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インタビュー

企業の先輩

まちづくりの過去と未来をつなぐ架け橋 地質調査の現場に迫ってみた

株式会社東開基礎コンサルタント
佐藤さん、山口さん

東開基礎コンサルタントは1969年に設立された仙台の老舗企業。東北各地で地質調査を行っています。

地質調査と聞いて具体的な内容をイメージできる人は多くないかもしれません。でも実は私たちの暮らしとも深く関係しているんですよ。

今回は調査現場で働く若手社員の佐藤さんと山口さんに、お仕事や会社に関するお話をうかがってきました。

佐藤さん、山口さん

(左)佐藤雅浩(さとうまさひろ)さん ボーリング作業員。入社2年目。仙台の専門学校にて環境土木工学を専攻。宮城県出身。
(右)山口拓也(やまぐちたくや)さん 地質調査員。入社1年目。仙台市内の大学で環境エネルギーを専攻。宮城県出身。

地質調査の現場は、日々学ぶことがたくさん

今回お話をうかがった場所は宮城県北西部の山奥。
工事用モノレールに乗って山を登り、20分ほどでボーリングの作業現場に到着しました。ボーリングとは掘削のこと。地下に円筒状の穴をあけ、地質分析に必要なコアと呼ばれる試料を地層から採取します。

作業現場

工事用モノレールに乗って山頂付近の作業現場へ。宮城県北西部にダムを新規に建設するにあたり、付近一帯で地質調査を行っている。

 
佐藤さんはボーリング作業員として、機長(現場のリーダー)とともに掘削業務を行っています。主な業務は資材の整備や機長の補佐。
入社2年目ということで、仕事に慣れたかどうかを聞いてみると……

佐藤さん
まだ慣れない部分が多いです。
これまでに4か所の現場に携わってきましたが、調査が完了すれば、次の調査現場に移動するので毎回環境も変わりますし、掘削方法も1つではありません。
知らないことの方が多いので、もっと経験を積んでいきたいです。

 

作業場

作業現場では機長と佐藤さん、山口さんの3人が作業をしていた。通常は機長と補佐役の2名で担当することが多いという。

一方、入社1年目の山口さんは本来、内業がメインの仕事。今は現場を経験するために一時的にボーリング作業に参加しているとのこと。
 

山口さん
会社の雰囲気には慣れましたが、業務はまだまだこれからです。
内業ではコアの整理、分析、報告を行っています。大学で学んだことも少しは活かせていますが、もっと専門知識を身につける必要があります。
今は現場に入って作業補助をしていますが、分析業務をする上で現場を知っておくことも重要なことだと感じています。

 

ボーリング作業を補佐する二人

機長の指導のもと、ボーリング作業を補佐するふたり。ボーリングマシーンをつかって地層からコアと呼ばれる試料を採取する。

地層から採取したコア

地層から採取したコア。今回の調査で採取したものは約1000万年前の地層に堆積したものとみられる。東開基礎コンサルタントでは、現場でコアを採取するチームと採取したコアを分析する内業チームに分かれて調査を行っている。

家業や復興への想いを胸に地質調査の世界へ

おふたりとも宮城県のご出身ですが、東開基礎コンサルタントに入社した経緯はそれぞれ異なります。

山口さん
大学では環境エネルギーを専攻しました。大学での学びを活かせる仕事がしたかったので、就職活動では建設コンサルティングの会社を探しました。そこで、東開基礎コンサルタントを見つけて、エントリーしました。

佐藤さん
父の職業が地質調査で、子どもの頃から地質調査に馴染みがありました。高校生の時に、将来の職業として意識し始めて、専門学校では環境土木工学を専攻しました。ゆくゆくは憧れである父の仕事を継ぎたいと考えていますが、まずは父の会社ではなく、東開基礎コンサルタントにお世話になって経験を積もうと思いました。

 

佐藤さん

将来はお父さんの仕事を継ぎたいと語る佐藤さん。今は現場で修業を積んでいる。

地元での就職についても聞いてみました。はじめから宮城で就職しようと思っていたのでしょうか。

佐藤さん
最初は専門学校の先生の勧めもあって大阪の企業を受けました。内定もいただいたのですが、東開基礎コンサルタントの方が自分のやりたいことにより近いと感じたため、最終的に地元で就職することに決めました。

山口さん
私は石巻市出身なのですが、小学校6年生の時に東日本大震災を経験しました。卒業式の1週間前だったことを今でも覚えています。地元の復興に貢献したいという気持ちは以前から強く、地質調査を防災・減災につなげられたらと思っています。

 

地質調査

現在の作業現場は鳴瀬川ダムの建設予定地。鳴瀬川ダムは近年増加している台風や大雨による激甚災害を防ぐため、治水対策の強化を目的に建設される。

高度な知識や経験が要求される現場 そこにやりがいを感じる

今回の現場では約200mもの深さを掘削するそう。目に見えない地下から調査用のコアを採取するのは大変な作業です。状況に応じて、ひとつひとつの作業に調整を加えていく必要があると佐藤さんは言います。

 

佐藤さん
例えば、コアを採取する際にコアチューブという管に泥水(でいすい)を注入するのですが、泥水ひとつとっても、調整を間違えるとコアをうまく採取できなくなります。
調整内容を自分なりに考えたうえで、機長に相談するようにしています。きれいに採取できたときは嬉しいですね。

 

泥水を調整する佐藤さん

泥水を調整する佐藤さん。濃度を確かめたり、不純物を取り除いたりするのも大事な作業のひとつだ。

また、コアは1か所ではなく複数の場所で採取します。今回の現場も7か所に分かれて実施しており、各所の地盤や水はけの良し悪しを調査したうえで、そのエリアの地質を総合的に判断するそうです。
 

山口さん
それぞれのコアを見比べて関連性を探ったり、歴史を紐解いたりすることが楽しいです。山奥の地層から貝の化石が見つかることもあるんですよ。
また、人の役に立っていると実感できるところにもやりがいを感じます。地質調査が人目に直接触れる機会は多くありませんが、必ず何かしらの形で人々の生活を支えたり、災害から身を守ったりしています。

 

頑張る人を応援してくれる フレンドリーで風通しの良い職場

入社してまだ間もないということで、つらいこともあったようです。

佐藤さん
1年目はつらかったです。わからないことだらけでした。
学校で習った知識は主に内業用の知識で、ボーリングの現場で必要になる知識は新たに覚える必要がありました。
機長の仕事の様子を観察しながら所作を学んだ結果、だんだん仕事の内容がわかってきて、次にどの作業をしたらよいかまで想像できるようになってきました。

山口さん
専門知識が多いところが大変です。プライベートの時間を予習・復習に充てて勉強することもあります。
でも、先輩が親切に教えてくれますし、わからないことがあれば質問できるのですごく恵まれた環境です。会社に資格取得補助の制度があるのもありがたいですね。

 

現場での表情は真剣そのもの

現場での表情は真剣そのもの。休日はスポーツを楽しんだり、バイクでツーリングに行ったり、思い思いに時間を過ごすとのこと。会社もメリハリのある働き方を推奨している。

 

佐藤さん
この仕事に向いているのは根性がある人ですね(笑)
地質調査は建築や土木の安全に関わる仕事なので、正確さが求められますし、真剣な場だからこそ叱られることもあります。
でも、職場の雰囲気は堅苦しくないですし、社員はみなフレンドリーです。先日は先輩とゴルフに行きました。
また、社員の年齢のバランスも良いです。わからないことがあったら熟練の先輩に教えてもらえますし、同年代の社員の存在はとても刺激になっています。自分も負けずにがんばろうという気になりますね。

山口さん
今は専門の知識が無くても、土木や地質の興味がある人は地質調査の仕事に挑戦してほしいです。
覚えることはたくさんありますですが、風通しの良い職場なので、本人のやる気があれば周りもサポートしてくれます。

 

顧客からの依頼内容によって調査場所や実施期間も変わってきます。1日で完了する案件もあれば、完了まで1年以上かかる長期の現場もあるとのこと。

東開基礎コンサルタントでは、資格取得制度の他にも、完全週休2日制や有給休暇の取得促進など、社員にとって働きやすい職場環境づくりに積極的に取り組んでいます。

失敗を恐れず、気負わずに ~就活生へのメッセージ~

最後に就活生へのメッセージをいただきました。

佐藤さん
やりたいことがある人は、夢に向かって突き進みましょう。今はまだやりたいことが明確でない人は興味があることを仕事にしてみると良いかもしれません。
万が一失敗しても、若いうちは別の仕事にも挑戦できますし、何事もやってみれば自分の成長につながります!
佐藤さん

当面の目標は機長になること。「芯をもって仕事ができる存在になりたい」

山口さん
私は社会人になるまで、会社や働くことに対して漠然とした不安を抱えていました。でもそれは杞憂にすぎませんでした。職場に怖い人はいませんでしたし(笑) あまり気負わずがんばってください!
山口さん

今後の目標は早く一人前になること。「知識をもっと身につけて、経験も積んでいきたい」

おわりに

同社の熊谷社長は「地質調査は地下を推理するゲーム」とおっしゃいます。

地下の構造を分析し、歴史をさかのぼることによって、安心安全な都市環境や防災の基礎を築いていく。地質調査は、まちづくりの過去と未来をつなぐ架け橋であり、社会にとって重要な役割を担う仕事です。

そして、その地質調査に欠かせないのは技術者の存在。ボーリング作業員や地質調査員無くして、建物も道路もダムも橋も存在し得ません。今回の取材では、苦労しながらも前向きに仕事に取り組む若手社員のお二人と彼らをサポートする先輩方の姿がとても印象に残りました。

地質調査や東開基礎コンサルタントに関心を持った方は、ぜひ企業情報ページもご覧ください。

(2021/9/9取材 ライター/撮影:名古屋聡)
※撮影時は、マスクを外していただきました

プロフィール
(左)佐藤雅浩(さとうまさひろ)さん ボーリング作業員。入社2年目。仙台の専門学校にて環境土木工学を学ぶ。宮城県出身。

(右)山口拓也(やまぐちたくや)さん 地質調査員。入社1年目。仙台市内の大学で環境エネルギーを学ぶ。宮城県出身。

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