2021年5月31日

ムリ・ムダ・ムラのないICTの導入と活用方法|コラム#25

ムリ・ムダ・ムラのないICTの導入と活用方法|コラム#25

こんにちは、中小企業診断士・ITコーディネータの青沼泰彦です。今回のコラムでは、経営に役立つ「ムリ・ムダ・ムラのないICTの導入と活用」についてお伝えしたいと思います。

ポイント

社会全体のICT化により、顧客対応や販路拡大のためには、中小企業や小規模企業でもICTの活用が必須の時代になりました。

効果を上げるICT導入のためには
(1)経営戦略や将来のビジョンを明確にする
(2)戦略やビジョン実現に最適なICTを選択する
(3)計画的な導入により経営改革や顧客価値の向上につなげる
という考え方が基本になります。

ICT(情報通信技術)が不可欠な時代に

経営だけではなく、生活のあらゆる局面にICTが関わる時代になりました。コンピュータを中心としたICTが一般化してから半世紀以上経ちましたが、社会・経済の変化もあって、活用の仕方も変化して来ました。

  1. コンピュータの計算能力を活用した大量のデータ処理の時代(1960~70年代)
  2. 経営戦略のツールとしての利用が始まった時代(1980~90年代前半)
  3. 経営全般にICTが活用されるようになった時代(1990年代後半~)
  4. DX(デジタルトランスフォーメーション※1)の時代(現在~)

ICT活用の変化

※1
DXとは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」(経済産業省「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」より)

現在は、お店や企業から見れば「顧客」である生活者の方々が日常的にインターネットやパソコン・スマートフォンを使いこなす時代となっており、対応しないと顧客を失うことにもなりかねない時代です。
このような情報化の流れに対応するため、多くの企業でICT導入が試みられていますが、十分な成果を上げられなかった事例も多く見られます。

例えば、以下のような例です。

  • 目的があいまいなまま導入し、売上や利益につながったかどうか、成果が不明
  • 現場の意見を取り入れず、業務に合わないシステムや使いにくいシステムを導入してしまった
  • ハードやソフトへの過剰投資や、多額の運用コストが負担となっている
  • 人材が育っておらず、導入したシステムの活用や運営体制が不十分

では「ムリ・ムダ・ムラのない」ICTの導入は、どのような手順で進めればよいのでしょうか。

ICT導入の考え方と手順

「DX推進ガイドライン」では、DX推進のための経営のあり方、仕組みとして、「経営戦略・ビジョンの提示」が第一にあげられています。

つまり、経営における「ICT活用」とは、まず自社の経営戦略や将来のビジョンを明確にすることから始まるのです(経営戦略のフェーズが出発点)。

そのうえで、最適なICTを選択・適用することにより、経営の改革や新たな価値を生み出すことができるのです(情報化戦略とICT活用フェーズへの展開)。

ICT導入の手順

経営戦略と情報化戦略の関係

経営戦略・ビジョンから、情報化戦略・ICT活用策への具体的な展開を整理すると、次のようになります。

経営戦略
  • 情報化戦略
販路開拓
  • インターネットによる販路開拓(B to B,B to C)
  • WebやSNSを活用した顧客発掘、販売促進、ファン作り、ブランド確立
  • オムニチャネル(実店舗とECサイトの融合)構築
  • リモート営業による販路開拓
  • 営業情報システム(SFA)の導入
業務効率化
  • POSレジ(※2)による販売動向の把握
  • EOS(※3)による発注作業の効率化・自動化
  • ICタグ(※4)による商品管理
  • 財務会計システム導入
  • テレワークの導入
  • 生産管理システムの導入
顧客満足の向上
  • 顧客管理システムの導入
  • ポイントシステムによる販売促進と顧客への利益還元
  • キャッシュレス決済(※5)の導入
  • インターネットを活用した顧客サービス・サポート
情報共有や人材育成
  • グループウェア(※6)やSNSの活用
  • クラウドデータベース(※7)を活用した商談管理や業務管理
  • 情報セキュリティ管理、リスク管理の強化
※2
Point of Sales。販売時点でレジから情報を収集し、管理するシステム。レジ登録ミスの減少やチェックアウト時間の短縮、詳細な販売動向の把握、販売に影響する要因の分析などができる。
※3
Electronic Ordering System。コンピュータを使って商品発注を行う仕組み。発注作業の時間短縮、発注ミスの削減、取引先(卸・メーカー)との関係強化などのメリットがある。
※4
電子タグ、無線タグ、RFタグとも呼ばれる。ICチップとアンテナで構成された小型のチップを商品などに添付して識別し、販売管理や在庫管理に活用する。電波によって非接触でデータの読み書きを行いデータの書き換えも可能なため、バーコードの代わりに使え、生産業務、物流業務、在庫管理業務などへの利用が拡大している。
※5
クレジットカード/デビットカード・電子マネー・QRコードなどを使った決済方法。QRコード決済には、CPM(利用者提示型コード決済)方式、MPM(店舗提示型コード決済)方式などがある。
※6
企業内などで、メール、スケジュール管理、掲示板、伝言メモ、連絡先共有などの情報共有や、承認作業などワークフロー管理を行うシステム。
※7
インターネット上にデータを置き、社内外からアクセスできるデータベース。データベースの専門的な知識がなくとも簡易なシステムが構築できるものもある。
おわりに

このように、「自社の経営戦略やビジョンを実現するために、どのようなICTが活用できるのか」を整理することで、ムリ・ムダ・ムラのないICTの導入が可能になります。

当事業団では、経営の現状整理から、戦略の明確化、情報化戦略の策定など、一連の支援を行っておりますので、ICT活用をお考えの方はぜひご相談ください。

ICT活用のご相談(無料)はこちら

中小企業診断士・ITコーディネータ 青沼 泰彦
青沼 泰彦

ITを取り入れた経営戦略の実践を応援!現場の状況を分析し、改善点を明確にしていきます。マーケティングにも精通し、東北全域で支援実績があります。

関連サービス