開業者インタビュー

株式会社ゆらリズム

医療・福祉

ビジネスグランプリ2018 優秀賞 ~共生社会の実現を目指して 地域をつなぐ「音楽」×「食」×「ロボット」の活用~

御社が提供するサービスの特色についてお聞かせください。

高齢者向け「音楽リハビリデイサービスゆらリズム」では音楽療法と介護予防を組み合わせた独自のプログラムを行っています。スウェーデンの音楽療法士が開発した、1カ所を押さえるだけでコード(和音)が弾ける福祉楽器「ブンネギター」を導入し、日本の音楽に合うようにチューニングをして使っています。ほかにも大正琴なども交え、利用者さんそれぞれが楽器でパートを担当し、みんなで1曲を完成させるという一体感を得ていただけるのが特長です。

ほかにも、障害児受け入れ施設「放課後デイサービスゆらリズム」や多世代交流型子ども食堂「ゆらリズム食堂」、実際に農業・収穫体験ができる「ゆらリズム農園」などを展開しています。昨年3月には利用者さんや職場体験に来られる生徒さん、NPO団体や周辺住民の方々と一緒に地域の音楽祭を開き、多くの方に喜んでいただきました。

テクノロジーを導入することにも積極的に取り組んでいます。現在、介護業務ソフトウエア会社の株式会社グッドツリーさんと一緒に「伊達な介護ロボプロジェクト」を進めています。私たちの音楽リハビリプログラムをロボットの「ペッパー」に取り入れ、利用者さん一人一人に合わせたアクションができるようなソフトウエアの開発と運用を実証実験として行っています。

起業の経緯やこれまでの歩み、苦労したことなどについてお聞かせください。

起業する前は東京のIT企業で働いていましたが、将来現役を引退して地域のコミュニティーに戻って余生を送るときに趣味や生きがいが重要になるのではないかと考え、コミュニティーに関わることをしたいと思うようになりました。ボランティアや週末起業という選択肢もありましたが、人生いつ終わるか分からないので早いほうがいい、始めてしまおうと決めました。

3月1日に登記してテナント契約も済ませた10日後に震災が起き、建物が損壊してしまいました。当時はなかなか修繕工事にも来てもらえませんでしたが、ほかに移る場所もなく、この場所で何とか再起するしかないと踏みとどまり、6月15日にオープンへこぎ着けました。

震災後だったのでお風呂や食事が求められ、短時間型のデイサービスとはニーズが合わず、最初は利用者さん集めに苦労しました。音楽に特化しているという事業の新しさから、ケアマネジャーさんにもなかなか理解してもらえませんでした。

そんな状況でも何かできることをしたいと思い、石巻の仮設住宅でボランティアとして音楽プログラムを提供したら非常に喜んでもらえて、メディアにも取り上げていただきました。徐々に口コミが広がり、講師の派遣や企業向けの研修の依頼が増え、少しずつ経営が安定するととも本来のサービスの利用者さんも増えていきました。

今後の展望や一緒に取り組みたいビジネスパートナーは?

現在、イベント的に行っている子ども食堂を発展させて、2020年に障害者就労施設「ゆらリズムカフェ」を作る計画を進めています。スタッフに障害者を採用し、放課後デイサービスに通っている子どもたちが卒業した後の就労先にもできればと。介護施設に通う必要のない独居の高齢者の方や子育て世代の方など地域の方々が気軽に集い、音楽や軽い運動も楽しめる場所にしたいと思っています。

テクノロジーも活用し、例えばペッパーが「この頃睡眠時間が足りていませんね」「栄養バランスが偏っているので今日はこの料理がお薦めです」などバイタルデータと連動した反応をしたり、翻訳アプリを使って外国人と容易にやり取りしたりといったこともできそうです。

目指すのは「ゆらリズムカフェ」がハブとなって、年齢や性別、障害の有無や国籍など全てをバリアフリーにして、地域の人たちが共生する社会。その実現には、町内会や学校、農業や行政との連携は引き続き必要ですし、テクノロジーをさらに活用するために大学などの研究機関とも連携していきたいです。

これから起業を目指す方へのメッセージをお願いします。

緻密に計算してリスク分析してというのも大事ですが、起業家は「ちょっと変」な方がいいんじゃないかと思うんです。私も損得で考えたら1年目で撤退するとか、ニーズが違うならほかのビジネスを考えるとかするのかもしれませんが、自分の想いを社会に訴えたい、証明したいという気持ちで諦めずに続けてきました。

ビジネスが面白いのは、その想いがいくら立派でも、数字的に答えが返ってくるところ。私が「こういう世の中にしたい」と思っていることの評価は、市場や地域の方がしてくれます。そこに人生を懸ける価値がある。24時間365日いつもそのことばかり考えて休まる日はありません。起業家にはその覚悟も必要ですね。

開業者情報

社名
株式会社ゆらリズム
代表取締役
野崎 健介
開業
2011年3月
HP
http://www.yura-rhythm.com
電話
022-251-2021
所在地

仙台市泉区南光台南1-1-3

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