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経営の重要な指標を示す~キャッシュフローを管理しよう|コラム#28

  • 資金繰り・事業計画

2021.10.15

こんにちは、税理士の工藤俊悦です。
前回は「キャッシュフローが経営改善にどう役に立つか」についてお伝えしました。
今回は「キャッシュフローをどう活用するか」についてお話しします。

キャッシュフローを管理しよう

キャッシュフロー経営では、損益計算書から導入される利益とは別に、キャッシュがいくら手許に残ったのか、それはどのようにして残ったのかを意識していきます。

黒字でも資金繰りが悪く、お金が無ければ倒産します。
黒字経営なのになぜ倒産するのか?
答えは利益ではなく、キャッシュ創出という考えが企業に無かったため倒産してしまったということなんです。以下の例をみてみましょう。

例1)資金繰りの圧迫

売上高の増加、買掛金の支払いサイトが短いこと、売掛金の回収期間が長いこと

売掛金(ツケ)を回収するまでの期間が長く、買掛金の支払いサイトが短い場合、売上高の増加は利益が確保されますが、資金繰りは圧迫されてしまいます。

例2)在庫=キャッシュのマイナス

在庫=資産だがキャッシュで購入した場合

購入した商品は、売れるまで在庫として「資産」を構成するものなので利益には何の影響もありません。ところが、膨らんでいく在庫は、「資産」であるものの、キャッシュで購入した商品であるため、キャッシュフロー上はどんどんマイナスになっています。結果、利益しかみていないと、在庫が膨らんで倒産なんてことが多々あります。

例3)借入金を管理できていない

設備投資により獲得する利益、獲得する利益よりも大きい返済金が経営を圧迫

設備投資についても同様です。例えば、多額の機械を借入金で購入したとしましょう。機械は「資産」であり借入金は「債務」です。何ら利益に影響を及ぼしません。ところが、獲得する利益より大きな返済だと経営を圧迫します。借入金の返済金は、損益計算書には、現れてきません。キャッシュフローで管理する必要があるのです。

このように、利益とは無関係にキャッシュの流れがどの様に動くのかをみるために、キャッシュフローという考え方が必要なのです。

経営の結果である「決算書」
経営の重要な指標を示す「キャッシュフロー計算書」

企業の実態を表す「決算書」は、「税金を計算するためのもの」という位置付けや「銀行からお金を借りるためのもの」という考え方が浸透しています。でも本当にそれで良いのでしょうか?

経営の結果である決算書は、貸借対照表や損益計算書が企業の財務状態や経営成績を示しています。いわば、「経営の成績表」です。大切なことは、この過去の結果としての指標である決算書をもとに、将来の経営計画を立てていくことなのです。決算書を分析し、反省し、今後の経営に役立てていくことが必要です。

同じように、キャッシュフロー計算書も、経営の結果として反映され、将来の経営計画を行う際に重要な指標となります。キャッシュフロー計算書が重要なのは、利益の増減に関わらず、キャッシュがどの様に創出され、またどの様に使われたのかを示す指標だからです。

キャッシュフロー経営の考え方の根底は、「キャッシュになって初めて儲かったと言える」という所にあるからです。

会計ソフトの活用について

近年では、キャッシュフローという考え方がいろいろなところに使われ評価されています。先に述べてきたとおり、企業経営のすべては「キャッシュを生み出すか否か」ということに集約されるため、「企業価値を算定」する方法や、「設備投資の意思決定」を行う際にも有効とされ、応用されています。ただ、中小企業においては、未だにキャッシュフロー計算書が浸透していません。

その理由は

  • 作るのが面倒である
  • 資金繰りは、頭に入っている
  • 読み方が分からない

など、さまざまです。上述のとおり、キャッシュフロー計算書を作成することは、経営にとって良いことばかりです。

そこで、提案したいのは、会計ソフトの応用です。時代は進化し、会計の帳簿を作成する際に、会計ソフトを使うことも多くなったと思います。最近の会計ソフトには、ちょいといじるだけで、「キャッシュフロー計算書」を作成できるものも出ててきました。決算書を作成するソフトを応用し、キャッシュフローまで把握できるのは素晴らしいことだと思います。

キャッシュフローを活用しよう

キャッシュを管理することについての重要性は、今後の企業経営を行っていくうえでますます重要となっていくと思われます。

それを会社の企業経営にどのように結び付けて行くか、また経営計画にどのように落とし込んでいくか。
それをきちんと把握すれば、会社の経営力の強化が行われ、それが、会社の強みとなります。つまり、キャッシュフローの把握きちんと行うことは、会社の将来の「競争力」の強化に繋がっていくのです。

まとめ

前編・後編の2回に分けて「キャッシュフロー経営」についてお伝えしました。お金の流れに着目し把握することは、会社の強みにつながります。ぜひ挑戦してみていただければと思います。

とはいえ「なんだか難しそう・・・」「わかってはいても、なかなか踏み出せない」「具体的に何から始めればいいの?」など、課題もあるはず。

そんな時は、ぜひ仙台市中小企業応援窓口にご相談ください。キャッシュフローの分析から改善につながるヒントまで、アドバイスを行っていますよ。お気軽にお問合せください。

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工藤 俊悦

税理士・行政書士

工藤 俊悦

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