中小企業応援窓口オーエン

株式会社 空地音ハーモニー|支援事例紹介#8

  • 補助金・助成金・給付金
  • 資金繰り・事業計画
  • 新商品開発・新事業展開

2023.11.29

株式会社 空地音ハーモニー(そらちねハーモニー)|支援事例紹介#8

世界文化遺産・中尊寺や国宝・瑞巌寺など、東北の神社仏閣での結婚式をプロデュースしている「空地音ハーモニー」。2013年の法人化を経て、独自の取り組みが軌道に乗り始めた矢先、新型コロナウイルスの流行が起こりました。そこで代表取締役の菊池美鷗さんはオーエンを訪れ、立て直しに向けた補助金申請を相談。専門家が申請書類の準備をサポートする中で、事業計画はどんどん明確に。さらに継続的な支援を通じて、財務力の強化や事業拡大も実現できました。

オーエン活用のポイント

  1. 補助金申請に必要な書類作成のアドバイス
  2. 事業計画や経営戦略の策定をお手伝い
  3. 利益計画の立て方や見直しをサポート

 01  どんな事業を行っていますか?

空地音ハーモニーの事業は、三つの柱で構成されています。まず一つは、弊社の中核であるブライダルプロデュース事業。「みちのく和婚」と掲げ、東北エリアの世界文化遺産や国宝など神社仏閣での結婚式をコーディネートしています。国内外から東北への誘客を図ることで、結婚式と旅をあわせたウェディングツーリズムも展開しています。

そして二つ目の事業が、ECサイト「祝赤iwai-red(イワイレッド)」の運営です。宮城県指定の伝統的工芸品「松川だるま」をはじめ、東北の特産品や赤色の祝いの品を販売しています。これらの商品は、結婚式の引き出物や演出などにもご利用いただいています。

三つ目の事業として新しく手がけているのが、ウェルビーイング事業「tera’sky(テラスカイ)」。世界文化遺産や国宝の寺社での座禅・瞑想体験、日本伝統の文化・食・自然などを体感するプログラムなど、心や人生に豊かさをもたらすウェルネスツーリズムを提案しています。

東北の由緒ある寺社でのウェディング、伝統文化の体験などをコーディネート。

 02  オーエンを利用したきっかけは?

一番のきっかけは、コロナ禍でお客様の結婚式が全て延期になったこと。その間に何かできることはないかと考えた末に、本来なら10年後くらいに行う予定だったウェルビーイング事業を前倒しで始めることにしました。それに向けて第1回仙台市中小企業チャレンジ補助金に応募申請しましたが、不採択に。次の第2回チャレンジ補助金に挑戦するにあたり、仙台市産業振興事業団が設置する中小企業応援窓口「オーエン」に相談し、専門家のアドバイスを受けることになりました。

おかげさまで第2回チャレンジ補助金は採択となり、その後も引き続き、財務に関する相談があればオーエンへ。私は主に、オーエン在籍の中小企業診断士・梅津義人さんにお世話になっています。

空地音ハーモニーの代表取締役・菊池美鷗さん(写真右)とオーエンの梅津義人さん(左)。

 03  どのような支援を受けましたか?

これまでに仙台市中小企業チャレンジ補助金、宮城県中小企業等事業再構築支援補助金、特定生活関連サービスインバウンド需要創出促進・基盤強化事業(経済産業省)など、複数の補助金申請や財務計画の策定などをサポートしていただいています。

補助金の申請にあたっては、オーエンの梅津さん等からアドバイスをいただきつつ、事業計画や申請書類をブラッシュアップさせていきました。新たに取り組むウェルネスツーリズムでは、具体的にどのようなことを行っていくのか。信用を得られる事業にするためには、エビデンスが必要ではないか。そうした具体性や裏付けも含めた事業計画書となるように、琉球大学でウェルネス分野の研究を行っている荒川雅志教授に監修をお願いしたり、顧客のニーズを探る座談会を開いたりしながら、事業内容を詰めていきました。

また、数字や計算が苦手な私にとって、利益計画のご支援も大変ありがたかったです。梅津さんから「1年分の利益計画をきちんと立てましょう」とご提案いただき、まずは月々の売り上げ目標を設定。「この月に新規顧客を何件獲得して、どのくらい売り上げを伸ばせばいいのか」など、具体的な数字を出すことで、目標を達成できるようになりました。社内で毎月行われている定例会議においても、利益計画をもとに進捗状況を共有しています。こうして常に利益計画を意識することによって、コロナ禍で生じた繰越欠損金も解消できました。

さらに弊社の事業内容や強みをご理解くださっている梅津さんは、インバウンド関連の補助金申請も勧めてくださいました。もともと弊社のブライダルプロデュース事業では、海外から東北に来て結婚式を挙げる方が多数。きちんとした形でPRできればインバウンドの地方誘客も増えるだろうと、前々から梅津さんともお話していました。事業に適した補助金の募集があれば、すぐに情報をいただけるので助かっています。

国内外からのウェディングツーリズムを通じ、「東北を思い出の地に」と菊池さん。

 04  実際に専門家から支援を受けた感想は?

私は梅津さんに出会うまで、一度も事業計画書を書いたことがありませんでした。計画書がないまま、場当たり的に事業を続けていたんです。実際に計画を文字や数字に起こしてみると、自分の頭の中が整理できますし、ブラッシュアップも可能。さらに事業内容と補助金が合致すれば、計画通りに事業が拡大できる素晴らしさも実感しました。これほど事業計画が大切なものだと学べたのは、専門家のアドバイスがあったからこそ。今では「事業計画書はただの紙ではないし、飾っておくものでもない」と思うようになり、手帳に挟んでこまめに確認しています。

オーエンを利用するようになってから補助金の採択率が上がっただけでなく、これまで私が後回しにしてきた財務も、梅津さんのサポートで進めることができました。私の忙しさやタイミングも気遣っていただきながら、「その後、どうなりましたか?」、「そろそろ打ち合わせしましょうか」など、温かくフォローしてくださることに感謝しています。

オーエンの支援を受けながら作成した事業計画書は、常に持ち歩くほど大切なものに。

 05  今後、どのようにオーエンを利用していきたいですか?

事業主や経営者には、周りに相談できないことがたくさんあると思います。私も特にコロナ禍で経営が悪化した頃は「こんなにつらいのに、誰にも泣きごとを言えない」という心境でした。でもそんな時、いつも梅津さんが「大丈夫ですか?」と気にかけてくれるんです。私にはそれが、すごくありがたくて…。話を聞いてくださることが心の支えとなり、自分が倒れずに済みました。

実務のほうでも手厚くサポートしていただいたおかげで、ようやく経営の土台が固まりつつあります。私の仕事への向き合い方も変わりましたし、事業の可能性も広がりました。これからステージアップしていく中で、その時々の課題や相談ごとも生まれると思いますので、今後ともお力添えいただければ幸いです。

「東北ニュービジネス大賞」の最高賞受賞、宮城県「女性のチカラを活かす企業」認定など、今後の活躍も期待されている。
梅津 義人

中小企業診断士
梅津 義人

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支援担当者からコメント

利益計画策定では、実績値に加え、今後の具体的な見込み案件等の事業展開を踏まえた数字の積み上げが不可欠です。特に当社のように、季節・シーズンによって業務の繁閑の差が大きい事業形態の場合、月次の損益・資金計画の策定と実績のズレのチェックが非常に大切になってきます。月次計画と実績のズレをチェックすることで、問題点を確認できて早期の対策ができるとともに、次期以降の計画策定にも反映できていきます。

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今回ご紹介した企業

株式会社 空地音ハーモニー

東北の世界文化遺産や国宝など、神社仏閣を会場にした結婚式やイベントをプロデュース。インバウンド誘客によるウェディングツーリズム、日本文化や地域資源を活用したウェルネスツーリズム、EC事業などを展開している。

インタビュー・ライティング/野原 巳香
撮影/渡邉 樹恵子