中小企業応援窓口オーエン

コロナ対策以外にも?テレワークはじめの一歩|コラム #3

  • 人事労務・採用育成

2020.09.02

テレワーク はじめの一歩

こんにちは、中小企業診断士・ITコーディネータの高木順です。

新型コロナウイルス感染症が人々の注目を集め始めた3月後半~4月前半、首都圏の企業ではこぞってテレワークを実施し始めました。東京都では3月に23.1%だった実施率が4月には49.1%にまで急伸したとのことです。

都道府県別の従業員のテレワーク実施率表

そもそもテレワークってどのようなものをいうのでしょう? なぜテレワークが注目されているのでしょう? どのような働き方ができて、どのような準備が必要になるのでしょう? 地方都市の中小企業でもそのような働き方ができるものなのでしょうか?

今回のコラムでは3回に分けてテレワークについて知っていただきたい「はじめの一歩」をお伝えしていきます。

テレワークって何?どのようなもの?

「テレワーク」とは、ITを活用することにより、時間と場所にとらわれず、働き方の柔軟性を高めた「新しい働き方」といわれています。

今年に入り、新型コロナウイルス感染症の拡大が心配されるようになってから耳にするようになった方もいらっしゃるかもしれません。しかし、新しい働き方といっても、発祥は1970年代のアメリカまでさかのぼります

当時はオイルショックによるエネルギー危機や大気汚染が懸念され、「離れたところでも通勤しないで働けないか?」という考え方が起点となりました。当時からアメリカではTelecommuteと呼ばれ、通勤をなくす=在宅勤務という考え方で社会問題に対処したようです。当然今のようにインターネットやパソコンが発達している時代でもありませんので、できることは限られていましたが、意外と古くからある考え方なのですね。

その後日本でも「tele = 離れた所」と「work = 働く」をあわせた造語として「テレワーク」という言葉が誕生します。その後、遠隔拠点に通勤する「サテライトワーク」などの考え方も内包するようになり、今では進歩したIT環境が活用される「モバイルワーク」なども生まれ、「時間と場所の制約を受けずに働くスタイル」全般を指すようになりました。

どのような働き方ができるの?

上記のとおり、「テレワーク」とは在宅勤務のほか、サテライトワークやモバイルワークなども併せ、柔軟な働き方を指します。必ずしも、全日、全時間実施していないとだめなわけではありませんし、対象者は正規職員のほか、パートタイマー等の非正規職員にも適用可能なものとなります。ワークライフバランスやダイバーシティが叫ばれる現代では柔軟な働き方は多様な生き方を支える選択肢になりえます。また、子育て中のパパママや、親世代を介護しなければならないミドルにも喜ばれる選択肢になりえます。

テレワークになると、多くの場合、時間の有効活用が達成されます。最近のアンケートでは平均3時間の時短になっているというデータがあります。満員電車や通勤渋滞から開放され、家族との時間が充実したという声も多くなっています。

世の中の人はどれぐらい使っているの?

冒頭でも述べたとおり、新型コロナウイルス感染症が拡大しだした3月以降、テレワークの実施企業は大変増加しています。直近足元の統計データではありませんが、3~5月ごろのデータでは、初めてテレワークに取り組んでみたという方の実施率が47.8%→68.7%→78.6%と増加の一途を辿っています。その一方で、感染症の拡大が一息ついた5月後半ではいったん取り組んだものの、今は普通の働き方に戻しているという方も一定数いらっしゃることが読み取れます。

テレワーク実施 3ヶ月の推移(表)

テレワークのメリットは?どのような効果が期待できる?

時間の節約になるということは、働き手側からすると、生活にゆとりを持たせ、豊かな暮らしを支えるひとつの基礎になるというメリットを生むことが分かりました。

では企業の立場ではどのようなメリットがあるのでしょう? 先ほど述べた通り、働き手、つまり従業員さんとしてはメリットを感じていますので、テレワークを実施している職場は魅力的に映ります。職場環境の良い事業者は採用等、あまり人材確保に苦労しない傾向にありますので、人手不足対策になるということは言えるでしょう。

その他、リモートで仕事が行えるという側面から、時間効率や移動効率が上がります。出張や外回りが減ると打合せやお客様の訪問に費やしていた『時間』を大幅に削減することが可能になります。他に使える時間が増えますから、当然作業効率は高まります。交通費等の抑制の効果も馬鹿にできません。

新型コロナウイルス感染症との関わりは?

時間が生まれ、効率が高まり、コストが抑制できるとなると、それなりのメリットがあることがわかります。さらに昨今注目が高まっているのは感染症予防の考え方でしょう。

テレワークを実施すると、非対面であっても擬似的に対面と同等、あるいはそれに近い水準でコミュニケーションを図ることができます。それでありながら対面しているわけではありませんから飛沫感染のリスクを抑制することになります。従業員の感染予防は事業遂行や事業継続の上で大変重要な観点になります。働き手の心身を同時に守ることになりますし、キーパーソンや複数人の急な療養により事業が停滞してしまうリスクも回避できます。

また、お客様を守ることにもつながり、感染予防対策の実施が信用のベースになるという側面もあります。「常にリモートでなければならない」ということではなく、できる人が、できる場面で、できる範囲から取り組むだけで、リスクの抑制は図っていけるということです。

もともとの潮流は?

新型コロナウイルス感染症の拡大が懸念されるようになる前は、どの程度テレワークが浸透していたのでしょう? 昨年までに出ていた統計を紐解いてみますと、比較的規模の大きな企業で、モバイルワークというシーンにおいて利用が進んでおり、移動時間の短縮や労働生産性の向上、従事者のゆとりと生活の向上に効果が見られていたようです。

まとめ

今回はテレワークの現状や歴史を中心にお伝えしました。

テレワークという働き方は新型コロナウイルス感染症の拡大とともに注目されるようにはなりましたが、大企業等では既にモバイルワークを中心に導入が始まっており、生産性の向上や働き方改革の一翼を担う手段として成果が出始めていることがおわかりいただけたと思います。さらに今後は感染症拡大予防にも大きな効果を発揮する働き方としても受け入れられていくと思われます。

テレワークを導入してみたいな、検討してみようかな、どのように進めればよいのかな等のお悩みは仙台市中小企業応援窓口にお気軽にご相談ください。

テレワーク導入のご相談はこちら

高木 順

中小企業診断士・ITコーディネータ

高木 順

ITを活用した生産性向上を応援!経営戦略を伺ったうえで費用対効果の高いITの運用方法をお伝えします。テレワーク導入に関してもお気軽にご相談ください。