写真は「伝える力」を持つデザイン要素
SNSやECサイトでの発信が欠かせない今、写真は「見る人に最初に伝わる情報」として、ブランドの印象を大きく左右します。
文章より先に目に飛び込む写真が、購買や共感のきっかけをつくるのです。
米国の調査会社Justuno社(出典)によると、消費者の93%が「商品写真の見た目が購入の決め手になる」と回答しています。
つまり、どんなに丁寧に作られた商品でも、その魅力を正しく伝える写真がなければ、機会損失につながってしまうということです。
写真は、商品の“見た目”を写すだけではありません。
「このブランドは信頼できそう」「丁寧な仕事をしている」といった感情を、瞬時に伝えるビジュアルデザインの一部なのです。
「自然光を味方に。身近な環境で“伝わる写真”を撮る」
プロに頼らずとも「印象」は変えられる
もちろん、広告やカタログの撮影ではプロのフォトグラファーに依頼するのが理想です。
ですが、SNS投稿や日常的な情報発信まですべて外注するのは現実的ではありません。
多くの事業者が、広報担当者自身のスマートフォンで撮影した写真を使っています。
ここで大切なのは、「プロ機材がなくても、工夫で印象を変えられる」ということ。
光の当て方、背景の整理、構図の取り方といった基本を意識するだけで、誰でも“伝わる写真”が撮れるようになります。
私自身、デザイナーとしてパッケージや販促ツールを制作する中で、写真の力を何度も実感してきました。
同じデザインでも、良質な写真が入るだけで全体が引き締まり、商品の世界観が際立ちます。
逆に写真が暗かったり、背景が雑然としていると、どんなにデザインが美しくても印象が崩れてしまうのです。
写真の目的を明確にする
「何を伝えたいのか」を意識せずに撮影すると、情報がぼやけてしまいます。 商品の特徴を正確に伝えたいのか、ブランドの雰囲気を伝えたいのか。 目的によって撮るべき写真のタイプが変わります。
商品写真の2つの基本タイプ
①プロダクトカット(物撮り)
白い背景で商品単体を撮影し、形や色を正確に見せる写真です。
オンラインショップや商品カタログなど、「正確な情報伝達」を目的とする場面に最適です。
背景や影をできるだけシンプルにし、真正面から撮影することで、商品そのものの魅力を明快に伝えられます。
②イメージカット(シチュエーションカット)
商品を実際の使用シーンや世界観と一緒に見せる写真です。
たとえば、木のテーブルにお菓子を置いたり、植物や器を添えて生活感を演出したり。
見る人が「この商品を使うと、こんな時間が過ごせそう」と想像できるように撮るのがポイントです。
Instagramや販促用ビジュアルで好まれるのはこちらのタイプです。
プロダクトカットとイメージカットの比較
「左:プロダクトカット(正確に伝える)/右:イメージカット(世界観を伝える)」
目的に合わせた“見せ方の設計”
この2種類の写真は、どちらが良いというものではありません。 伝えたい情報の種類に応じて使い分けることが大切です。
- プロダクトカット:商品ページやカタログに。正確さ・信頼性を重視。
- イメージカット:SNSやチラシに。世界観や感情を重視。
たとえば、同じ笹かまぼこでも、オンライン販売ページでは白背景で断面を正確に撮影し、 SNSでは木皿にのせた食卓シーンを投稿する——そんな使い分けが有効です。 目的を明確にして撮影することで、発信全体の統一感と説得力が生まれます。

“なんとなく撮る”から“意図して撮る”へ
「とりあえず撮る」ではなく、「何を伝えたいのか」を考えて撮る。
それが写真の質を大きく変える第一歩です。
構図・光・背景の基本を押さえ、目的を設計したうえで撮影すると、
写真は単なる記録ではなく、ブランドの信頼を築くツールに変わります。
SNSの投稿を一覧で見たとき、トーンや明るさ、構図が揃っていると、
それだけで「丁寧に発信しているブランド」という印象を与えます。
一枚一枚の写真がブランド体験の一部であり、
発信全体の“世界観づくり”を支えているのです。
おわりに
写真は、言葉より早く感情に届くメッセージです。 だからこそ、ほんの少しの工夫で伝わり方が変わります。 次回は、誰でも実践できる「光」「構図」「背景」の3つの基本ポイントを紹介します。 特別な機材がなくても、印象が見違える撮影のコツを具体的に解説します。 ぜひ次回もお楽しみに。
相談予約は電話またはフォームで承ります。
デザイナー
渡邉 樹恵子
デザインを通してビジネスを応援!商品開発の全体のディレクションから、パッケージや販促ツールの企画・発注まで、ワンストップでお手伝いします。写真スキルを生かしたデザインの提案も好評です。
