世嬉の一酒造株式会社
「クラフトコーラ こはるコーラ」

2021年7月21日

世嬉の一酒造株式会社は、仙台市産業振興事業団が主催する
「新東北みやげコンテスト」の受賞企業です。
第7回 「クラフトコーラ こはるコーラ」お取り寄せ特別賞





今、世の中はクラフト飲料ブーム。とくに東京から火が付いた「クラフトコーラ」は、さまざまな地域でその地域性を活かしたものがつくられているほか、大手飲料メーカーも参入するなど、その市場はますます拡大していっています。

写真:大正7年(1918)創業の老舗である世嬉の一酒蔵。「世の人々が喜ぶ一番の酒造りを目指す」をモットーとしています


そんなクラフトコーラを、実は10年以上も前に世に送り出していた人たちが、岩手県にいました。それが、「世嬉(せき)の一酒造」のビール部門である「いわて蔵ビール」のみなさん。代表の佐藤航さんは「もともとのはじまりは、『地場産麦芽でビールをつくろう』というところから始まっているんです。東北農業研究センターさんと農事組合法人アグリパーク舞川さん、そして私たちで小春二条大麦という、寒冷地向け小規模醸造用の大麦を開発し、それを使用したビールをつくることに成功したんです。そんな中で、アグリパークの担当の方がお酒を飲めないということがわかって、じゃあ、ノンアルコールのものをつくろうか、となったんです」と、笑います。

写真:クラフトビールに使用する小春二条大麦をつかって、クラフトコーラを仕込みます


当時は、地サイダーがブームでしたが、佐藤さんはクラフトコーラに挑戦することに。「自然食のコーラをつくったら面白いんじゃないかと思って。実際完成したときには、自然食を取り入れている人たちから結構な引き合いがあったんです。反応は良かったのですが、ビール部門が忙しくなってしまったこともあって、コーラはお休みすることになったんですよ」。

写真:コロナの影響でビールのタンクに空きが生じ、クラフトコーラを仕込むことが可能になったそう


それから時が流れること、およそ10年。「コロナの影響で、飲食店からのビールの需要が一気に減りました。そして、夏祭りやビールイベントなども中止になったし、中国やアメリカへの輸出もなくなって、ビールの醸造タンクが空いたんです。僕らのスタンスは、『大変なときには無理をしない』ことなので、『僕らにはこはるこーらがあるから、それをつくろうじゃないか』となったんですよ。昨今のクラフトコーラブームよりはるか前につくったものだったので、再開するにあたってレシピを見直しましたが、時間があったのでじっくり取り組むことができたんですよ」。

写真:スパイスの香りがふくよかな「こはるコーラ」。体に優しい味わいです


佐藤さんがつくると決めたのは、「体にいいコーラ」。「精製した砂糖ではなく、血糖値が上がりにくい麦芽糖を使用したいと思いました。香辛料も入れて、体に優しい飲み物を…となった結果、子どもが飲みにくいコーラになってしまった(笑)。麦芽糖を使用してるので、味としては昔の冷やし飴に近く、ゴクゴク飲むという感じではないんです。どちらかというとクラフトビールに近くて、ゆっくり、会話を楽しみながら味わって飲んでほしいですね」。

写真:いろいろな料理との相性も◎! パテからつくる、ファストフードじゃないハンバーガーはいかが?


「体に優しい」が出発点の「こはるコーラ」ですが、一般のお客さまのコーラのイメージが某大手飲料メーカーのコーラの味で固定されてしまっていることから「これは、コーラじゃない!」と言われてしまうこともあるんだとか。

佐藤さんは「清涼感が足りないとか、香りが強いとか言われることもありますね。実は、コラの実(*)を入れるか迷ったんです。これを入れるといわゆる「コーラ味」になるので、お客さまのコーラの味のイメージと合致する。でも最終的に、この商品は10年20年かけて育てていきたいよね、ということで『これがいい、優しい味がほっとする』という人を増やしていきたいと思い、コーラの実は入れないことにしました。25年前にクラフトビールを最初に出した時も、『なんだ、このビールは?』という反応で受け入れられなかった。でも25年経ってみると、クラフトビールは一般的に受け入れられているし、人気もある。なにより、クラフトのいいところは、バッチ(*)ごとに味が違うんです。それは、つくりながら改善していくから。『こはるコーラ』も、ゆっくりじっくり育てていきたいですね」。

*コラの実=アフリカ原産の常緑樹・コラノキになる種子
*バッチ=1回の仕込みで出来上がるビール量の単位

写真:6種類のこけしがかわいい「こはるコーラ」のラベル。6種類コンプリートしたくなっちゃう!?


10年ぶりに再び世に出ていくこととなった「こはるコーラ」のデザインは、東北らしいこけしを模した6種類。「これまでうちの商品は酒販免許のあるところにしか卸せなかったけれど、コーラなら道の駅や高速のパーキングでも販売できます。そういう売り場を意識していることを伝えたら、味は1種類だけど顔は6種類のラベルに仕上げていただきました。銅のラベルも微妙に違うので、コレクションしてもらってもいいのかな、と思います」。

写真:バニラアイスを浮かべて、コーラフロートに。優しい甘みで、子どもから大人まで楽しめます

写真:ジンやウイスキー、ウォッカなどのハードリカーを合わせて、カクテルに。大人だけの贅沢な時間を過ごしては?


佐藤さんは、次なる展開も準備中で、「今後、クラフトコーラの種類もいくつかあってもいいかなと思っているのですが、実は今、クラフトジンジャーエールをつくっているんです。これも、麦芽糖だけでつくるもので、現在開発中です。『こはるジンジャー』も楽しみにしていてください」。

商品の詳細はコチラ


世嬉の一酒造株式会社

所在地 〒021-0885 岩手県一関市田村町5-42
TEL 0191-21-1144
URL https://www.sekinoichi.co.jp

取材/2021年6月



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