よいみせ│森民酒造本家「森民茶房」甘酒カフェ

2022年9月26日

原点回帰の「甘酒」が人気のカフェ



2022年3月。仙台市街唯一の酒蔵である森民酒造本家が、大規模な改修を終え、生まれ変わりました。そして6月には「森民茶房」をオープン。市民に愛される場所として、賑わいを見せています。森民酒造本家の創業は、嘉永二年(1849年)。蔵の歴史について、森民酒造6代目の森徳英さんは、「初代の民蔵は、岩手県南部地方の出身。杜氏グループに加わっていて、酒造りの知識があったようなんです。20歳前後で実家を飛び出した民蔵は、南部地方伝統の甘酒を仕込んで売り歩き、それが大変な評判だったようです」と話します。
当時伊達藩の麹の専売を行ってきた御譜代町である荒町にたどり着いた民蔵さんは、この場所にあった麹蔵が商売仕舞いをすると聞いて買取り、酒造りを始めました。これが、森民酒造本家のはじまり。


173年の時を超えて、民蔵さんの行商姿をロゴマークにした茶房を開いた徳英さん。「カフェの場所には、蔵があったんですけれど、震災で結構なダメージを受けてしまったんですね。でも、先代である祖母が『蔵に手を入れたら、ご先祖様から罰が当たる』って頑なで(笑)。でも、お酒を造るのには厳しい状況になっていたので、令和元年に祖母が亡くなって、相続関係が終わってから蔵を改造することにしたんです。ちょうどコロナもあって、休業するにはいいタイミングでした。そこから2年弱、蔵をバラして、梁を組んで、むかしのものをそのまま使って完成しました」。



徳英さんがこのカフェを開いた理由は3つ。「一つ目は、原点回帰で甘酒を売っていきたいと思ったこと。二つ目は、今、日本酒に限らず、お酒を飲む人が減ってきているんです。ここから情報発信して、多くの人に関心をもってもらいたい、間口を広めたいということ。三つ目は、酒粕が活躍する場面を作りたかったこと。2、30年前までは、漬物屋さんが大量に酒粕を購入して、西京漬けなどを漬けていたんですけれど、今や日本ではなく海外で漬けているようで、酒粕の需要がなくなってきているんですよ」。


地域とともに、盛り上がっていけたら

明るい雰囲気の店内では、女性客を中心に絶え間なくお客さまがやってきます。そのお客さまの半数以上が注文するのが、看板メニューの「甘酒」です。
「甘酒は、初代・民蔵のレシピもあります。初代のレシピは、麹の甘酒ですが、夏場は麹を作るのが難しいので、夏場は酒粕を使った甘酒を提供しています。これから涼しくなってきたら、麹を使用した甘酒にも挑戦しようと考えています。甘酒はアルコール分を飛ばしてあるので、車で来ても、お子さんでも大丈夫ですよ」。



荒町に新たに集える場所を作った徳英さん。今後の展望をお聞きしました。「今は夕方まで営業のカフェですが、せっかくここでお酒を造っているのに飲めないのはどうなのかな、と(笑)。今後ナイトタイムとして、地域と共に盛り上がっていけたらいいなと思って。うちのお酒をみなさんにいろいろ飲み比べてほしいし、開かれた蔵造りをしてみたいんです」。



仙台駅からも徒歩圏内の老舗酒造は、6代目のアイデアとパワーでますますの進化を遂げていくことでしょう。

森民酒造本家「森民茶房」甘酒カフェ

所在地:〒984-0073 仙台市若林区荒町53番地
営業時間:水~日・祝 10:30-20:00(19:30LO.)
※月・火 17:30 close
定休日:不定休 TEL:022-724-7236
URL:https://moritami.jp/