新東北みやげコンテスト
当日リポート

最優秀賞はあの商品!!!

 11月21日(木)、仙台市産業振興事業団が主催する「新 東北みやげコンテスト」が開催されました。このコンテストは、東北の企業が開発した新しいおみやげ品を発掘して紹介することで販路拡大を目指すもの。毎年恒例の行事となっており、今回で6回目を数えます。

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写真:数多くの出品がある中、受賞を果たした皆さん

 食品や飲料、雑貨などさまざまなジャンルの「おみやげ」の応募総数は199品。そのうち、54社56商品が入賞を果たし、コンテストに駒を進めました。コンテストでは、日本全国から集まった11人の審査員がブースをひとつずつ回り、採点を行いました。

みやげコンテスト②

 アイデアやデザイン性、味にこだわったおみやげ品がずらりと並ぶ中、最優秀賞に選ばれたのは、有限会社ファーム・ソレイユ東北の「kitaha-纏-(まとい)」。北限の紅茶である「kitaha」に蔵王町「ざおうハーブ」のハーブをブレンド(kitaha についての詳細は、こちらをご覧ください)。和紅茶とハーブという組み合わせの妙、そして可愛らしいパッケージデザインが評価されての受賞となりました。
 フレーバーは、カモミールとレモンバーベナの2種類をラインナップしています。

みやげコンテスト③

商品写真撮影:渡邉 樹恵子

 抗酸化作用、消炎症効果があり、美肌効果や風邪予防に効果があるといわれるカモミール。「kitaha-纏-」のカモミールは、いわゆる普通のカモミールティーとは一線を画す味わいで、和紅茶のふわりとした甘みが口の中で広がったのちにカモミールが優しく香ります。ハーブの独特な味が苦手という方も、これならおいしくいただけそうです。
 レモンバーベナは鎮静効果、抗炎症効果があり、神経の緊張や不安を解消したり、ストレスからくる頭痛や腹痛などを和らげる効果があるとされるハーブ。「kitaha-纏-」のレモンバーベナは、すっきりした味わいでホットはもちろん、夏場にはアイスティーでもおいしくいただけそうです。

みやげコンテスト④

写真:壇上で感極まって涙ぐむ朱夏さん

 最優秀賞受賞のアナウンスを受け、壇上に上がった日野朱夏さん。郡和子仙台市長からトロフィーを授与され、「東日本大震災以降、石巻のもので東北を元気にしたいという一心で家族一丸となってがんばってきました」と涙ながらに語ると、会場からは拍手が…。「私は小さいころから、お父さん、お母さんのがんばりを見ていて、いつか報われてほしいと思って生きてきました。私たちだけでこの商品を生み出せたと思っていません。地域の皆さん、kitahaチームの皆さん、事業団の皆さんのおかげで生み出せたと思います。ありがとうございました」と話しました。

みやげコンテスト⑤
写真:壇上に上がったお父さんの雅晴さんと抱き合って喜びを分かち合いました

 朱夏さんの涙ながらのスピーチに、会場ではもらい泣きする人も…。最後は、朱夏さんのお父さんでkitahaの生みの親である雅晴さんも壇上に上がり、会場のすべての人たちから温かな拍手が送られました。

みやげコンテスト⑥

写真:優秀賞を受賞した品々

 そのほか、優秀賞には「弥治郎こけしのマスキングテープフォルダー」(株式会社不忘印刷所・宮城県白石市)、「八戸いちご煮の炊き込みご飯(そっこ→ご褒美シリーズ)」(株式会社 味の海翁堂・青森県八戸市)、「椿茶ミニパック」(株式会社バンザイ・ファクトリー・岩手県大船渡市)が選ばれました。
 そして、特別賞インバウンド部門には「サムライアロハ」(株式会社サムライアロハ・宮城県仙台市)、デザイン部門に「庄内町のほしがきさん」(庄内町新産業創造協議会・山形県東田川郡八峰町)、地域性部門に「ハタハタオイル漬けプレミアム」(株式会社鈴木水産・秋田県)、アイデア部門に「夢☆宇宙米おにぎり」(夢☆宇宙米プロジェクト・宮城県角田市)が選ばれました。

 今回の最優秀賞、優秀賞、特別賞を受賞した商品については、この「暮らす仙台」の「銘品ものがたり」で後日取材し、開発秘話などをたっぷりご紹介します。また、入賞商品についても「よいもの」ページで順次ご紹介していきますので、お楽しみに!

「新 東北みやげコンテスト」についての詳細はこちら

石巻うまいもの株式会社
「石巻金華茶漬けシリーズ」

石巻うまいもの株式会社は、仙台市産業振興事業団が主催する、新東北みやげコンテストの受賞企業です。

第5回「石巻金華茶漬けシリーズ」特別賞受賞

 日本有数の水揚げ高を誇る石巻漁港を有し、“魚の町”として知られる石巻市。2011年の東日本大震災で甚大な被害を受け、その復興の歩みの中で誕生した会社が「石巻うまいもの株式会社」です。

石巻うまいもの株式会社様①
写真:石巻うまいもの株式会社が運営する「石巻うまいものマルシェ」。石巻市水産総合振興センター1Fにあります

 2014年、石巻市内の水産加工会社を中心とした12社で「石巻うまいもの発信協議会」としてスタートし、高付加価値商品の開発やブランディングを行ってきました。3年の活動期間を経て、2016年、株式会社ヤマトミ、山徳平塚水産株式会社、湊水産株式会社、株式会社MCF、水月堂物産株式会社、株式会社丸平かつおぶし、株式会社カクト鈴木商店、末永海産株式会社、株式会社田伝むし、富士國物産株式会社の10社が手を取り、石巻ブランドの商材を扱う直営店の運営を開始。当初は直営店運営がメインでしたが、もともと高付加価値商品の開発を目指していたグループだったこともあり、「共同で新商品の開発をしよう」ということになったのだそう。

 商品開発の陣頭指揮を執ったのは、商品部会長の丸平かつおぶしの阿部真也さんと山徳平塚水産の平塚隆一郎さんでした。

石巻うまいもの株式会社様②
写真:(左から)丸平かつおぶしの阿部真也さんと山徳平塚水産の平塚隆一郎さん。丁々発止のやり取りをするおふたりは、なんと高校の同級生なのだとか

 「10社それぞれ強みを生かした商品で、素材を活かしつつ常温で持ち歩けるものが条件。それでいろいろ話していくうちに、お茶漬けがいいんじゃないかという風になってね」と、阿部さん。平塚さんは「お茶漬けは10社中7社やっていて、レトルトの設備がない会社にはうちを使ってもらっているんです。設備投資をすると負担が大きいけれど、こうやって共同でやっているとそれぞれの会社の設備が使えるから便利なんですよ。将来的には、グループだけじゃなくて、ほかの石巻全部を巻き込みたいですね」と話します。それに阿部さんも「石巻全体を一個の工場にしたいよね」と笑顔をのぞかせます。

石巻うまいもの株式会社様③
写真:自社のレトルト技術を活用して、「石巻金華茶漬けシリーズ」の開発を牽引した、平塚さん

 港町ということで、震災前から多くの水産加工会社が立ち並んでいた石巻。こうして手を携える理由のひとつが「石巻ってこれっていう商材がないからなんですよ」と、平塚さん。「魚種が200種も揚がるから、人に『石巻って何があるの?』って聞かれると、『いろいろ・・・季節によってね・・・』なんて口ごもっちゃうくらい(笑)。商材がかぶるとライバルになるけれど、今ある10社中8社は業態が違う。さんま、ほや、海藻、たらこ・・・と、得意分野が違う。石巻の弱点でもあったところが有利に働いたんですね」。

石巻うまいもの株式会社様④
写真:山徳平塚水産の工場内。このレトルト技術が、今回の商品開発で大きな役割を果たしました

 こうして共同でお茶漬けの開発を始めることになりましたが「1食300円なんて売れるのか?っていうのが心配で。だから最初はうちと山徳さんで作って。銀鮭とさんまをセットにして販売してみたら、6000個売れたんですよ。『これだったらいけるかも』ってなったら、ほかの会社も乗り気になってきて(笑)」と、阿部さん。

石巻うまいもの株式会社様⑤

写真:「1食300円のお茶漬けが売れるのか心配だった」と話す阿部さん。現在、丸平かつおぶしが開発した「石巻銀鮭茶漬け」は、JAL国際線日本発ビジネスクラスの「2食目のアラカルト」に採用されるまでに!

 連携して作る最初の商品ゆえ、失敗できないというプレッシャーの中、平塚さんと阿部さんはサンプルを東京に持って行き、各ジャンルの専門家のアドバイスを仰いだそうです。「2日間、30人くらいの方々と意見交換させてもらって。でももう1日目でけちょんけちょん(笑)。今のデザインになる前だったんだけど、『味はいいけど、よくわからない』って言われましたね(平塚さん)。
 「ネーミングが『ほどるまんま』だったからね(笑)。これ、石巻の方言であったかいご飯という意味なんですね。方言を普及する意味でもいいんじゃない?ってうちらは思ったんだけど、みなさん曰く『方言の説明もしなきゃいけないし、なんの商品なのかもわからない』って」(阿部さん)。

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写真:専門家の意見をもとに、パッケージデザインを大人向けの高級路線に

 当初のポップなパッケージデザインを一新し、消費者の目線を大切にした高級路線に。ロゴマークには市の樹木である黒松と、石巻の象徴である金華山をモチーフに取り込みました。こうして、7社による7種類のお茶漬けと2種類のふりかけが完成しました。「それぞれの会社に販売チャネルがあったことと、『新東北みやげコンテスト』で特別賞を受賞したことで、売り込みやすくなりましたよね。商談のときは、自分のとこだけの商品を持って行ってもインパクトないから、他社のものも持って行くんです。すると、紹介したのに自社の商品が選ばれないっていう悲劇もたまに起こる(笑)」(平塚さん)。

 統一ブランドで販売することで得た強み。阿部さんは「本音で言えるようになるまで3年かかりましたよね。これまでは『まぁ、いいんじゃないですか』って言ってたのが『これじゃ売れない』『もっとこうして』と、研鑽できる場になりました」と話します。

石巻うまいもの株式会社様⑦

写真:「これからも、石巻から本物を届けたい」と話すおふたり。新作が楽しみです

 現在は、第二弾として「釜飯のもと」を考えているそう。「我々の強みを生かして、本物を提供したいですよね。十三浜のわかめをスープにしたり、あとは魚醤もいいかな、と。輸出できていないほやで魚醤を作ったりとか。あとは、ほやのビスク。殻を使うんだけど、鮮度が命だから、ここでしかできない商品じゃないですか」と、平塚さん。

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写真:石巻ならではの魚種の多さが幸いして、獲れる魚が変わっても問題ないとのこと

 近年は、温暖化によって水揚げされる魚種も変わってきているといいます。「天然のぶりが三陸で揚がるようになったんですよ。ワタリガニが日本一獲れた年もあるし。それまで少量だった魚が主力になってきているのが現状です。魚種が変わってくると、我々も変わらざるを得ないけれど、石巻は200種以上の魚が揚がるのが特徴だから、その中身が変わるだけ」(平塚さん)。

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写真:「石巻銀鮭茶漬け」。ゴロッとした切り身が入った贅沢な一品です

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写真:「石巻さんま茶漬け」。骨まで柔らかくなった甘辛のさんまとお出汁の絶妙な組み合わせは、「ひつまぶし」を思わせる味わい

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写真:「石巻さんま茶漬け」を、稲庭うどんと一緒に。ご飯だけじゃなく、うどんやそばなどと組み合わせてもおいしくいただけます

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写真:「石巻ほや茶漬け」を茹でたパスタを和えれば、「簡単ほやパスタ」の完成!彩りに添えたバジルとほやの相性も抜群です

石巻うまいもの株式会社様⑬
写真:この「石巻金華茶漬けシリーズ」は、高速道路のサービスエリアやJR仙台駅のお土産店のほか、「石巻うまいものマルシェ」で購入することができます

 地の強みを活かしつつ、これからも「石巻うまいもの株式会社」はワクワクするような「食」を全国の食卓に届けていくことでしょう。第二弾、第三弾の発売が待ち遠しいのは、私だけではないはずです。

石巻金華茶漬けシリーズ(よいもの)

石巻金華釜めし(よいもの)

石巻うまいもの株式会社
(石巻うまいものマルシェ)

〒986-0022 宮城県石巻市魚町2丁目12-3
石巻市水産総合振興センター1階
※石巻市場前に無料駐車場あり
TEL 0225-25-4363
営業時間 日曜日 10:00~15:00
     月曜日・水曜日~土曜日
         9:00~16:30
定休日  火曜日
URL http://umaimono-ishinomaki.com/
第81回ジャパン・フード・セレクション食品・飲料部門グランプリ受賞(2024年11月)

うまいものマルシェ

取材/2019年9月

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ごはんのおともに

合資会社羽場こうじ店
「くらをの米麹茶 缶詰め」

合資会社羽場こうじ店は仙台市産業振興事業団が主催する、新東北みやげコンテスト受賞企業です。

第5回「くらをの米麹茶 缶詰め」優秀賞受賞
※現在、パッケージ・商品名をリニューアルして販売中!

羽場こうじ店様①
写真:歴史ある酒蔵を改装してオープンした「旬菜みそ茶屋 くらを」。「勇駒」の看板が往時を偲ばせます

 秋田県横手市。かまくらで有名な、雪深いこの土地で100年以上にわたって麹屋を営んでいるのが「合資会社羽場こうじ店」です。
 この羽場こうじ店に生まれ育ち、現在市内中心部の増田町で「旬菜みそ茶屋 くらを」を営む鈴木百合子さんを訪ねました。「くらを」は、麹の食文化を広く伝えようと鈴木さんが2013年にオープンさせた食堂。併設されたショップでは、羽場こうじ店の麹のほか、この麹を使用した味噌などを販売しています。
 情緒ある増田の通りにあって、ひときわ趣のある「くらを」。鈴木さんは、「この建物は、もとは江戸時代からお酒を造っていた酒蔵だったんです。平成15年に商いを閉じてしまったのですけれど、国の指定を受けている蔵が中にあるがために建物を取り壊すことができなくて。『誰か管理維持できないか』という話をいただいて、実家の麹屋で引き取らせていただいたんですよ」と、話します。

羽場こうじ店様②
写真:「くらを」では、日替わりの定食のほか、甘酒や米麹茶の提供も行っています。増田町の蔵のある町並みを訪れたら、ぜひ「くらを」でランチ&ティータイムを楽しんでは

 「くらを」で提供するのは、どこか懐かしい感じの食事。「都会の人たちには想像できないくらい、ここではお米を食べるんです。米中心の食文化だから、麹屋も珍しくない。横手って、人口が10万人いないのに、麹屋は23軒もあるの。今、日本中で発酵食品ブームだけど、横手ではずっとずっと昔から家庭に麹があって、発酵食品を食べる文化があったんです。だから、増田町で何をしたらいいだろう・・・って考えたときに、これだ!って思って。うちの商売をお伝えするのにいいと思ってここを始めたんです」と、とても楽しそうに話します。

羽場こうじ店様③
写真:“女性が憧れる女性”といった感じの鈴木さん。都会からやってきたお客さんの人生相談に乗ることも度々あるとか

 まさに秋田美人といった色白の肌に、つややかな輝き。鈴木さんの肌を見れば、麹の健康効果は一目瞭然。「見せられないのが残念だけど、私の腸って絶対きれいだと思う(笑)。一緒に働いている食堂のお母さんたちは、若くても60歳くらいなんだけど、本当、みなさんに彼女たちの肌を見てほしい。普段の食生活の結果がこうなんだから!って自慢したくてしょうがないの(笑)」。
 麹のある生活を、多くの人に伝えたい-。常日ごろからそう考えている鈴木さんは、ある日、「麹そのものの抗酸化作用は過熱に耐えうる」という、専門家が寄せた一文を目にし、麹を乾煎りにしてみることに。「カラメルのような甘くて香ばしい香りがしてね。うわ、これはおいしそう・・・と思ってかじったら、固い(笑)。ポンポン菓子のようにはいかないか。じゃあ、水をかけたら戻るかな・・・って水をかけたら茶色い液体が出てきて。それを飲んでみたら、甘くておいしい!って(笑)」。これが、「くらをの米麹茶」の誕生の瞬間。「棚からぼた餅みたいな話でしょう」、そういって鈴木さんは豪快に笑います。

羽場こうじ店様④
写真:「くらを」では、店頭で米麹茶を提供。ほっとした時間を過ごすことができます

 出来上がった米麹茶を専門家に分析してもらったところ、「『麹の健康要素はないので健康茶ではないが、香りを楽しんでリラックスするためであればお茶といってもいいのでは』と言っていただいて。手間がかかるからビジネスにならないという人もいたけれど、それでもいいの。お茶にすることでとっかかりになってくれたらうれしいから」。ノンカフェインでシュガーレスなのにほんのり甘く、やさしい味わい。小さな子どもからお年寄りまで、楽しめるおいしいお茶の完成です。

羽場こうじ店様⑤
写真:麹を丁寧にほぐしてから焙煎します。すべて手作業なので、大量生産をすることができません

 自らの手で焙煎も行うため、一度にできる米麹茶の量はわずか。そのうえ「麹そのものが、ひいじいちゃんの製法で今もやっていて、機械で作るんじゃないの。だから一度で最高に作れて500kg。その中からこちらに譲ってもらえる量が少ないのと、焙煎に時間がかかるので大量生産できない。それに、原料の麹の出来も一定じゃないんです。生き物ですから。それを見極めるためにも、機械を使わずに自分の目で確かめながらじゃないと・・・」と、職人気質をのぞかせます。

羽場こうじ店様⑥
写真:米麹茶は、普通のお茶のようにお湯で淹れても水出しでもおいしくいただけます。ほのかに甘い、やさしい味わいのお茶です

 そして、「今の人たちって、疲れているでしょう。だからせめて一日に一回くらい、このお茶でホッとしてほしいなって思うんです」と、このお茶に寄せる期待を明かしてくれました。

羽場こうじ店様⑦
写真:米麹茶にオレンジ、レモン、ミントなどを入れてフルーツフレーバーティーに。すっきりしていて、本当に美味!

 ところで、「くらをの米麹茶」は、パッケージデザイン隆盛の昨今においては、驚くほどシンプル。「ベルリンに住んでる日本人の方がデザインしてくれたんです。いつもうちのことを気にかけてくださる方でね。私、このお茶が空港とかのお土産コーナーに置かれているのを想像したのね。あそこにガチャガチャしたデザインのものがあっても目立たないでしょう。だから、とにかく引き算でやろうということになって。それで、どうせだったら秋田の雪の色にしようって。実際に、サンプルを雪の上に置いてみて『まだ黄色い!』とかやって(笑)」。

羽場こうじ店様⑧
写真:ドイツ在住のデザイナーがデザインしたパッケージ。潔いほどシンプルなデザインが目を引きます

 パワフルで美しい鈴木さんに、今後の目標を伺いました。すると「麹屋に生まれて、この地域で育っていて、今は先輩方と一緒に働いていて学びがある。昔は日本のどこにもあった食文化がたまたま横手に残っていて、今ここって特別な場所になってるのね。だから、私はこの場所から、“かつて日本にあった食べ方の文化”を残していくのが義務だと思っているんです。麹の力を感じた自分が伝えられることがあると思うから、脈々とつながれてきた麹の力を活かした、それでいて現代の食卓にあった食べ方の提案をしていきたい。それはレシピ集だったり、教室だったり、イベントだったり・・・。いろいろな形でね」。

羽場こうじ店様⑨
写真:これからも増田町から「麹のある生活」を発信し続けていく、という鈴木さん。次なるチャレンジが楽しみです

 鈴木さんのミッションは、まだまだ道半ば。これからどんなことを仕掛けてくるのか、楽しみで仕方ありません。

商品の詳細はコチラ

合資会社羽場こうじ店
(旬菜みそ茶屋くらを)

〒019-0713 秋田県横手市増田町三又字羽場72
TEL:0182-45-3710  FAX:0182-45-3711
URL:https://kurawo.net/contents/

営業日 日~火・金・土
営業時間 10:00~16:00
ランチタイム 11:30~14:00
定休日 毎週水・木

くらをロゴ

撮影/堀田 祐介

東北大学法学部卒業後、仙台市内の商業写真撮影会社に就職。写真の道に進む。アシスタントを経てカメラマンとなり、物撮、人物撮影など、写真全般にわたり様々な仕事をこなしながら10年勤務。その後準備期間を経て独立、現在はフリーランスとして、プロバスケットボール・仙台89ERSオフィシャル(初年度から現在まで。来季で15季目)のほか、雑誌媒体の取材(街ナビプレス・仙臺いろはマガジン・ウォーカー・るるぶ)、商業写真撮影、番組用写真撮影と各方面で活躍。

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