合名会社菓子処 丸美屋
「雪中果」

2023年9月12日

合名会社菓子処 丸美屋は、仙台市産業振興事業団が主催する
第9回新東北みやげコンテストの受賞企業です。

優秀賞「雪中果」


「春待ちりんご」や「雪室りんご」という言葉を聞いたことはありますか? 雪の中でりんごを保存することで、甘味とみずみずしさが増すといわれている、東北ではポピュラーな保存方法。その雪中のりんごをお菓子で再現したのが、青森県八戸市に暖簾を構える老舗和菓子店「お菓子処 丸美屋」の「雪中果」です。

写真:コロナ禍での起死回生を狙い、「雪中果」を開発した若山さん

真っ白な粉の中に、これまた真っ白なマシュマロが入っています。探す楽しみがあるのも、この商品の大きな特徴です。代表の若山忠義さんは「うちは冠婚葬祭の干菓子が売り上げの中心だったのですが、コロナで冠婚葬祭がなくなってしまって、全部頭打ちになってしまって。これからどうしようと考えていく中で、新しい商品が必要だろうということになりました」と、その開発のきっかけについて話してくれました。

写真:老舗和菓子店らしく、工場の中には年季の入った焼き印が

「せっかくだから、丸美屋が今まで作っていたようなお菓子とは全然違うものを作りたいと探していたところ、マシュマロ、ギモーヴというものに出合ったんです。和菓子ではないものを和菓子として販売してはどうかと。機械メーカーさんのほうで、マシュマロの中にりんごのジャムを入れることができるということだったので、じゃあやってみようか、と。中に餡を入れるというところは和菓子らしいと考えました」。

写真:伝統的な和菓子も職人の手でつくられていく

ヒントになったのは、かつて全国を巡る中で出合ったお菓子でした。 「広島に行ったときに、和菓子屋さんでギモーヴを使った商品を出しているところがあって、いいなぁと思っていたんです」。

写真:雪中果をふたつに割ると、甘酸っぱいりんごのジャムが顔を出します

りんごのジャムを包んだマシュマロ、だけでは物足りないと感じたという若山さん。 「何か面白いことができないかと考えたときに、津軽の方で雪の中にりんごを貯蔵して、それを春になったら出して食べるっていうのがあったよな、と思い出して。雪の中に埋もれて探しながら食べるっていうのは面白いんじゃないかと。ただ、雪の中から出てくるりんごは真っ赤だけど、うちのは白い。だからといって色を付けてもちゃんとしたりんごの色にはならないから、うちは白いまま進めてもいいかな、と。白に白でぱっと見分からないというのも面白いかな、と思って」。
オブラートを細かく刻んだものを雪に見立て、「雪中果」が完成しました。


パッケージにも若山さんのこだわりが光ります。 「雪の中から顔を出すりんごを表現しています。あえて商品名を入れていないので、食べ終わったら小物入れなどとして使っていただけたらうれしいですね」。

昭和8年(1933)創業の老舗和菓子店が挑戦した、新たな商品づくり。 ユニークなコンセプトとデザインの美しさもあり、「新東北みやげコンテスト」で優秀賞に輝きました。 「賞をいただけたおかげで、メディアからの取材も受けることもできました。お土産としての動きもとてもいいんですよ」。


「雪中果」は、丸美屋本店、八食センター店のほか、イベントなどのポップアップショップで購入することが可能です。オンラインストアも準備中とのことなので、ぜひ一度“雪”の中から甘~いマシュマロを探し出してみてはいかがでしょうか。


「お菓子処 丸美屋」、そして若山さんのものがたりは、Yahooニュース!でもご覧いただけます。


合名会社菓子処 丸美屋

所在地 〒031-0802 青森県八戸市小中野8-8-35
TEL 0178-22-6105
FAX 0178-47-3553
営業時間 午前9:00~午後5:00
定休日 毎週火曜日
URL https://marumiya.jp/




取材/2023年7月



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