宮城県東松島市の住宅街にたたずむ、1軒の蔵。この場所で、代々伝わる古い木造の蔵を改装して営業しているのが「籠屋ハセガワ」です。
取材班が到着すると、とびきりの笑顔で「いらっしゃーい!」と元気よく代表の長谷川明美さんが迎えてくれました。
写真:築140年の蔵をリフォームした「籠屋ハセガワ」の店内
「うちでは、山ぶどうの樹皮を利用した籠細工をつくっています。梅雨時期に山に入り、山ぶどうの蔓の樹皮を剥いでくるんです。この時期でないと樹皮が固くなってしまうので剥ぐことができない。4週間から6週間が勝負なんです。そうして剥いだ樹皮はカビなどを予防するためにも3か月から6カ月ほどしっかり乾燥させます。そして編む直前に数時間水に浸してから角材のカドなどをつかってなめす。そうすると、余分な皮がはがれて、きれいなヒゴができるんですよ」。
写真:山ぶどうの樹皮は、乾燥させた後で編む直前に水に浸し、なめしてから使用します
樹皮を5ミリ、10ミリのヒゴ状にして、それを50本程度でまとめてつくり、それを編むときには霧吹きで湿らせつつ編んでいくそう。その工程は実に手間のかかったものですが、長谷川さんはなぜ、この籠バッグなどの籠細工を始めることにしたのでしょうか。
「20代の若かりし頃に出合ったのですが、そのときは『素敵だな』とは思ったものの、手が出なくて。憧れだけはずっとあって、ある時、知人の雑貨屋さんをお手伝いをすこししていたときに、『自分でつくれないかな?』って思うようになって。もともとものづくりが好きで、娘の洋服をつくったりしていたから、これもいけるかな…?って(笑)。それで教えてくれる教室を調べたら、当時、日本に2カ所だけあって。そのうちのひとつが、古川にある『ちいくろ工房』さんだったんです。それで先生のところに行って習うようになり、技術を身に付けました」。
写真:東松島市の住宅街にたたずむ、「籠屋ハセガワ」の工房兼店舗
こうして山ぶどうの蔓で小物を編むようになった長谷川さん。籠細工を販売しようと思ったのは、意外なことがきっかけでした。
「今、工房と店舗にしているこの蔵は、夫の実家が所有しているもので。義父が『お前たちに遺すのも大変だろうから、俺の代で壊す』って。義父としては私たちに負担をかけまいとしていってくれたのですが、私はどうしてもこの蔵を残したくて。それで義父さんに『私に使わせてほしい』とお願いして残してもらったんです。蔵を残すからには修繕費と維持費が必要で、『それなら籠細工をつくって売ろう』となり、また一から勉強しなおした感じです」。
写真:もともと手芸が好きで、得意だったという長谷川さん
140年超の歴史を持つ蔵の修繕は、いわゆる一般の工務店では難しかったようで「義父の伝手で、知り合いの一人親方にお願いしました。躯体も傾いていたり、柱も古くて色が変わっていたりで大変な修繕工事を行っていただきました。内装に関しては、仙台市内のアトリエモルソーさんにお願いしてつくっていただきました」と長谷川さんは話します。
写真:代表的な網代編の籠バッグ
一般的によく見られる編み方は「網代編」というものですが、長谷川さんが主に製作している籠バッグは、籠の中が見える「うろこ編」という技法で編んでいるのだそう。
「東京にある教室で、編み方をいくつか教えてくださる教室があって、そこで習ってきたんです。洋服をつくったりするのが好きだったもので、バッグの中に布を入れたいなって思って。中に入る巾着ひとつで表情がガラッと変わるのも素敵だなって思ったものですから。それに、うろこ編は網代編に比べると制作時間も短いんです。網代は3週間から1カ月、うろこは2週間程度かかります」。
写真:内側に入れる巾着でさまざまな表情を見せるうろこ編の籠バッグ
今は、お客さまからの注文も多く、「お待たせしている状態が続いています。それでも…という方はぜひお店のほうに来ていただき、展示してあるサンプルからオーダーをお受けする形になります。今後は、日本だけでなく海外への進出も考えておりまして、10月には香港の展示会に出品する予定。それから、世界各国でワークショップもやってみたいですね」と、長谷川さん。
東松島から、手づくりのクラフトで世界へ―。
長谷川さんの挑戦は始まったばかりです。
\マッチ箱シリーズのニューフェイス!/
ヤギのイボンヌのペーパークリップが誕生しました
「暮らす仙台」でおなじみの「マッチ箱」シリーズに、新作が登場!
これまでにも、宮城にゆかりの深い「こけしクリップ」や、仙台メディアテーク内にある「KANEIRI museum Shop6(ろく)」とタイの漫画家ウィスト・ポンニミットさん(通称 タムくん)の人気キャラクターがコラボした「マムアンちゃんクリップ」生み出し、おみやげ品として人気を博してきたこのシリーズ。次なるキャラクターは、岩手県宮古市に本店を構えるヤギミルク専門のスイーツ店「パティスリーレドシェーブル」(運営:しあわせ乳業株式会社)のオリジナルキャラクター、ヤギのイボンヌです。
写真:ヤギミルクのクッキー。食べ終わった後の缶の使い方もお楽しみのひとつ
なにかもの言いたげなその表情がなんとも愛らしいイボンヌは、クッキー缶やアパレルなど、さまざまな商品に展開されています。
今回、このペーパークリップになったのには、過去10回にわたって行われてきた「新東北みやげコンテスト」が深く関係していました。
写真:外箱は赤、紫、青の3種類(中身はすべて一緒です)
この「マッチ箱クリップ」を制作した株式会社佐々木印刷所(仙台市)の佐々木英明さんは、「『第10回新東北みやげコンテスト』で、歴代最優秀賞の商品展示をしあわせ乳業の社長さまがご覧になり、弊社の商品を気に入っていただいたのがきっかけです。後日、しあわせ乳業のグッズ制作担当の女性の方から連絡があり、マッチ箱クリップの制作依頼が来ました。それが、2024年4月のことです」と教えてくれました。
写真:気になるページのブックマークにも
商品開発について苦心したことについて伺うと、「私どもはイボンヌの世界観がわからなかったので、クッキーなどの商品を買ってみたり、東急ハンズで開催されていたイボンヌのポップアップショップなど拝見したりしながら制作を進めてまいりました」と、佐々木さん。
岩手出身の佐々木さんの奥さまも喜んでいたそうで、「とてもかわいいキャラクター、お菓子と一緒に購入していたけたら幸いです」と笑顔で語ってくれました。
写真:手帳のデコレーションにも
このイボンヌのかわいらしいペーパークリップは、仙台市内では、藤崎近くに店舗を構える「パティスリーレドシェーブル 仙台店」で購入可能です。
読みかけの本のブックマークや、スケジュール帳のデコレーションなどに活用してみてくださいね!
株式会社佐々木印刷所
所在地 〒983-0035 仙台市宮城野区日の出町2丁目2番16号
TEL:022-236-1281 FAX:022-236-1284
URL http://www.sasaki-print.com/
Koquela
ベビーかぶと
Koquelaは、仙台市産業振興事業団が主催する
第10回新東北みやげコンテストの受賞企業です。
すやすやと眠るような愛らしい表情で、見る人、手にする人をトリコにする、えじこ型のこけし「ベビーかぶと」。えじことは、漢字で嬰児籠と書くもので、赤ちゃんが出歩かないようにいれておく道具のこと。稲わらなどでつくられていることが一般的で、普段は家の中で使用されていましたが、農業の繁忙期には、田んぼや畑のそばにも置かれていたそう。赤ちゃんが、えじこに入った様子を表現しているのが、えじこ型こけしなのです。
この商品をプロデュースしたのは、仙台を拠点とするKoquela。代表の金盛友実さんは、京都芸術大学で伝統工芸を学び、在学中に始めた「こだまプロジェクト」で、東北各地の工人を訪ね歩きその情報をInstagramで発信する活動を始めました。そんな活動の中で出会ったのが、大堀相馬焼の職人である錨屋窯13代目・山田慎一さん。
写真:「ベビーかぶと」のプロデュースを手掛けたKoquelaの金盛友実さん
「大堀相馬焼は、浪江町で350年の歴史を持つ伝統的工芸品です。浪江町は、東日本大震災で避難地区になってしまったために、福島県内の各地に場所を移しましたが、20数軒あった窯元は半数にまで減ってしまったそうです。そういうお話を伺う中で、大堀相馬焼に描かれている馬は、『左馬・走り駒』などとよばれ、右に出るものはいないという意味を持つということを教えていただきました。その昔、幾度となく他藩に責められる中、農耕馬で立ち向かい、一度も領土を奪われることがなかったという歴史を知り、地域の文化が詰まったこの左馬にとても魅力を感じたんです」と、金盛さんは話します。
写真:大堀相馬焼の職人である錨屋窯13代目・山田慎一さんと奥さまの苗美さん
それから時を重ね、大学卒業後にKoquelaを立ち上げた金盛さん。
「東北の伝統工芸をもっと多くの人に知ってもらい、東北を知って、見て、来てほしい」、そんな思いから、東北各地のこけしの卸販売のほか、こけし工人との協働でオリジナルの商品を生み出していきます。
「五月人形をつくりたいなと思ったときに、赤ちゃんをかごの中に入れていた『えじこ』がいいなと思いました。東北の農民のお母さんたちが農作業中に赤ちゃんをかごの中に入れていたことからうまれたえじこ型でつくりたかった。いろいろ思案する中で、『やっぱり男の子はたくましく育ってほしいよね』ということで、験担ぎにもなるし『右に出る者はいない』の左馬を描いたらどうだろう、と思い、大堀相馬焼の山田さんにお声がけさせていただいたんです」。
写真:すやすやと眠る姿が愛らしい「ベビーかぶと」
こけしを制作したのは、弥次郎系こけし工人の髙橋博斗さん。
「髙橋さんは、Koquelaの最初の商品である『正月こけし』もつくっていただいた、本当に技術力の高い技巧派の工人さん。人間の赤ちゃんのとてもかわいらしいデザインに仕上げていただきました。この髙橋さんのつくったこけしに山田さんが馬の絵を描いてくださったのですが、山田さんも『木に描くことはあまりないから、楽しい』とおっしゃってくださいました。大堀相馬焼とこけしがコラボしたのは、これまでにないことですし、それぞれのファンの方にそれぞれの文化を伝えるきっかけをつくれたのかな、と思います」。
写真:「ベビーかぶと」は、左馬だけでなく五月の節句に欠かせない「菖蒲」が描かれたものも
これらのかわいらしい「ベビーかぶと」は、第10回新東北みやげコンテストで優秀賞を受賞。金盛さんは「とても驚きました。私は、大学で伝統工芸を学び、論文も書いているので、つくるのであれば伝統工芸のよさや歴史を見せた形のデザインにしたいと思っていました。こうしたコンテストは新しいものでないと出品が難しいのではないかと思うのですが、この『ベビーかぶと』や『正月こけし』(※)は、その奥にある伝統こけしや相馬焼の背景とかも評価していただけたのだと思います。このような形で、東北地域に関われていることがとてもうれしいです」と笑顔をのぞかせました。
※正月こけしは、金盛さんの卒業論文とともに提出された鏡餅を模したこけし。紆余曲折を経て、髙橋博斗工人(弥次郎系)と佐藤英裕工人(遠刈田系)の手によって、制作販売に至りました。第9回新東北みやげコンテスト入賞。このこけしの誕生ものがたりは、Yahoo!ニュースで!
Koquelaは、仙台市産業振興事業団の後押しで、2024年8月には台南市で開催された「Creative Expo Taiwan」に出展し、多くの台湾の方たちに東北が生んだクラフトであるこけしを見て、楽しんでいただくことができました。さらに2024年9月に東京で行われた「インターナショナル・ギフト・ショー」にも出展し、多くのバイヤーの関心を引いていました。
写真:台南市で行われた「Creative Expo Taiwan」での展示の様子
「事業団さんのおかげでマーケティングについていろいろ知ることができて勉強になっています」。
写真:オリジナル商品だけでなく、伝統こけしを日本全国そして世界に広げる活動を行っています
(注:写真の「ベビーかぶと」以外のこけしは、ライター私物です)
こけしの魅力を日本全国、世界へ。そして、仙台、東北へと人の流れをつくっていく―。Koquelaの挑戦はまだまだ続きます。
Koquela代表の金盛さんのものがたりは、Yahoo!ニュースでもご紹介しています。ぜひご覧ください。
よいみせ│Spice Kitchen Aroi
仙台市泉区住吉台-。泉ヶ岳のふもとにある閑静な住宅街に、2024年7月、本格スパイスカレーとタイ料理のお店「Spice Kitchen Aroi(スパイスキッチン アロイ)」がオープンしました。
オーナーの三浦克彦さんは、社会人としてのキャリアを半導体メーカーで過ごし、次世代センシング機器開発と半導体プロセスマネージメントを経験。飲食店を営む両親のもとに生まれたこともあり、昔から料理をつくることが好きで、会社員時代も家族や友人にふるまっていたのだそう。
「いつかは…っていう気持ちはずっとあったんです。本気でやりだしたのは、6~7年前で、最初は寿司から始めたんです。というのも、小さい時から親について行って塩釜の魚市場で買い付けをしてそれを調理するというのを見てきたから。だからやるなら寿司がいいだろう、と。そしてその次は、イタリアン、中華もやって、その次になにをしよう…となったときにスパイス系に行ったんです。もともとカレーも好きでしたしね」。
写真:55歳で大手半導体メーカーの退職を決意したという三浦さん
三浦さんがスパイスの調合に用いたのは、DOE(Design of Experiment)という、半導体メーカーで使っていた手法。これは、製品やサービス、解決策のパフォーマンスの改善や最適化のために、どのような実験が最も効果的であるか、そして実験で得たデータをどのように解析すべきかを導き出すもの。
「要は『これとこれを合わせたら、こういう風になるよ』というもので、そういう統計学を使ってスパイスの調合を導けないかと思ったんです。物理学的見地からスパイスにたどり着いた感じです。DOEだけで結果が出るものではなく、カレーってほかにもいろいろな調味料が入っているし、最終的には自分の舌で確認をするんですけれど。でも、スパイスの組み合わせでこんなに変わるんだ!ってすごくおもしろかったです」。
こうしてスパイスの魅力にハマっていった三浦さんは、スパイスインストラクターとソムリエの資格を取得。
写真:取材当日ランチで提供された「ポークキーマカレー」
さらにタイ料理に魅了された三浦さんは、バンコクとチェンマイのクッキングスクールで本場の料理技術を習得しました。
「5ヵ所のクッキングスクールで教わりましたが、タイの食材がそのまま日本で使えるわけではないので、その辺は工夫が必要でしたね」。
写真:定番の「バターチキンカレー」
開業にあたっては、仙台市産業振興事業団の起業支援センターアシ☆スタを利用し、満を持して自分のお店をオープンさせました。スパイスカレーは、定番のバターチキンカレーやグリーンカレーなど11種、タイ料理はパッタイやガパオライスなど5種をメニューにラインナップし、この中から週替わりでお料理を提供しています。
取材当日、編集部員3名で三浦さんの料理をいただきましたが、どれもスパイスが効いた絶品!チェンマイの郷土料理である「カオソーイ」は、ライター・岡沼が数カ月前にチェンマイで食べた本場の味で驚きのおいしさでした。
写真:チェンマイ名物の「カオソーイ」は、本場と同じくスパイシーな味わい。2種類の麺の食感が楽しめます
「Spice Kitchen Aroi」では、自家焙煎したこだわりのコーヒー豆で淹れるおいしいコーヒーも人気です。
「店においてある豆は4種類なのですが、今後はコーヒー豆の販売も始めます。また、お客さまに生豆を持ち込んでもらって、それを僕が焙煎するというサービスも展開していく予定です」。
写真:注文を受けてから挽いて一杯一杯丁寧に淹れるコーヒーもSpice Kitchen Aroiの名物
最後に、三浦さんにこの先の「夢」を伺いました。
「僕が在籍していた半導体メーカーは、全国に6カ所拠点があるんです。いつか、その6カ所に店を出すのが夢。恩返しがしたいんです」。
絶品スパイスカレーとタイ料理が食べられる「Spice Kitchen Aroi(スパイスキッチン アロイ)」。ご近所さんはもちろんですが、「ちょっと遠いな」という方も足を運ぶ価値アリですよ。
三浦さんの開業に至るまでのストーリーは、アシ☆スタの「開業者インタビュー」でご紹介しています。ぜひご覧ください。
Spice Kitchen Aroi
(スパイスキッチン アロイ)
所在地 仙台市泉区住吉台東2丁目2-4 シェアスペース住吉台102
TEL 022-200-2207 FAX 022-200-2208
URL https://www.aroi-spice.com/
Lunch :11:30-14:00(LO : 13:30)
Cafe time :15:00-17:00
Dinner :毎週水木を除く予約日
※2日前までの完全予約制17:00-20:00(LO : 19:30)※10月より
Break time :14:00-15:00
※10月から変更のお知らせ
・ディナーメニュー:セットメニュー(3種)での提供
・価格設定:お求めやすい価格設定に変更
・テイクアウト商品の拡充
・自家焙煎珈琲豆の販売:当店が厳選した焙煎豆の店内販売及び生豆持ち込み、或いはご指定の豆を当店にて買付し、
お好みの焙煎度合いで(浅煎り、中煎り、深煎り)お渡し日に合わせて焙煎します。
マッチ箱マガジン
佐々木印刷所
小さな旅のおとも
この記事は、2016年12月6日に公開された「マッチ箱マガジン」の記事と「マッチ箱マガジンで巡る松島さんぽ前編」をリライトしたものです
「マッチ箱マガジン」は仙台の印刷所が、仙台に縁のある5名のイラストレーターとともにつくった小さなガイドブック。マッチ箱サイズの小さなパッケージの中に、温泉地や沿岸部、仙台のまちなどを紹介するミニガイドと、付箋やマスキングテープなどのおまけが入っています。
この「マッチ箱マガジン」が生まれたのは、1928年創業の印刷所である「佐々木印刷所」の代表取締役の佐々木英明さんのアイデアがきっかけ。
昔からマッチ箱が好きで集めていたという佐々木さんが仙台市の「クリエイティブ・プロジェクト助成制度」(※)で支援を受け、商品開発に乗り出しました。
※2024年現在は行われていません
佐々木さんは、「マッチ箱の中にガイドブックとグッズを入れて、観光地を盛り上げたいと思い、応募したんです。震災があったけど、たくさんの魅力がある宮城にぜひ来てほしい。しかし、沿岸部は復興の途中だったので、まずは山沿いの観光地から来てもらえたらと思いました。山といえば温泉地、さらに温泉地といえばこけしだなと、こけしで有名な作並・秋保・鳴子・遠刈田・白石の5か所をピックアップし、そこを仙台にゆかりのあるイラストレーターのみなさんに旅をしてもらいながら思い思いに描いてもらいました」と、話します。
※仙台市クリエイティブ・プロジェクトは2024年現在、行われていません
この「マッチ箱マガジン」は、仙台市産業振興事業団が主催する「第1回 新東北みやげコンテスト」で最優秀賞を受賞。この勢いに乗って、第1弾の山編に続き、沿岸部編や仙台時間編をつくり、「第3回 新東北みやげコンテスト」でも最優秀賞を受賞。最近では、マッチ箱にこけしの形のクリップを入れた「こけしクリップ」やタイの人気漫画家ウィスト・ポンニミットさん(通称 タムくん)の人気キャラクター「マムアンちゃん」とコラボレーションした「マッチ箱クリップ」も制作。仙台・宮城のおみやげとしてすっかり定番となりました。
この先もさまざまな展開が期待できそうな「マッチ箱マガジン」と「マッチ箱クリップ」。
見かけたら、ぜひ手にとってみてくださいね。
<5人のイラストレーターが参加>
株式会社 佐々木印刷所
所在地 〒983-0035 仙台市宮城野区日の出町2丁目2番16号
TEL:022-236-1281 FAX:022-236-1284
URL http://www.sasaki-print.com/
しあわせ乳業株式会社
ヤギミルククッキースイート海 青缶
しあわせ乳業株式会社は、仙台市産業振興事業団が主催する
第10回新東北みやげコンテストの受賞企業です。
岩手県宮古市にあるヤギミルク専門のスイーツ店「パティスリーレドシェーブル」。ヤギミルクを使用した「イボンヌのシュークリーム」をはじめとした菓子のほか、店のキャラクターのイボンヌのグッズも人気の店が、2023年10月、仙台店をオープンしました。
写真:ヤギミルクを使用したクッキーは、お店の人気商品
たくさんの商品が並ぶ中には、2023年の新東北みやげコンテストで、デザイン特別賞に輝いた「ヤギミルククッキー 海青缶」もあります。
写真:「パティスリーレドシェーブル 仙台店」店長の馬場さん。チャーミングなお人柄で、話すだけで元気をもらえます。
この商品について、店長の馬場綾子さんは「宮古の地のものを使った商品をつくろうということで開発に至ったそうです。焼きウニを使用したウニ、スーパーフードとして注目の海藻アカモク、うま味たっぷりホタテをフリーズドライしたものをクッキー生地に混ぜ込んで焼いています。甘くないので、お酒のおつまみにぴったりなんですよ」と話してくれました。
デザイン特別賞に選ばれた目を引くキャラクター・イボンヌは、2歳の女の子でフランス生まれの群馬育ち、そして現在は大好きな宮古に暮らしているという設定。
「うちの社長、絶対笑かそうと思ってこのキャラクターつくったんだと思うんですよ(笑)。すごいアイデアマンで、いろんなことが頭に浮かぶみたいなんですよね。社長自身も四国の出身で、宮古が気に入って移住したんです。それでイボンヌも宮古移住組にしたのかもしれませんね」と、馬場さん。
※動画は「しあわせ乳業株式会社」様よりお借りいたしました。
「パティスリーレドシェーブル」を運営するのは、宮古市にある「しあわせ乳業」。
豊かな自然の中、ヤギやロバが畜舎のない暮らしをしています。ここで搾乳したヤギミルクが、いろいろな商品となって「パティスリーレドシェーブル」に並ぶのです。
人の母乳に近いヤギミルクは栄養価が高く、吸収がよいそう。
写真:「パティスリーレドシェーブル 仙台店」。藤崎デパートの並びにあるので、買い物の際に立ち寄っては?
「ヤギミルクはとにかく味が濃厚。タウリンが豊富で、疲労回復効果も高いんです。続けて飲んでいると肌の調子がよくなります。うちではヤギミルク自体も販売していて、牛乳がダメなワンちゃん、猫ちゃんでも飲めるからペット用に…と買われていくお客さまもいるんですよ。あと、ヤギたちが食べている草も季節によって変わるので、季節によってヤギミルクの味も変わります。当店で販売しているお菓子やソフトクリームで、季節によって変わる味をぜひ楽しんでほしいです」と、馬場さんは話します。
写真:楽天のクリームパン部門で1位に輝いたヤギクリームパン
店の売れ筋は、クッキー。そのほかにも「3年前に楽天のクリームパン部門のお取り寄せグルメNo.1に選ばれたクリームパンはよく売れます。それこそ受賞した当時は、全国からお客さまが宮古に来て行列をつくっていたほどで、購入いただく個数制限を設けたほどでした。そのクリームパンを瞬間冷凍したものを宮古から仙台に運んでいます。ぜひこちらも味わってみてくださいね」とのこと。
写真:ヤギミルククッキーをクルトン代わりにサラダにオン。とても濃厚な味わいで、レストランの味に早変わり!
豊かな宮古の自然の中で育ったヤギたちからの恵み。ヤギミルクをたっぷり使ったスイーツをぜひ楽しんではいかがでしょうか。
写真:ペットにも安心のヤギミルク。栄養価が高いので、食欲のない日の栄養補給にも◎
レ・ド・シェーブル 仙台店
所在地 〒980-0811 仙台市青葉区一番町3-1-15
TEL 022-281-8308
URL https://shop.yagimilk.jp/
※レドシェーブル仙台店は2025年2月24日で閉店し、現在移転先を探しております。
第98回東京インターナショナルギフト・ショー秋2024
今年も出展しましたよ!
去る9月4日(水)から6日(金)までの3日間、東京有明の東京ビッグサイトにて「第98回 東京インターナショナル ギフト・ショー」が開催されました。仙台市産業振興事業団では、「仙台 杜のクラフト」として、6社の商品を展示。多くのバイヤーの関心を引きました。
1.株式会社グリーディー
「暮らす人を豊かに」をコンセプトに、東北の豊かな天然素材と人材を活用した持続可能なものづくりをしているgreedyは、リブランディングした「天然回帰-Feel Organic-」をこのギフト・ショーでローンチ。
代表の浜出理加さんは「これまでのギフト・ショーでは商品のバリエーションをそろえていたのですが、今回はシャンプー、トリートメント、ボディーソープに絞ってご紹介しています。展示も、森、水、大地の感じを演出し、工夫しました。私たちの取り組みに関心を抱いてくださる方もとても多く、とてもいい出会いがたくさんありました」と話してくれました。宮城県産杉の間伐材を丁寧に蒸留して抽出した精油を用いたシャンプーとコンディショナー、そして石巻の和紅茶ブランドkitahaが紅茶を製茶する際に出る端材を使用したボディーソープは、オンラインショップオンラインショップで購入することができます。また、このアイテム誕生の物語は、こちらからご覧になれます。
2.miyaco nishio
デザイナーの西尾都さんが描く水彩画のテキスタイルと小物雑貨のブランドmiyaco nishioは、スカーフハンカチや洋服などを出展。
ギフト・ショーへの出展は2回目だという西尾さんは「今回は、本当にたくさんの方にお越しいただいて、いくつかいいお話もあって、とてもいい機会になっています」と話します。西尾さんが描くのは、自然からインスピレーションを受けたものが多いそうですが、「最近は、やはり仙台ということで、仙台七夕やこけしなどおみやげを意識した水彩画も描いています。赤ずきんちゃんの図柄は、森が七北田公園になっているんですよ」と。
8月に行われた「台湾文博会(CREATIVE EXPO TAIWAN)2024 日本館」仙台ブースにも出展したそうで「あちらは一般のお客さまも入場でき、毎日すごい行列。ものすごい熱量を感じました」と話してくれました。
3.菅野食品株式会社
ラーメン、焼きそば、うどん、そば、餃子の皮など小麦粉を使用した商品を製造している株式会社菅野食品は、仙台・宮城のおいしいものを詰め合わせたギフトセットで出展。「仙台弁こけし コーシー(珈琲)」や和紅茶「kitaha」、笹かまをアヒージョにした「canささ」や仙台産りんごを使用した「ごりごりんごトフィー」など、この暮らす仙台でもおなじみの商品も並んでいました。
代表取締役の菅野浩幸さんは「地元企業さんの商品を詰め合わせしてギフトにしています。単品では県外などに出荷が難しい企業さんもあるので、いろいろなものを合わせることによって、「仙台のおいしいもの」という形の詰め合わせをつくっております。ご希望に応じて、詰め合わせの中身も変えることができます。ギフト・ショーは雑貨がメインですので、お問い合わせは少ないながらも何件かお話をいただくことができました」と話していました。
4.株式会社ほまれや
染物・繊維製品のオーダーを受けている株式会社ほまれや。2022年に創業90周年を迎え、それを機に手ぬぐいをエコバッグに仕立てた「ほまれのふくろ」を開発。その翌年には、帆布にユニークなロゴを施した「ほむらの前掛け」を製作しました。このギフト・ショーには、帆布の「ほまれの前掛け」を展示。OEMでオリジナルがつくれることも含め、展示を行いました。
今回が初出店となるほまれやの取締役である土田暢子さんは「興味をもってくださるお客さまは結構ディープに話を聞いてくださるという印象で、面白いなと思っています。OEM的な部分はもちろんなのですが、一生懸命つくった『ほむらの前掛け』自体を置いてくださる販売してくださるところがあればいいなと思います」と話してくれました。
5.Koquela
東北の伝統工芸の造形や模様をモチーフにしたブランド・Koquelaは、目を引く“こけしタワー”に、新東北みやげコンテストでも入賞した「正月こけし」のほか、こけしのチャームなどを展示。お客さまが列をなし、東北ならではのこけしの人気がとても高いことを証明しました。
代表の金盛友実さんは「インバウンドで、海外の方が日本だけでしか手に入らない文化や手仕事を求めている傾向があるので、インバウンドに力を入れたい店舗さんがかなり来てくださいました。初出店ですが、こんなにたくさんの方が注目してくださっているっていうことはありがたいです。手にとってくださったお客さまに『東北に、宮城に来てくださいね』という思いでご案内したいです」と話してくれました。
6.obico
帯をアップサイクルし、バッグや雑貨をつくっているobico。仙台空港国際線の免税店でも販売されているobicoのバッグは、まさにインバウンド向け商品といえるでしょう。今回は、プラチナをメインに展示し、そのほかには楽天選手のユニフォームをアップサイクルしたボディーバッグや、皮、帆布に脱着可能な帯のポケットを施したバッグなどを展示。
代表の今野幸治さんは「楽天のバッグは、球団さんが地元企業とのコラボを進めていきたいということでお声がかかりました。着物とは関係ありませんが、アップサイクルという大きなテーマでは一緒かな、と」と話します。そして今回の手ごたえについては「前回のギフト・ショーにも出たのですが、今回のほうがいいです。探していたバイヤーさんや販路先がちょうど来てくださって、すごくよかった。来月からは成田空港でのポップアップも始まるので、がんばります」と笑顔をのぞかせました。
閖上赤貝三種盛
菊芋のきんぴら
株式会社熊野洞
笑顔になるケーキオルゴール(ショートケーキ型)
株式会社熊野洞は、仙台市産業振興事業団が主催する
第10回新東北みやげコンテストの受賞企業です。
おいしそうに見えるケーキ…と思って手に取ると、それはなんと木でできたオルゴール!
このユニークな「笑顔になるケーキオルゴール」を製作したのは、熊野洞の熊野聡さんです。
若いころからオルゴールを製作していた熊野さん。当初はボックス型のオーソドックスなものが中心でしたが、東日本大震災をきっかけにケーキ型のオルゴールの制作を始めたのだそうです。
「工房も大きな被害を受けましたが、その時に働いていたスタッフも震災で心に大きな傷を負ってしまった。やっぱり、工房の雰囲気も明るくないものですから、つくり手も手にしたお客さまも明るい気持ちになれるものがつくれないかと始めたのが、このケーキオルゴールなんですよ」と、熊野さん。
写真:類まれなる才能で、木製のケーキオルゴールを製作する熊野さん
製作を始めたばかりのころは、今のような鮮やかな発色ではなかったそうで、「チョコレート色、茶系が多かったですね。でも、どうにか鮮やかな色合いを出したいと思っていろいろ研究しましてね。13年かけてここまできたという感じです。それに、コロナの時期には、展示会とかもなかったし、3年くらい研究に没頭する時間があって。失敗したものから『こんなきれいな色が出るんだ!』とか、いろいろな発見があって、それでこんなにたくさんの色を出せるようになったんですよ」と教えてくれました。
写真:木材から抽出した色素・粉・おがくず・かんなくずを使って着色しています
驚くべきことに、着色に使用しているのは、すべて「木」。
「赤い木や黄色い木があるんですよ。その木材を加工して、鮮やかに発色させていくのが私の技であり、企業秘密でもあります。純白だけは木材では出せないので、こちらは卵の殻を使用しています」。
パフォーマンス上手、話上手の熊野さん。
「本来は口下手で無口なんですよ(笑)。でも、百貨店なんかに行って展示販売をするでしょう。お客さまに『ほら、こんな風になるんですよ』なんて見せると、ちょっと頬が緩む。ケーキだけじゃなくて、いろいろな形のオルゴールをつくっているから、そんなのを見せたりするとゲラゲラ笑ってくれたりするんですよ。外国人のお客さまからもそういう反応があるものだから、言葉じゃなく伝わるものがあるんだなって思ってね。自分のつくったもので、喜んでもらえるのがうれしくて。ものづくりがどんどん楽しくなっちゃうんですよね」。
こうして熊野さんからひとつ買い求めたお客さまが、コレクターとなったり、大切な人へのギフトに選んでくれたりするのだそう。
「本当に楽しく仕事をさせてもらっているので、1日があっという間なんですよ」。
写真:雪だるまやサンタクロースなどのケーキオルゴールは、クリスマスプレゼントにもぴったり
熊野さんが楽しくニコニコとつくりあげる、木製のかわいいケーキオルゴール。
みなさんも大切な人へのギフトにしてみては?
きっと素敵な笑顔を見ることができますよ。
熊野さんのこれまでのヒストリーは、Yahoo!ニュースでも紹介しています。そちらもぜひご覧ください。