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7原則12手順でしっかりわかるHACCP導入|コラム #14

  • 新商品開発・新事業展開

2020.11.25

こんにちは。フードコーディネーターのカワシマヨウコです。

これまではHACCPについての紹介と導入義務化についてと、HACCPによる生産工程管理のベースとなる一般的衛生管理プログラムについてお伝えしてきました。

今回は、いよいよHACCPの導入について、7原則12手順をふまえてご説明いたします。

HACCPと一般的衛生管理プログラムの関係性

HACCPは7原則12手順で成り立つ製造工程管理プラン

HACCPを導入しようとすると必ず聞く言葉、「7原則12手順」とはどういうものでしょうか。
1993年にコーデックス委員会が示した、HACCPの導入の具体的な手順のことです。安全な食品を製造するための「7原則(手順を含む)」と準備のための「5手順」をあわせて、「7原則12手順」となります。

7原則12手順とはHACCP導入の手順です。5つの手順での準備と7手順(原則)での実行・記録・検証を行います。

準備のための5つの手順

「5手順」はHACCP運用のため、製品に対する危害を正確に分析するための準備です。導入の精度を上げるには、危害分析がどれだけできているかがものを言います。時間をかけてしっかりと確認をしていきましょう。

手順1 HACCPチームを作ろう
原材料の受け入れから製品の最終梱包までの全工程の情報と、それぞれの現場担当者を明らかにし、導入・運用に携わるチームを結成します。

手順2 製品説明書の作成
製品の危害分析を助けるため、原材料や生産工程がわかる製品説明書を作成します。

手順3 製品の意図する用途と対象者の確認
だれが食べるのか、どのように食べるのか、シーンや調理の有無を確認することで、製品ごとに必要な衛生管理を明らかにしておきます。

手順4 製造工程の一覧図と施設の図面、作業手順書の作成
原材料の受け入れから最終製品の搬出までの全工程の一覧図と、付随する作業の手順書を用意します。

手順5 製造工程の一覧図と施設の図面、作業手順書を現場で確認する
正確な危害要因分析のために、手順4で作成したものを用いて、実際の製品製造に間違いがないか、もしくは手順などが当初と相違ないかを確認します。

分析と運用・記録を行う7つの原則

手順6[原則1]危害要因の分析
原材料や製造工程の「どこに」、「どんな」危害の要因があるのかを明らかにする作業です。危害要因とは人体に健康被害を及ぼす要因のことを言い、生物的危害要因(ウイルスや細菌、寄生虫など)、科学的危害要因(アレルゲンや洗剤、残留農薬など)、物理的危害要因(金属片、ガラス片など)の3つの種類に分けられます。
手順2の製品説明書、手順4の製造工程一覧を利用して、危害要因を分析したリストを作成しましょう。

手順7[原則2]重要管理点の決定
重要管理点とは、手順6で確認した危害の発生を防止・排除・許容のできる範囲まで低減するために不可欠な工程のことです。全ての製造工程の中で、重要管理点にあたる工程はどこなのかを決定します。例えば、食品に熱を加える工程などがあげられます。

手順8[原則3]管理基準の設定
手順7で決めた重要管理点を適切に管理するため、方法や時間、温度などの工程の管理基準を設定します。どのように危害の発生を防止・排除・許容できる範囲まで低減するかを、誰にでもわかる具体的な数値や指標で示します。

手順9[原則4]モニタリング方法の設定
重要管理点が手順8で決めた管理基準に達しているかどうかを適切な頻度で確認し、モニタリングする方法を設定します。例えば、中心温度の測り方、測定の時間、測定器具の精度などを決めます。

手順10[原則5]改善措置の設定
モニタリングをした結果、管理基準が守られなかった場合の製品の区分けや処分の取り扱い、機械トラブルの復旧方法、問題点の修正方法についてあらかじめ決めておきます。

手順11[原則6]検証方法の設定
手順10までの計画が、実際に運用したときHACCPの工程管理に準じて有効に機能しているかを検証し、修正すべき箇所があるかを検討します。最低でも年に1度は工程管理の検証を行いましょう。原材料など工程にかかわる一部に変更があれば、伴ってすべての工程を見直す必要があります。さらに、衛生管理や工程管理についての新たな情報が得られた場合にも、検証を行うとよいでしょう。

手順12[原則7]記録と保存方法の設定
手順1から手順11までの計画や手順、記録方法などのすべてを各種文書に保存します。保存する文書の種類や保存場所、保存期間を定めましょう。これらの情報は、事業者の自主管理を裏付ける大切な証拠です。行政などからの監視があった場合には、きわめて有効な資料となります。

業種別手引書を参考にしよう

HACCPによる工程管理は、製品ごとに策定するものです。原材料や製造工程が違えば、重要管理点も違うため、事業者は製品の数だけ工程管理のプランを作る必要があります。

そのようなときは、厚生労働省が提供している「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」に各食品事業者団体が作成した業種別手引書があります。ご自身の事業や製品にあった資料を参考にしながら工程管理のプラン作成に取り組みましょう。HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書

おわりに

ここまでHACCPを実際に導入する手順と、参考となる手引きについてご説明しました。HACCP導入は大変かと思われますが、手順が明確なのでプランの組み立ては簡単です。

いかにプランを守り、安全な商品をお客様にお届けするか、その継続でお客様の信頼を勝ち取ることが、これからの経営にとってますます大切になっていきます。
HACCP導入の猶予期間は2021年6月まで、あと半年程度です。まだ準備が進んでいない方はさっそく取り掛かってみてはいかがでしょうか。

仙台市中小企業応援窓口では、HACCP導入のためのアドバイスを行っております。「基本から教えてほしい」という方も、「導入でつまずいている」という方も、お気軽にご相談ください。

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川島 洋子

フードコーディネーター

カワシマ ヨウコ

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