油漬け」。こちらも絶品!

完成した「まるごと牡蠣ソース」を販売するため、次に阿部さんはウェブサイトやパンフレットなど販促ツールの作成に取り掛かります。
「広告会社勤務時代に一緒に仕事をしていたライター、デザイナー、そして同級生のカメラマンにお願いしていろいろ作りました。でも、毎日漁に出て、牡蠣むいて、ちょっと昼寝してそれから販促ツール作って…だったから、結構大変は大変でしたよね(笑)。でも、シェフも含め優秀な仲間たちがいたからこそこうして世に出すことができたし、新東北みやげコンテストで最優秀賞をいただくこともできて、感謝しかないです」


写真:白身魚をバターでソテーして、「まるごと牡蠣ソース」をオン。レストランの味に仕上がります


写真:「まるごと牡蠣ソース」を白米と混ぜ、「牡蠣のこめ油漬け」の牡蠣をトッピング。豪華な牡蠣ご飯のできあがり

阿部さんのこの商品にかける思いを伺いました。
「六次化って、やっぱり大きい会社が結構な資金を使ってやるもの…というちょっと“とっつきにくさ”があったんですね。でも、やり方次第では個人事業主でもできるんだよっていうロールモデルになってくれたらいいと思うんです。今、漁師の人口って本当に減っていて、12万人くらいしかいない。しかも40代以下の漁師の割合は18%くらいで高齢化も進んでいる。このままいくと、本当に国産の海産物が食べられるか…という状況になるんじゃないかと思っていて。あとは、まだ3Kみたいに思われている部分もあるんじゃないかと思うので、こうやってちょっとカッコよくブランディングすることで、若い人たちが来て新たに漁師を始めてもらえたら…っていう思いもあるんです」

海を取り巻く環境変化への危機感から生まれたこの「まるごと牡蠣ソース」は、ただただおいしいだけでなく、未来の日本の漁業も変えうるかもしれない一品なのでした。

阿部さんのこれまでのヒストリーは、「Yahoo!ニュース」でもご紹介しています。ご覧ください。

よいみせ│CAFÈ 一粒万倍

obicoの今野さんと話題の
「CAFÈ 一粒万倍」に行ってきた!

2024年12月26日、まさに一粒万倍日に竹駒神社内にオープンしたカフェ「竹駒の杜 CAFÈ 一粒万倍」。新型コロナウイルス感染症の蔓延をきっかけに、地域コミュニティの希薄化、参拝者の高齢化・参拝頻度減少などの課題を抱えた竹駒神社が、「多くの人たちの寄り合いの場になってほしい、にぎわいを取り戻したい」との思いから建設を決めたカフェ。編集部が取材に訪れた平日午後も地域のお客さまでにぎわっていました。


写真:日本三大稲荷のひとつ、竹駒神社

その「竹駒の杜 CAFÈ 一粒万倍」では、「暮らす仙台」でもよく登場いただくobicoの商品を販売。

ということで、obicoの代表である今野幸治さんと一緒にカフェを訪ねてきました。


写真:Tregion株式会社の橋本さん(左)と、obicoの今野さん(右)

出迎えてくれたのは、このカフェを運営するTregion株式会社の橋本和弥さん。
橋本さんは「ここは、竹駒神社さまが建てた場所。コロナ以降、全国的に神社に行くとか、人が集まるという機会が減ってしまって。地域のコミュニティになれるような場所を用意したいという思いが神社さまにございました。この場所はこれまで何もありませんでしたが、森をつくり、建物を建て…とこれから何年もかけて人々の拠り所になるよう準備を進めています。このカフェでは、お食事からスイーツ、コーヒーなども楽しめるようなカフェになっております」と教えてくれました。


写真:橋本さんのおすすめ「竹駒稲荷お参り御膳」

メニューの中でのおすすめを聞くと「日本三大稲荷の竹駒神社さまの中にあるので、2種類のお稲荷さんと、いろいろな小鉢が楽しめる『竹駒稲荷お参り御膳』がおすすめです。あとは、かわいらしいキツネの形のクッキーが乗った『一粒万倍パフェ』、『クリームソーダ』などもカフェタイムに召し上がっていただきたいです」とのこと。


写真:色合いもかわいらしい「クリームソーダ」。“おきつね様”のクッキーがついてきます


写真:「一粒万倍パフェ」には、おみくじがついてきます

さらにコーヒーは、「竹駒の杜 CAFÈ 一粒万倍」専用のオリジナルブレンド。それも、Tregion株式会社が自家焙煎コーヒーのブランドを持っていることで、竹駒神社と相談しながらオリジナルブレンドをつくれたのだとか。


写真:華やかで目を引くobicoの商品たち

ところで、「竹駒の杜 CAFÈ 一粒万倍」とobicoとの縁はどのようにつながったのでしょう。
橋本さんは「このカフェの総合プロデュースを手掛けている乃村工藝社さまから入れていただきました。私自身は、弊社が仙台空港にも店舗を持っていることもあり、obicoさまのことは一方的に存じ上げてはいたんです。お店に入って目につくところにありますし、いろいろと手に取られているお客さまも多いですよ」と話し、今野さんも「乃村工藝社さまには、『東京インターナショナル・ギフト・ショー』に出させていただいたときに、お声がけをいただいたんです」と教えてくれました。


写真:手に取りやすい商品もラインアップしています

最後に、この場所に望むことをお二人に伺いました。
橋本さんは「やはり神社さまの思いを汲んで、いろいろな人が集まれる場所にしていきたいと思います。イベントなども積極的に行っていきたいですね」と。
今野さんは「空港のイベントなどで『竹駒神社さんにも出しているよね』と声をかけられたこともあるんです。ブランド認知につながっています。橋本さんがおっしゃるように、いろいろな方が集まってくれる場所になったらいいですよね」と。


写真:おみやげで人気だという「おきつね様のクッキー缶」

みなさんもぜひ、気軽に立ち寄ってみてくださいね。

竹駒の杜 CAFÈ 一粒万倍

所在地 
〒989-2443 宮城県岩沼市稲荷町1-1 竹駒神社 境内
TEL&FAX 022-323-0309
営業時間 10:00-17:00
(季節や祭事などに合わせて変更する場合があります)
定休日 不定休
URL https://tregion-bal.com/takekoma-cafe/