2018年3月1日更新

「Fly Me to The Moon」という、ジャズの名曲をご存じでしょうか。私を月に連れて行って―そう恋人に語り掛けるロマンティックな世界観が、なんとお菓子になりました。

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つくったのは会津若松市の老舗菓子店「本家長門屋」。 「本家長門屋」は、江戸時代・嘉永元年(1848年)の創業。時の藩主・松平容敬公の命を受けてのこと。ペリー来航の6年前のことでした。

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明治時代に建てられたという歴史ある店舗では、会津の名産である鬼くるみを使った上品な甘さの「香木実(かぐのきのみ)」や、昔懐かしい味わいの「滋養パン」など、どんな時代にも愛されるお菓子がずらり。

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「香木実」会津産鬼くるみを上質な餡で丸ごと包み黒糖をまぶした一口菓子

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「滋養パン」は昔の鋳型を使い、懐かしの味を新たな駄菓子としてリメイク


さらには、長い歴史の中で実際に使われてきたお菓子づくりの道具なども飾ってあり、博物館のような楽しさもあるのです。

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そんな「本家長門屋」で「新しいお菓子をつくろう!」と鈴木静さんが奮起したのは、2016年のこと。
「和菓子、特に羊羹をもっと多くの人に食べてほしいという思いで、開発に取り組みました」。

「羊羹は買っても一本食べきれない」「少し食べてラップをかけて、そのあと冷蔵庫で忘れられる存在になってしまう」といった声をお客さまから聞いていたという鈴木さん。
ならば「食べるときにワクワクするような羊羹をつくろう!」と思いつきました。

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新商品開発に取り組んだ鈴木静さん


それが「切る度に違う絵柄が出る羊羹」。一言でそうは言っても、なかなか簡単にできるものではありません。熟練の職人さんによる、チャレンジングな日々が続きました。

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「貝千年」の作業工程。和三盆糖をはまぐりの貝殻の中に入れた、風流な趣の和菓子です。


「一生懸命やってくれる職人さんに敬意を表して『これでいいです』と言うこともできたと思うんです。でも、ハイクオリティなものでなければ、お客さまに失礼。だから、無理を言って何度も何度もつくり直してもらいました」。鈴木さんは、当時をそう振り返ります。

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こうして仕上がったのが「Fly Me to The Moon 羊羹ファンタジア」。 小豆羊羹で挟まれた淡いブルーのシャンパン風味羊羹の中に、レモン羊羹でつくった月と鳥が浮かんでいます。
鳥が月の浮かぶ空に飛び立っていく絵柄が、切る度に表情を変えて現れ、味までも変わるのです。

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「人によっては、これが夕方に見えたり、朝方に見えたり。それぞれの気持ちで見え方が変わるんですよ」と、鈴木さん。
さらに、法事用に「Fly Me to The Moon 羊羹ファンタジア」を買い求めるお客さまも多いそうで、「最初は意外だったんです。でも、亡くなった方の魂が空高くのぼっていくことを願って…と伺ったときには、なんだか涙が出そうになりました。」と、語ります。

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とても楽しそうに、お仕事の話をする鈴木さん。その人柄に惹かれて、多くの人が協力を惜しまないのも納得です。

2017年度は「グッドデザイン賞」((公財)日本デザイン振興会)を受賞、「第4回新東北みやげコンテスト」((公財)仙台市産業振興事業団)で最優秀賞を受賞し、海外からの観光客が店に訪れるなど、その人気をじわじわと上げている「Fly Me to The Moon 羊羹ファンタジア」。この羊羹が、会津の、そして日本の定番みやげになる日は、さほど遠いことではないでしょう。

商品の詳細はコチラ


株式会社長門屋本店

住所:〒965-0865 福島県会津若松市川原町2-10
営業時間:8:30~18:00
定休日:年末年始を除き年中無休
TEL:0242-27-1358
URL:http://www.nagatoya.net

ロゴ 1

撮影/堀田 祐介

東北大学法学部卒業後、仙台市内の商業写真撮影会社に就職。写真の道に進む。アシスタントを経てカメラマンとなり、物撮、人物撮影など、写真全般にわたり様々な仕事をこなしながら10年勤務。その後準備期間を経て独立、現在はフリーランスとして、プロバスケットボール・仙台89ERSオフィシャルのほか、広告、雑誌、ウェブなど幅広く手掛けている。

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