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株式会社かきや|デジタル化推進補助金活用事例#2

WEBで新鮮な生牡蠣が買える!飲食店舗の通販サイト改修と新規顧客獲得に向けたSNS運用

昭和28年創業。水産物仲卸業「株式会社かきや」は、牡蠣をはじめ、地元で仕入れた新鮮で高品質な魚介を扱い、お客様一人ひとりに美味しい海の幸を届けています。「全国の皆様に三陸の牡蠣や水産物の美味しさを味わっていただきたい」。そう話してくれたのは、代表取締役の内海知洋さん。祖父母の代から続く歴史ある店を継ぎ、代表に就任して今年で8年目を迎えます。

かきやは、平成18年に飲食店「かきや NO KAKIYA」の経営にも着手。現在では、美味しい牡蠣をいただける店として仙台駅の観光案内所で紹介されるなど、知る人ぞ知る名店として人気を集めているのだと、少し照れくさそうに、けれども誇らしげに胸を張る内海さん。平成20年からはさらに、水産市場の流通を生かして新鮮な水産物を届けるECサイトの運営もスタートさせました。

「事業を行う上で一番大切にしていることは、現状に満足しないことです。『もっとできる 』と信じて、常に前へ進む姿勢を持つようにしています」。力強く言葉を紡ぐ内海さんに、今回、仙台市地域企業デジタル化推進補助金を活用した経緯などについてお話を伺いました。

導入ツール・システム

  1. WordPress導入による通販サイトのリニューアルとInstagram広告

取り組みの効果

  1. 自社で新着情報をリアルタイムに更新できるようになったことで、季節性のある新規商品の投入や生牡蠣のおいしさ、仕入れのこだわりなどの訴求が可能に。
  2. シズル感のある生牡蠣の画像で通販サイトリニューアルの広告を出したところ、通販サイトの売上が上昇、リーチ数は通常の140倍、フォロワー数も100人増加し、商圏も拡大
  3. 通販サイトの案内をすることで来店者との接点も増え、店舗売上も向上
中小企業にとって、業務を効率化させるための工夫は非常に大切だと、丁寧に教えてくれる内海さん。

 01  補助金を活用してどのような事業を行いましたか?

牡蠣製品を取り扱うECサイトの運営を行っていましたが、システムが古くなったことから通常のサイトでは日々の情報の更新ができなくなってしまい、平成31年末にはついにサポートが終了。これに対処するため、自社内でも手軽に情報更新が可能なCMSツール「WordPress」を用い、ECサイトのリニューアルを行うことに決めました。改修後は操作性も格段に良くなり、これからは新商品の情報をどんどん更新して、サイト内を充実させていきたいと考えています。

また、Instagram上に広告も出しました。地元はもちろん、遠方にお住まいの方々に向けて自社商品の情報をPRしていきたいと考えていましたので、広告を出す際には「20歳以上の、主に首都圏エリアに住んでいる方」にターゲットを絞り、情報を発信。その結果、東京・神奈川のほか、大阪や北海道など、広範囲の方々に広告を目にしていただき、非常に手応えを感じました。

地元客から観光客まで、さまざまな人々が訪れる「かきや NO KAKIYA」。店内では、三陸の牡蠣や宮城の地酒がいただける。

 02  どのような課題があり、補助金を申請しようと思ったのでしょうか?

課題は大きく分けて2つありました。一つ目は、コロナ禍をきっかけとして、飲食店の売上が大幅に落ちてしまったことです。そこでコロナによる巣篭もり需要を見越して、もっと本格的にECサイトの内容を充実させようと考えました。 ですがそこで、ECサイトのサポートが終了してしまい、情報の更新ができなくなってしまったという、もう一つの課題にぶつかりました。サイトの更新は滞り、商品の受注件数は横ばいの状態となってしまったため、以前からお世話になっているWEB制作会社へ課題を共有。連携を密に取り、早期の問題解決に向けて動き始めました。

そのような折、タイミング良く仙台市の職員さんから「仙台市地域企業デジタル化推進補助金」の案内を受けました。かきやの事務所が入っている仙台市中央卸売市場は、仙台市の方で管理していますので、そこで働いている職員さんが有益な情報を共有してくださるんです。つい先日も「仙台ITブースト補助金」について教えていただきました。かねてより当社の販売管理システムの改善・効率化を実施したいと考えていましたので、今後申請を検討していきたいと思っています。

左)通販では、「かきや NO KAKIYA」自慢の逸品を詰め合わせた、バラエティセットなども取り扱っている。
右)内海さんの願いは、牡蠣の本当の美味しさを全国の家庭でも味わってもらうこと。

 03  課題を改善する上で、大変だったことについて教えてください。

サイトの作り込みには特に気を使いました。閲覧者の視線の動きに沿ったデザインや、商品の魅力を文章で簡潔にわかりやすく表現し購入へつながるような工夫、どのような写真を使えば商品の良さを伝えることができるのかなど、頭を悩ませました。

悩みすぎたために、サイト製作のスケジュールが後ろ倒しになってしまった時には少し焦りましたね。当初は12月初旬に完成する予定でしたが、実際に出来上がったのは12月27日。年末ギリギリのタイミングでした。ただ、年末はおせち商戦の影響もあり、魚介類の売上がいつもの月に比べて倍に跳ね上がりますので、それまでにはどうにかサイトを完成させたいと必死でした。

Instagram広告の制作も大変でした。実は、サイトやInstagramに載せている写真は、全て自分で撮影しているんです。Instagramは写真の“映え”が重要ですから、商品への光の当て方やシズル感の出し方など、独学でずいぶんと勉強しました。広告制作は、外部に依頼する企業も多いのではないかと思いますが、「Do it myself」が私のモットーなんですよ。

左)写真の見せ方から購入しやすい導線づくりまで細部にわたってこだわり、サイトのリニューアルを行なった。
右)広告制作では牡蠣の新鮮さが伝わる、シズル感あふれる写真撮影を心がけた。

 04  ITツールの導入によってどのような成果が得られましたか?

新しいサイトは使い勝手が良く、情報更新がスムーズに行えるようになりました。牡蠣はシーズンごとに味が変化し、春牡蠣や夏牡蠣、初秋牡蠣など、バラエティに富んだおすすめの品がありますので、今後はどんどん旬の商品をPRしていこうと思っています。

また、Instagram広告を出したことによって、広範囲の地域へ情報を拡散し、新規顧客へリーチすることもできました。広告を1日出しただけで、リーチ数が通常の140倍、フォロワー数も100人も増加し、商品の購入につながった時にはとても嬉しかったですね。新規顧客が継続して当サイトを利用してくれるよう、今後も新商品の告知を定期的に行ない、会社の売り上げをさらに伸ばしていくことを目指します。

同時に飲食店内でも、来店者の皆様に「サイトがリニューアルしたんですよ」と、作成したチラシを配りながらお声がけさせてもらっています。お客様たちとの会話も弾み、店舗の売り上げにも貢献できていると実感しているところです。

 05  最後に、今後の展開について教えてください。

どのようにすれば経営が効率的に回るのか、PDCAを回して業務の改善を図りながら、常に各事業のアップデートを図っていきたいです。
これからはますます、社会の情勢に合わせた柔軟な経営方針の検討が重要になってくるのではないでしょうか。コロナの影響で飲食店は一時期大きな打撃を受けましたが、行動制限の解除によって、今後は飲食店の売上や市場での取引が伸びることが見込まれます。実際に店を経営していて、例えば「ホームパーティーをするからホタテが欲しい」といったように、一般消費者の動向がモノ消費からコト消費へと移行しつつあると感じています。

「かきや NO KAKIYA」もこのような消費者の動きに対応しつつ、さらに定禅寺通りにあるという立地条件を生かし、ジャズフェスティバルや仙台光のページェントといったイベントとも連動させ、店の経営にもますます力を入れていくつもりです。

その他にもさまざまなアイディアをあたためていて、例えばYouTubeチャンネルや、Instagramでの動画投稿などは、いずれ展開していきたいことの内の一つです。小さな会社なので一気に手がけることはできませんが、だからこそ「いかに工数を減らして業務を効率化させ、少ない人数で売り上げを最大限に引き出せるか」という考えは大切にしていきたいです。

かきやにとって、この理想を実現するために、IT化を推し進めることは非常に有効な手段の内の一つです。今回の取り組み以外に、日報や発注書といった書類もExcelを活用して紙から電子化へと移行。ペーパーレス化を進めています。その過程において、さまざまなExcelファイルを作成していくうちに、気がついたら自分がExcelの達人になっていたという、予想外の嬉しい出来事もありました。
このように、かきやは今後もITツールを積極的に導入し、日々の業務効率化を図っていきたいと考えています。

企業概要

株式会社かきや

事業内容:水産物(生鮮食品、加工品、冷凍食品)仲卸、飲食店経営、EC事業
https://kakiya-sendai.jp/
通販サイト:https://kakiyanokakiya.com/
〒984-0015
宮城県仙台市若林区卸町4丁目3-1
TEL022-232-8678


デジタル化推進補助金活用事例

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