津軽塗アクセサリー
株式会社小倉内装

2025年7月28日

株式会社小倉内装とは、仙台市産業振興事業団が主催する
第11回新東北みやげコンテストの受賞企業です。

優秀賞 津軽塗アクセサリー

青森県の伝統工芸品である津軽塗。その津軽塗が、耳元でゆらりと揺れるピアスやイヤリング、そしてかわいらしいブローチになりました。それが、「津軽塗アクセサリー」。手掛けたのは、青森市に本社を置く「株式会社小倉内装」です。


写真:小倉内装代表取締役の小倉勝茂さん。現役のDJとしても活躍しています


「なんで内装屋さんが、伝統工芸品でアクセサリーを?」。そう思う方も少なくないでしょう。
小倉内装の代表取締役である小倉勝茂さんは、「当社は祖父が創業し、当時は障子や掛け軸などを販売していました。時代の流れとともにビニールクロスなどの壁紙やカーペットなどの商品を扱うようになり、だんだん内装のほうの取り扱いを増やしていったんです」と、小倉内装のヒストリーを教えてくれました。
そして「実は私は、東京でナレーションやキャスターなどの声の仕事をしていたんですね。でも、先代である父が病気になってしまって。それが東日本大震災の後のタイミングだったこともあって、『自分は小倉家の長男だし、戻った方がいいのかな』と葛藤することになって。それで青森に戻ってきました」と話します。
しかしながら、家業とはいえ小倉さんは内装についてまったくの素人。


写真:小倉さんの転機のきっかけとなった「界 津軽」の木漏れ日kogin 提供:星野リゾート


「イチから勉強しなくてはいけなかったのですが、ある時山端さんというこぎん刺しのデザイナーさんと知り合う機会があって。その後、星野リゾートの温泉旅館『界 津軽』さんの廊下の施工を手掛けることになったんです。デザイナーの方から相談されたのは、天井のこぎんの照明が、木漏れ日のように廊下や壁に映り込むようにしたいとのことでした。なので、僕が最初に手掛けた伝統工芸の作品は、こぎん刺しを使ったものでした」
小倉内装で手掛けたこの「木漏れ日kogin」は、2018年のArchitectural Diget(※)の『世界のホテル 美しい廊下10選』に選出され、世界的にも高い評価を受けました。
※1920年に創刊された歴史あるアメリカの月刊誌。主なテーマは、インテリアデザインとランドスケープ

この経験から「伝統工芸って、こうやってアップデートできるんだ」と手ごたえを感じた小倉さん。
「視点を変えることで、現代のインテリアにもマッチするものができると、間口が広がる。継承者が減っている現状を抱えた伝統工芸の応援にもなるんじゃないかと思ったんです」
そこで次に注目したのが、津軽塗。青森では昔から親しまれていて、テーブルや箸などいろいろなものが家庭で愛用されていました。小倉さんは「いろいろな職人さんの話を伺うと、職人が減ってきていること、そして津軽塗そのものも全体的には売り上げが厳しくなってきていて」と話します。
そこで小倉さんが目を付けたのが、同じく伝統芸の高崎だるま。120年続く老舗の「吉田だるま店」に電話をかけて、コラボレーションを呼びかけました。


写真:高崎だるまと津軽塗のコラボレーション


「突然電話をしたのですが快諾してくれて。それで高崎にお会いしに行ったらたまたま社長さんが競馬ファンで、私がキャスターを務めていた番組を見ていてくださったんです。それで『え?あの小倉さん?』となって、とんとん拍子に話が進みました(笑)」
津軽塗とのコラボレーションだるまは、またたく間に完売。小倉さんは津軽塗のポテンシャルを大いに感じました。


写真:この猫のブローチは、仙台市内中心部の百貨店藤崎で取り扱いがあるそう


ところで、津軽塗の大きな特徴は「研ぎ出し変わり塗り」。これは、複数の色漆を塗り重ねて研磨し、独自の模様を浮かび上がらせる技法です。しかしながら、その手数がゆえに製作に時間がかかり、費用も高くなってしまうのです。そこで小倉さんが考えたのが、薄い板に津軽塗を施し、それをいろいろなものを切り抜いてアクセサリーをつくるというアイデア。
「自分たちは、気軽にみなさんに手に取ってもらいたいという思いから、装飾をシンプルにしてできるだけ価格をおさえました」というアクセサリーは、カジュアルでもシックな服装にも合いそう。


写真:耳元で揺れるピアス。とってもキュート!


デザインは、小倉さんをはじめとする男性中心で行っているそうです。
「ひと工夫して皆さんが喜んでくれるようなもので、津軽塗の認知度向上につなげたいです。遺していくことで、育った地域のアイデンティティや文化遺産を若い人たちにも感じてもらえたら…と思います」


写真:シンプルなTシャツのワンポントとして

写真:バックパックのアクセントにも


小倉さんが次にどのようなアイデアを実現するのか、楽しみです。

小倉さんのパーソナルヒストリーは、Yahoo!ニュースでもご紹介しています。ぜひご覧ください。

株式会社小倉内装

所在地 〒030-0856 青森県青森市幸畑阿部野141-7
TEL 017-738-8686
FAX 017-738-0001
URL https://ogu.jp/