経済局長メッセージ

この先も地域を支える企業のために

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仙台市経済局長 柳津 英敬

仙台市生まれ。東北大学大学院経済研究科修了。1991年仙台市役所入庁。2023年4月より現職。

「仙台市御用聞き型企業訪問事業」は、地域企業のさまざまなニーズに対応しながら、仙台市はもとより近隣市町村の企業の成長に大きく貢献してまいりました。20年という長きにわたり継続し、発展することができたのも、多くの方々の熱い思いや献身的な支えがあったからこそです。本事業に携わったすべての皆さまに心より感謝申し上げます。

2003年4月、私は新設された経済局産学連携推進課に配属となりました。当時、この地域では東北大学の優れたシーズを活かして新産業を創出しようという機運が高まり、ファンドやインキュベーター、大学発ベンチャーなど新しい言葉が飛び交い、さまざまなプロジェクトが始まりました。

また、地域が連携して産学連携を推進していくことを目指し、東北大学、宮城県、仙台市、東北経済連合会のトップクラスによる会合の場として産学官連携ラウンドテーブルという仕組みが構築されました。この中で、大学教員が自治体職員としての身分を持って活動することにより、産学連携がさらに活発化するのではないかという提案があり、「地域連携フェロー」制度が生まれました。

一方で、私たちの課題意識は、地元の中小製造業者が必要とする支援は何かということでした。折しも、地元企業との産学連携で多くの実績のある堀切川一男先生が山形大学から東北大学に来られたタイミングでしたので、ぜひ先生にフェローをお願いしようということになりました。そして、当時、仙台市産業振興事業団のBDD(ビジネス開発ディレクター)だった村上雄一さんと議論を重ね、堀切川先生とも相談しながら、新しいスタイルの産学連携の模索が始まりました。

これまでの産学連携は、企業が大学の研究室を訪問し、大学の技術シーズを使って開発を行うというスタイルが一般的でしたが、私たちの発想はその逆、つまり、大学の先生が研究室を飛び出し、製造現場で企業のニーズや課題に一緒に向き合うことはできないかというものでした。そして生まれたのが「御用聞き型企業訪問」です。また、地域のさまざまな立場の関係者が先生方の技術を学び、その後の懇親会でネットワークを構築し、議論し合う場として「寺子屋せんだい」も企画し、この二つの事業を軸に新しいスタイルの産学連携事業が本格的にスタートしたのです。

あれから20年の年月が流れた今でも、本事業が綿々と引き継がれていることを大変うれしく思います。今後、経済・社会環境はさらに激しく変化していくことが想定されますが、これからも地域企業のニーズに寄り添った産学連携がさらに発展していくこと期待しております。

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