株式会社永勘染工場
染 CYCLING CAP

2023年10月2日

株式会社永勘染工場は、仙台市産業振興事業団が主催する
第9回新東北みやげコンテストの受賞企業です。

お取り寄せ特別賞「染 CYCLING CAP(ソメ サイクリング キャップ)」


仙台市若林区南染師町(みなみそめしまち)。かつて染師たちが暮らし、染物をつくっていた町で、たった1軒、今でも染物屋として商いを続けるのが、「永勘染工場」です。明治20年(1887年)の老舗が2022年にリリースした商品が話題となっています。それが、日本屈指のブランド木綿である知多木綿を使用し、本染めでデザインを施したサイクリングキャップ「染 CYCLING CAP」です。


写真:若林区南染師町の永勘染工場。季節の暖簾が軒先にかかります


ロードバイクやマウンテンバイクなど、サイクリストがヘルメットの下にかぶるキャップ。永勘染工場と仙台のデザイン事務所「comme-nt」(コメント)のコラボレーションで生まれたもの。実は、永勘染工場のウェブサイト作成やロゴのリニューアルをした縁で、comme-nt所属のデザイナーである佐々木享さんから提案があったのだとか。

写真:永野さん(左)と談笑するデザイナーの佐々木さん(右)


永勘染工場の代表取締役・永野仁輝さんは「何か新しい商品がほしいと思っていたんです。そんなときに佐々木さんがこのアイデアを出してくれて。私もマウンテンバイクに乗るものですから、『いいね、いいね』と話が進んでいきました。チャレンジ補助金を活用して、縫製工場も宮城県内で見つけて、商品化することができました。現在は弊社の店舗のみでの販売ですが、今後は販売先を考えていきます」と話します。

写真:自転車好きが高じて、アパレルへ挑戦した佐々木さん


佐々木さんも「もともと自転車のアパレルをやりたいなという思いがあって、永勘さんの工場を撮影する機会が増えるごとに、『永勘さんの染物を使ってなにかつくれたらな』と考えるようになったんです。永野さんはどんなアイデアを出してもOKしてくれて。それも、それまでのお付き合いの中で信頼関係が築けたからだと思います」と。


個人的にサイクリングキャップをつくる自転車好きの人たちもいるそうですが、手ぬぐいをサイクリングキャップにするのは、なかなかないそう。手ぬぐいも仙台のもの、そして縫製は登米にある工場にお願いして「Made in 宮城のプロダクト」をつくることができました。つばや帽子自体の大きさにもこだわっていて、少し大きめにつくっています。僕、頭が大きいので市販のものだとちょっと小さいんですよね」と、佐々木さんは笑います。

写真:老舗の名に胡坐をかかず、新しいものを追い求める永野さん


永野さん自身もマウンテンバイクには乗るものの、「もちろんヘルメットの下にかぶるものとは知っていましたが、ロードバイクでスピードを求める方たちのものなのかな、という印象でした。自転車はコロナ禍で市場がぐっと大きくなっていて調べてみたところ、ニーズがあるのであればチャレンジしてみたいなと思いました。当社もご多分に漏れず、コロナで大きなダメージがあったものですから。法被や手ぬぐいというのはお祭りあってこそのものなので」。


写真:永勘染工場の中にある道具たち。見ているだけでも楽しい


サイクリングキャップは、被る派と被らない派に分かれるそうですが、佐々木さんは「僕はもともと被る派でした。汗を吸ってくれますし、つばがあるので日よけにもなる。ヘルメットを直接被るよりもずれない、痛くならないっていうメリットがあるんです。あとはちょっとしたおしゃれのアクセントにもなるのでいいんですよね。さらにこのキャップは軽くて締め付けがなく速乾性が良いので自信をもっておすすめできます。染 CYCLING CAPのウェブサイトやパンフレットに登場するのはみんな実際に自転車に乗っている僕の友人たちです。みんな、このキャップの良さを理解して日頃愛用してくれています」と話します。


写真:次回リリースされる3柄(下)と初回デザインのCIRCLE(左・芥子色)とMOUNTAIN(右・緑)


そして柄にもこだわりが。「WIND」「CIRCLE」「MOUNTAIN」。どれもが、自転車にまつわるキーワードからデザインされたオリジナルの柄。佐々木さんは「WINDは自転車に乗っているときに感じる風、CIRCLEは車輪やペダルが回る円運動、そしてMOUNTAINは上り坂や下り坂の辛さや楽しさ。自転車を楽しんでいる人なら誰もが共感してくれるようなテーマをオリジナルの柄にデザインしました。


8月にはアメリカニューヨークで行われたクラフトを集めたポップアップショップ「アーケードジャパン」にも出店。「あちらでの評価も楽しみですね」と永野さんは語ります。


写真:工場では職人が一枚一枚を丁寧にチェックする


また、今後は毎年3柄を加えていく予定だそうで、キャップ以外のアイテム展開も検討中だそうです。「サコッシュはつくりたいなと思っているんですけれど、ありきたりなのばかりでは面白くないと思っていて」と、佐々木さん。


目下の目標は、自転車の本場であるヨーロッパで展開することだそう。佐々木さんは「サイクルロードレースの本場ヨーロッパにポップアップショップをしに行くのもいつかやってみたいですね」と目を輝かせます。

写真:これからもタッグを組んでの商品開発は続きます


仙台の老舗染物店と、自転車をこよなく愛するデザイナーが生んだ染 CYCLING CAP。これからの展開も楽しみです。


「永勘染工場」とその伝統をつないでいく、永野さんのものがたりはYahooニュース!でもご覧いただけます。


株式会社永勘染工場

所在地 〒984-0814 宮城県仙台市若林区南染師町13番地
TEL 022-223-7054
営業時間 午前9:00~午後5:30
URLhttps://nagakan.jp/




取材/2023年7月



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