中小企業応援窓口オーエン

産電工業株式会社|支援事例紹介#16

  • 販路開拓・販売促進
  • ウェルビーイング分野での新製品・新サービス開発支援

2026.02.05


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電気設備工事や水道施設工事などを通じて、地域のインフラを支えている産電工業。社会貢献活動にも真摯に取り組む同社は介護・福祉分野にも事業領域を広げ、高齢者向けの見守りセンサー「みぃるも」を開発しました。初号機の誕生から改良を重ね、現在は第5世代へと進化。仙台市産業事業団もその歩みに寄り添い、開発フェーズに応じた支援を行ってきました。製品の構想段階から実装・販路開拓まで、継続的なサポートの軌跡を振り返ります。

オーエン活用のポイント

  1. 商品開発や販路開拓における多角的なサポート
  2. ニーズリサーチおよび実証実験のコーディネート
  3. 海外展開に向けた現地視察・商談の伴走支援

 01  産電工業では、どんな事業を行っていますか?

1952年創業の産電工業株式会社は、電気・機械工事や水道施設工事などを中心に実績を積み重ねてきました。仙台市の上下水道施設、ごみ処理施設、文化施設、庁舎なども手がけており、電気設備の設計・施工から監視制御システムの開発・運用まで一貫して対応できることが強みです。

こうしたインフラ設備事業で培った技術力や知見を他分野にも応用し、社会課題に応じた自社ブランドの開発にも注力してきました。なかでも独居高齢者向けの見守り支援システム「みぃるも」や「ソーラーLED街灯」は社会的な貢献が評価され、「第8回富県宮城グランプリ」「第54回グッドカンパニー大賞 優秀企業賞」の受賞にもつながりました。

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お話を伺ったのは、産電工業株式会社の代表取締役社長・髙橋昌勝さん(右)と創業開発部の佐竹 亮さん(左)

 02  オーエンを利用したきっかけは?

仙台市とフィンランド政府の共同プロジェクト「仙台フィンランド健康福祉センター」が2005年に開設され、健康福祉分野における産学官連携の共同研究開発が行われました。このプロジェクトに産電工業も参画し、超高齢社会に対応するシステム開発やフィンランド企業との共同開発を実施。その頃から仙台産業振興事業団(以下、事業団)にはお世話になっており、フィンランド視察にも同行させていただきました。

福祉先進国と言われていた当時のフィンランドでは、見守りが必要な高齢者の体にセンサーや機械を取り付けることによって、人の動きや体温を感知していました。しかし日本で同じ仕組みを取り入れるとなると、身体へのセンサー装着を嫌がる人も多いだろうと感じたのです。それなら人に機械を装着せず、生活環境の変化を捉えるシステムがあればいいのではないか。そんな発想から自社開発したのが、多機能センサーを搭載した見守りシステム「みぃるも」です。手のひらサイズの機器を部屋に設置するだけで生活パターンを自動分析し、病気の兆候や異常を察知できます。“予防”を重視した見守りは、これからの時代に求められるだろうと考えました。

このシステムを開発するにあたって、2012年に仙台市の「ウェルビーイング製品等開発支援事業」を受託し、2013年に初代みぃるもの販売を開始。以降、事業団が運営するオーエンのサポートも受けながら、改良や販路開拓を重ねています。

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右の機器が2013年発売の初代みぃるも、左が2024年発売の第5世代。
この進化の道のりにも、産電工業と事業団のストーリーがあります

 03  どのような支援を受けましたか?

在宅用途が中心だったみぃるもを介護施設向けに展開するため、2022年に初の実証実験とニーズリサーチを行いました。その実証先の開拓やマッチングを支援してくれたのが事業団です。

まずは東松島市の町内会をご紹介いただき、5名の個人宅に1〜2カ月みぃるもを導入。実際に高齢者の見守りに役立つのか、安心して生活できるのかを検証しました。みぃるもで温度・湿度・照度を測定できるほか、居住者の動きを運動指数として可視化。離れて暮らすご家族もスマホ画面を通して「起きているようだな」「活発に動いている時間は家事をしているのだろう」と推定でき、生活パターンの把握が見守りに有効だと確証を得られました。

2023年には介護施設での実証へと進み、サービス付き高齢者住宅の2室に設置。ご家族や施設管理者へのヒアリングもとに機能や筐体デザインを改良し、第5世代のみぃるもには音声通話機能や呼び出しボタンを追加しました。

開発が一段落した後は、販路開拓や海外展開も推進。2024年には仙台市のウェルビーイング委託事業(海外展開枠)を受託し、タイでの販売に向けたローカライズ開発や現地視察・商談に取り組みました。現地コーディネーターの手配や代理店候補のアレンジなど、事前準備から現地同行まで事業団が手厚くサポートしてくださったので、たいへんありがたかったです。

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オーエンのビジネス開発ディレクター・沼田直行さん(左)は、
みぃるもの開発や販路開拓を長年サポートしてきた一人

 04  実際に専門家から支援を受けた感想は?

ニーズリサーチや実証実験を行う場合、民間企業が一般のお宅に「この商品を使ってみてください」とお願いしても、やはり警戒されてしまいますし、なかなか受け入れてもらえません。なおさら海外での視察や商談となると、民間企業だけでは会ってもらうことすら難しいです。しかし事業団の紹介であれば、相手から信用を得られますし、快く協力していただけます。

時をさかのぼれば、みぃるもの開発に取り組むきっかけも、事業団からの「福祉に興味はありますか」というお声がけでした。その他にも展示会の案内、海外展開の提案、地元企業とのマッチングなど、事業推進の機会を提供してくれる存在として心強く感じています。

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みぃるもは高齢者のプライバシーに配慮し、カメラではなくセンサーで見守り。
家族のスマホ画面に表示されるイラストや数値で、生活環境や異変を把握できる

 05  今後、どのようにオーエンを利用していきたいですか?

産電工業はみぃるもの製造・販売を行っていますが、高齢者の見守りにおいて最も大切だと考えているのは、「地域みんなで見守ること」。家族だけではなく地域全体で見守るプラットフォームを構築できれば、誰もが安心して暮らせる社会に近づけるのではないかと考えています。

そんな未来を見据えつつ、まずはみぃるもの導入拡大へ。事業団の橋渡しのおかげで代理店契約や技術提携の話も進んでいますし、AIの活用も検討していますので、今後も引き続きサポートをお願いできればと思っています。

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産電工業の製品やサービスを通じて、地域社会への貢献を目指す髙橋社長

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商品開発コーディネーター
沼田 直行

 担当コラム

支援担当者からコメント

我々は、高橋社長が抱く「高齢者を地域全体で見守り、支える社会を実現しなければならない」という強い思いに共鳴し、産電工業様が開発する「みぃるも」の全国展開を目指して、ニーズの掘り起こしから開発・実証、販路開拓まで、長年にわたり支援を続けてきました。
「みぃるも」の必要性が社会に理解され、広く浸透するまでには相当の時間を要しました。しかし、高橋社長をはじめ、「みぃるも」に携わってきた関係者一人ひとりの諦めない強い思いが実を結び、現在では高齢化社会に欠かせない製品として、高齢者を多方面から支えるさまざまなサービスに採用されています。今や「みぃるも」は、人々のウェルビーイングを高める製品として全国で活躍しています。
今後は、仙台発のグローバル製品として、近い将来日本と同様に高齢化社会を迎える海外市場への展開が期待されます。

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今回ご紹介した企業

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産電工業株式会社

電気・機械工事や水道施設工事を中心に、設計・施工からメンテナンスまでをトータルで担う総合エンジニアリング企業。地域の暮らしを支えるインフラ設備や公共施設の整備・維持に携わるほか、社会貢献活動にも力を注いでいる。

産電工業株式会社HP
高齢者見守りシステムスマートケアリンクみぃるもHP

インタビュー・ライティング/野原 巳香
撮影/渡邉 樹恵子