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インタビュー

企業の先輩

大切な洋服をもう一度蘇らせる。お直しの価値を伝えたい

株式会社ビック・ママ
ララガーデン長町店店長 石川 香菜(いしかわ かな)さん

仙台市若林区に本社を構える株式会社ビック・ママ。洋服やバック、アクセサリーなどのお直しやクリーニングまで、ファッション全般のメンテナンスサービスを展開する企業です。

東北、関東を中心に全国64店舗(ほか海外5店舗)を展開。カウンター形式なので、気軽に立ち寄ることができます。洋服の相談に乗ってくれる「お直しコンシェルジュ」の丁寧な接客と高い技術力が人気です。

スタッフのほとんどが女性で、10代から70代までイキイキと働いています。

今回は入社5年目で、2年前からララガーデン長町店店長を務める石川 香菜さんに、お仕事や職場についてお話を伺いました。

㈱ビック・ママ_石川さん

「好きなことを仕事にできて楽しい」と話す石川香菜さん。新しい知識や技術を吸収して、常に高みを目指していきたいと意欲的だ

95%が女性スタッフ。長くイキイキと働ける会社

軽快なミシンの音。カラフルな糸がインテリアのように壁に並ぶ明るい店内。石川さんの勤める店舗は、地下鉄長町南駅に直結した大型商業施設ララガーデン長町の中にあります。

「手芸好きな祖母の影響で、子どものころから自分で小物などを手づくりするのが好きでした」という石川さん。

服飾の仕事を目指し、仙台の服飾専門学校でデザインや縫製を学んだ後、仙台のアパレル会社に就職しました。洋服を作る仕事に興味はあったものの、縫製工場で働くイメージが湧かず、少々迷いながら販売職に。

「人と話すのは好き、でも自分からお客様に声を掛ける接客はそんなに得意ではなかった……」と当時を振り返ります。

その後、好きな洋服に関りながら経験を積んでいった石川さん。勤務先の店舗で行っていた裾上げなどのお直しサービスに特に仕事の楽しさを感じるようになります。そして、次第にお直しをメインとした仕事がしたいと思うようになり、ネットで求人を検索したところ、ビック・ママが目に留まったのでした。

「スタッフのほとんどが女性。企業理念にも女性の働きやすさをうたっているところや、地下鉄路線の近くに店が多く、どこに配属になっても通いやすそうなところが魅力でした」

㈱ビック・ママ_お客様対応の様子

ただ直すのではなく、「お直しコンシェルジュ」として、洋服の悩みに寄り添う。コートをバッグにするなどリメイクも行っている

プロとして大切な洋服を預かる責任

前職の接客経験を活かし、2016年に店舗スタッフ(フィッティングアドバイザー)として入社した石川さん。3ヶ月間、工場での技術研修と店舗での接客研修を受けました。

学校で学んだ知識と縫製の経験はあるものの、最初はお客様の愛用しているものに自分が手を入れることに怖さを感じたそう。

衣服やバッグはメーカーによって異なる方法で仕立てられていることから、生地や仕立てを見極めながら、お客様の要望に沿って直していきます。洋服を一から作るのとも違う、お直しのプロとしての知識や技術が必要です。

「『こう直したい』『こんな風に着たい』というお客様の要望を丁寧に伺った後、自分たちでできる場合は店舗内で、それ以外は工場で対応します。技術的なことはもちろんのこと、大切な洋服をお預かりするので、受付時に希望を具体的に聞き取り、お直し方法などの提案もきちんと伝え、ご納得いただくことも大切な仕事です」

「ちょっとだけ詰めて」「普通でいいよ」といったお客様の感覚的な言葉には、特に気をつけているそう。フィッティングしてサイズを測るなど、できるだけ客観的な情報に置き換えて、同じ完成イメージを両者で共有することが仕上がりの満足度につながると言います。

㈱ビック・ママ_スタッフ同時で話し合う様子

コロナ下の現在、技術研修を動画で受けることができる。また、スタッフ同士でも教え合うなど日々研鑽している

スピードもサービスの一部。チームワークも鍵

ララガーデン長町店の営業時間は10時~21時。基本的に3人で、早番・遅番など担当を分けながら勤務しています。

例えば、早番の日は9時半に出勤し、18時には退勤します。
開店前は掃除やレジ開け、アイロン・ミシンの準備などを実施。開店を待っているお客様も多いそうで、開店と同時にお直しの受付やお渡しなど、接客業務にあたり、合間にお直し作業を進めていきます。

ショッピングセンターという場所柄もあり、洋服を預けている間に買い物やランチを済ませ、帰りに受け取りたいという要望も多いそう。パンツの裾上げやボタン付けなどの簡単なものであれば、1~2時間で仕上げるクイックサービスで対応します。

お客様の様々な要望に対し、少ない人数でスピーディーに対応するためには、スタッフ間の連携も重要な要素。退勤の際には遅番スタッフにきちんと引継ぎをするように心がけています。

女性が長く働ける仕組みと「お互い様」の社風

㈱ビック・ママ_ミシンかけの様子

「休日にウインドウショッピングをする際も、つい縫製を見てしまいます。職業病ですね」

 
「働き始めて5年。本当に女性が働きやすい会社だなと実感しています」と石川さん。

結婚、出産、子育て、介護……。女性はライフイベントによってキャリアが中断してしまうこともあります。

ビック・ママでは、女性が一生を通じてイキイキ働ける会社を目指しています。子育てしながらでも働けるように社内託児所を運営している他、正社員からパートになるなど、ライフスタイルに合わせて雇用形態や働き方を柔軟に変更できる制度も用意されています。

「産休後や子育てが一段落した後に復職して活躍している人は多いです。工場内に託児所があるので、お子さんと一緒に通勤している人もいます。自分も長く働いていけるイメージができるので安心です」

石川さんも店長として、各スタッフの事情に配慮したシフト調整やコミュニケーションを大切にし、誰もが働きやすい職場環境づくりを心掛けています。

また、家族の病気や介護など家庭の事情で急に休むことになっても、他の店から応援が来るなど支援体制も確立されており、お互いに助け合う社風があります。

「私の場合、東北に限らず、関東の店舗にも出張することがあります。地域によって、お客様の雰囲気や持ち込まれる洋服が異なります。例えば、首都圏でハイブランドの洋服を扱うことも勉強になりますね。出張先のスタッフと交流が持てるのも楽しみで、互いに技術や知識を教え合うこともあります」

価値ある技術で、お客様の気持ちに応えたい

㈱ビック・ママ_接客の様子

リメイクは既製品にはない魅力が生まれる。パンツからリメイクしたスカートを履いて見せに来てくれたお客様もいたそう

 
形見の服や友人にもらった服、しまい込んでいた数十年前のお気に入りの服、お子さんが転んで穴を開けてしまった制服など、ビック・ママを頼って持ち込まれる服はお客様にとってどれも大切なもの。

「お直しやリメイクをご希望されるお客様は、”大切な洋服をまた蘇らせたい”という思いを話してくださるんです。お直しを通して、いろいろな方の思い出を伺えるのが楽しい。満足していただけるよう仕上げたいという気持ちになります」と、石川さんは笑顔で話します。

「お客様の要望に応えるためにも、接客とお直しの技術を磨いていきたいです。目標は仕上がりのスピードとクオリティを今よりも上げること。価格以上のサービスにご満足していただくことで、お直しの価値を伝えていきたいです」

穏やかな石川さんから、好きなことを仕事にできた喜びと強い志が伝わってきました。

(2021/11/22日取材 ライター/撮影:関口 幸希子)
※撮影時は、マスクを外していただきました

石川 香菜さん 株式会社ビッグ・ママ

プロフィール
山形県出身。服飾専門学校で縫製・デザインを学び、アパレル会社の販売職を経て2016年に店舗スタッフ(フィッティングアドバイザー)として入社。2019年からララガーデン長町店店長。趣味はウインドウショッピング。

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