仙台で活躍する外国人女性たち
クロス×トークインタビュー

"仙台ダイバーシティツアー"というイベントが、6月に仙台で開催されました。青葉城をツアーしながら、仙台の歴史やダイバーシティについて深堀りしていくイベントです。

主催を務めたのは、台湾出身の周さん。ダイバーシティ社会を実現するため、イベント開催など様々な活動しています。参加者の1人である中国出身の王さんは、仙台にいる外国人女性へのキャリア支援に力を入れています。お二人とも仙台・東北のダイバーシティに対して熱い想いを持っており、日々の仕事でも活躍されています。
そんなお二人に、イベント開催の経緯や、仙台で働くことへの思いを語り合っていただきました。


登壇者プロフィール

(しゅう) (けん)さん

株式会社秀イノベーティブLAB取締役、株式会社イエムラ経営・総務部 課長、H2 Milk Farm(インド現地法人)CFO
台湾台中出身。台湾現地大手日系企業事務職を経て、2018年宮城県にある金属加工会社「株式会社イエムラ」に転職。経理、人事・総務、海外新規事業、経営戦略を担当。


(おう) (けつ)さん

株式会社テレモアドットコム企画営業課
中国江蘇出身。2016年来日。東北大学文学研究科修了後、2021年株式会社テレモアドットコムに入社。企画制作、インバウンド担当。



王さん(左)と周さん(右)

相互理解が、ダイバーシティ社会に繋がる

周さんは主催として、王さんは参加者として、仙台ダイバーシティツアーを盛り上げていましたね。
イベント開催の経緯や、感想を教えてください。

周さん
イベントを開催しようと思ったきっかけは、日本人と外国人との間に相互理解が必要だと感じたからです。今回の開催目的は、東北人のルーツ等の歴史背景を辿りながら、参加者の皆さんと一緒に仙台のダイバーシティについて深く話し合うことでした。
王さん
イベントを通じて仙台への理解を深めることができましたし、日本人参加者との会話を通じてダイバーシティの在り方を再考する良い機会となりました。
周さん
私自身、仙台の歴史や文化をあまり知らなかったことが開催理由の一つでもありました。これからも、イベントを通して多くの方が仙台のことを知る機会を作っていきたいと思っています。
イベントでは、仙台在住ではない参加者も仙台の歴史に興味津々だったそうです。
イベントテーマは「仙台の歴史背景を辿りながら、ダイバーシティの理解を深める」ですが、お二人の"ダイバーシティ"の在り方とはなんでしょうか。

王さん
日本で”ダイバーシティ”と言うと、日本人が私たち外国人のこと(文化などの違い)を受け入れる前提で話されることが多いです。でも、日本人に一方的に外国人を受け入れてもらうことだけがダイバーシティではありませんよね。私たち外国人も、相手との違いを理解し、受け入れるべきだと思います。    
周さん
その通り!「○○人だから」と決めつけず、相互理解することが大切ですよね。相手のことを理解しようとするから、相手も自分のことを理解しようとしてくれます。
日本の企業は、外国人社員との認識のずれを解消するために、ぜひ相互理解を深めて欲しいと思います。私が現在取り組んでいる外国人材活躍支援事業では、「相互理解」を基本理念としたさまざまなイベントを開催する予定です。
実際のイベントの様子。青葉城の歴史とダイバーシティを学びました

人と人の繋がりを大切にしているからこそ、仙台を選ぶ

周さんは台湾出身、王さんは中国出身と伺いました。
現在はお二人とも日本の企業で働いていらっしゃいますが、日本に来た理由、また仙台を選んだ理由はなんですか?

周さん
私は「新しいことにチャレンジしたい」という意欲が強く、日本でいろいろ勉強したい!と思い立ち来日しました。仙台を選んだ理由は、現在所属している会社が、経営企画について勉強・チャレンジできる場を提供してくれたからです。会社が宮城県内にあるため、仙台を居住地として選びました。
王さん
私の来日のきっかけは留学です。留学生時代に参加した様々なイベントで、共通の話題を持つ日本人の友人ができました。その友人たちのおかげで、仙台はいい所だな、卒業後も仙台に残りたいなという気持ちが湧きました。
日本で働きたいと思う理由はさまざまですね。
周さんは、王さんの話を受けて「東北は人と人との繋がりが大切だ」と語ります。
 
周さん
東北の場合は特に、人と人との繋がりが大事ですよね。一つ良い繋がりができれば、そこからたくさんの人間関係を築けます。それが「仙台にずっと残りたい」と思えるような、居心地の良い環境に繋がっています。 私は仙台の人々の、お互いに助け合いながらも、ちょうど良い距離感を保つところが気に入っています。四季折々の自然が美しく、食べ物が豊富で美味しいことも仙台・東北の魅力です。
王さん
私も、人と人との繋がりが大事だと実感したエピソードがあります。留学生の後輩がいたのですが、彼はコロナ禍に来仙したために友達がなかなかできず、しばらくは仙台に馴染めませんでした。でも、後輩に私の友達を紹介したところ、そこから交友が広がり最終的には大勢の人と遊ぶようになりました。今では「仙台に就職したい」と言うくらい、仙台が好きになったようです。

日本でチャレンジし続ける外国人女性たち

先ほど、日本で働くきっかけをお伺いしましたが、現在お二人はどのようなお仕事をされているのでしょうか。
 
王さん
今の会社ではインバウンド関係の仕事を担当しています。自分が制作した映像が、海外で放送されることにやりがいを感じています。今後はデジタルマーケティング関連の知識を勉強していきたいです。
周さん
私は人事担当として、会社と従業員を結ぶ架け橋の役割を果たしています。お互いが理解し合えるように声を届け、双方にメリットをもたらすことに達成感があります。 また、経営戦略の策定にも関わっているため、マネジメント能力を鍛える機会が多いです。将来は、人事管理の経験を活かして、海外人材が働きがいを感じる東北企業の職場作りに尽力したいと思います。
王さん
「流れる水は腐らず」という言葉のように、成長し続け、そしてキャリアアップもし続けたいですね。周さんのように幅広く新しいことにチャレンジしたいです!

日本人も外国人も居心地がいい社会の実現へ

ダイバーシティ推進のため、幅広く活動しているお二人。
最後に、今後の展望についてお話していただきました。
 
王さん
社外での活動として、仙台にいる外国人女性へのキャリア支援に力を入れています。たとえば、今、日本にいる外国人女性のなかには「言葉などの壁があり、就職先がなかなか見つからない」「就職したあと、何らかのトラブルが起きたとき対応できない」と悩む人も多くいます。そのような方々のために、就職相談を受けたり、ロールモデルの紹介をしたりして外国人女性が日本で働きやすい社会を作りたいと思っています。
周さん
私は、王さんのようなダイバーシティ支援をしている方と協力してネットワークを作り、悩みを抱える相談者に、適切な支援者を紹介できるような活動をしたいです。
周さん
多文化理解、多様性のある日本社会の実現に取り組むためには、私たちのように新しい「風」を吹かせる外国人の存在が必要です。そして、日本人も外国人にとっても居心地のいい場所を提供することが大切です。人種、国籍に限らず、すべての人が、住みやすい環境でやりがいのある仕事をしながら、楽しく過ごせる日々を求めていると思います。
王さん
外国人だけではなく、日本人のマイノリティの方も同じことを求めているかもしれませんね。たとえば、男性の「結婚したら仕事より家庭のことを優先してほしい」という思考に縛られ、やむを得ずパートなどの仕事をする女性も外国人と同じくマイノリティの立場にいます。
周さん
一人ひとりのアイデンティティが尊重され、居心地のいい場所・環境で暮らせることこそダイバーシティ社会の実現だと思います。私たちも「居心地のいい」東北が作れるよう頑張ります!
お仕事の内容やダイバーシティ支援活動の内容は違いますが、目指すところは同じです。
様々な角度から、ダイバーシティ社会の実現に向けて邁進するお二人の今後の活躍が楽しみです!